カーミラの真実
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 04:30 UTC 版)
その後ローラは医者の診察を受け、喉の下に青い痣が見つかる。ローラは熱病とされる不思議な病気が蔓延しているという噂もあるため、体調が悪いのはそれに罹患しているのではないかと不安がるが、ローラの父はスピエルドルフ将軍が戻ってくる旨の手紙を受け取り、1日2日で良くなるとローラに言い聞かせて、カルンスタインの城跡へ行くことを決める。カーミラが起き出すより前にローラ父子は馬車でカルンスタインへと向かい、途中で将軍と出会う。馬車に同乗した将軍の顔には悲しみと怒りが表れており、これから3ヶ月前に亡くした姪ベルタの敵討ちをするという。 馬車の中で将軍は滔々と姪が死に至ることになった経緯を語り出す。それはかつて行われた仮面舞踏会で出会った、不思議な美しい母娘に関するものだった。ミラーカと呼ばれる娘は将軍の姪をいたく気に入った様子で親しげに話し込み、「伯爵夫人」と呼ばれる母も仮面で顔を隠したまま将軍とは既知の仲であるとして話し込む。やがて黒服の紳士に何事かを告げられた伯爵夫人は、急な長旅に出かけなければならないと言い出す。そしてミラーカの体調が万全でないため連れて行けないという伯爵夫人と、ミラーカを客として呼びたいという姪に説得され、将軍はミラーカを一時預かることにする。 その日から将軍と姪はミラーカと生活を共にするようになるが、ミラーカにはいくつかの不思議な点があった。まず起きてくるのは毎日正午を過ぎた昼日中であった。また寝る時は部屋に鍵をかけているが、時々部屋に鍵がかかったまま、まるで夢遊病者のように外をふらつくことがあった。そして将軍の姪は毎夜悪夢にうなされ、首筋には2本の針を刺されたような強い痛みを覚え、体調が日に日に悪くなってゆく。 ローラはカーミラと再会してからの日々が、姪とミラーカが過ごした日々と奇妙なまでに一致していることに気付く。そして将軍にミラーカのことを聞けば聞くほど、カーミラと癖や特徴が一致していることがわかる。 一行はカルンスタインの礼拝堂がある城跡に到着し、そこで将軍は1世紀以上前に亡くなっているはずのカルンスタイン伯爵夫人マーカラに会ったことを明かす。カルンスタインが廃村のようになっている理由を地元の木こりに聞くと、ここではかつて吸血鬼騒動が起きたのだという。邪悪な吸血鬼の群れに手を焼いていた村人は、通りがかったモラヴィアの貴人に助力を乞い、彼は見事に吸血鬼を退治する。そして、貴人はマーカラの墓を移す許しを得るが、マーカラの墓についての詳細は不明となる。 将軍は話を再開し、姪を医者に診てもらった際のことを語りだす。将軍の姪は喉の下に吸血鬼特有の歯による刺し傷と、血を吸われた際に付く青い痣があった。将軍は姪が吸血鬼に襲われているという診断を信じなかったが、念のため姪が寝ているところを物陰から見張ることにする。するとその晩、寝ている姪に黒い何かが襲い掛かるところを目撃し、将軍はサーベルを手にそれを追い払おうとする。しかし、その黒い何かがミラーカであると分かった途端、彼女は将軍の攻撃をかわして消えてしまう。そして姪はそのまま弱っていき、その日のうちに事切れた。 姪の最期に気落ちしている一行のもとへ突然カーミラが現れ、礼拝堂へ入ろうとする。将軍は斧を手にしてカーミラに襲いかかるがかわされ、逆に力強い細腕で手首を絞め上げられてしまう。将軍が痛みに耐えかねて斧を手から落とすと、同時にカーミラはそこから消えてしまう。カーミラが消えてまもなく、今度は男爵と呼ばれる老人が礼拝堂へ入ってくる。将軍は男爵を歓迎し、男爵の持ってきた地図のようなものを手がかりに、所在不明だったカルンスタイン伯爵夫人マーカラの墓碑を発見する。一行は一旦城に帰るが、その日再びカーミラが城に姿を現すことはなかった。
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