カラー化における変更点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 15:40 UTC 版)
前節で述べた白黒放送の諸元に対し、カラー放送では色差情報(クロマ信号)を付加する為の色副搬送波(周波数 fsc で示す)を追加した他、水平同期周波数 fh と映像 - 音声搬送波周波数の差 fa が整数倍の関係になるよう変更している。 f s c = 455 2 f h {\displaystyle fsc={\tfrac {455}{2}}fh} ゆえに、 f s c = 315 88 {\displaystyle fsc={\tfrac {315}{88}}} MHz±10Hz( 3.579 5 ˙ 4 ˙ {\displaystyle 3.579{\dot {5}}{\dot {4}}} …MHzの循環小数になる) f h = f a 286 {\displaystyle fh={\tfrac {fa}{286}}} (なお、 f a = 4.5 {\displaystyle fa=4.5} MHz〈白黒放送の fh=15.750kHz に比べて0.1%の差異〉) 水平同期周波数 fh を変更した理由は、NTSCの輝度信号のスペクトルのピークが fh 間隔で存在し、輝度信号スペクトルと音声信号スペクトルの谷間に色副搬送波スペクトル(こちらもピークが fh 間隔で存在する)のピークが来るようインターリーブさせることで相互妨害が最小で済むような形で合成するためである。当時のテレビ受像機は音声再生にインターキャリア方式を使っていたため、fa を変更すると音声再生に支障が発生することから fh の値を変更した。これに伴って垂直同期周波数は60Hzから 60 1.001 {\displaystyle {\tfrac {60}{1.001}}} Hzに、フレームレートも毎秒30枚から 30 1.001 {\displaystyle {\tfrac {30}{1.001}}} 枚へと0.1%ずつ低下するが、大部分がアナログ回路で構成されている垂直および水平偏向系にとっては製造誤差を見込んだ引き込み範囲内に収まる変更であり、既存の白黒テレビジョン受像機を改造調整することなくカラー放送の輝度信号部分を受信可能にしている。また、NTSC方式カラーテレビジョン受像機においても従来の白黒放送を受信可能としている。 色差信号を解読しない白黒テレビ受像機では輝度信号に加算されたクロマ信号は単なる妨害信号(ノイズ)となり、非常に細かい波状の明暗ビートとして画面に表示される。色副搬送波の周波数を水平同期周波数の 1 2 {\displaystyle {\tfrac {1}{2}}} の奇数倍、映像信号帯域上限(約4.2MHz)に近い数値にしたのはこの妨害ビートが出来るだけ細かくなるよう、さらに市松模様状に規則正しく並んで適正視聴距離 以遠まで離れて見ると模様が潰れて平均化されて目立たなくなるように考慮して設定された値であり、映像信号帯域の4.2MHzからクロマ信号側帯波の帯域を0.5MHz以上確保した3.579545MHzに定められている。家庭用テレビに接続可能な、ゲーム機、パソコンなどではこの周波数がシステム全体のクロックとして流用され、MSXや、SEGAのゲーム機など、CPUの規定周波数とは異なる、3.579545MHzで動作する機種が多く生まれた。(ゲーム機やMSXなどは、厳密にはNTSCとは規格が異なる映像信号を出力する)
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