オフボアサイト射撃能力の獲得
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 05:49 UTC 版)
「空対空ミサイル」の記事における「オフボアサイト射撃能力の獲得」の解説
従来、IRH誘導のミサイルでは、目標捕捉を発射前に行なう方式(LOBL)が主流であったが、この場合、赤外線ミサイルシーカーの視野である「前方中心線左右15度の範囲」程度しかロックできず撃てないのが常識であった。 しかし、ソビエト連邦では、IRH誘導システムに中間指令誘導を組み合わせることで、発射後に目標を捕捉する(LOAL)ことにより、「IRSTが照準可能な前方中心線左右60度はIRSTが敵機のエンジン排気赤外線を追尾して、ロックしないで発射した赤外線画像ミサイルに敵機の座標を知らせて発射後ロック(LOAL)して命中させる」というオフボアサイト・ミサイルR-73を1985年頃に既に開発してMiG-29やSu-27に搭載していた。西側戦闘機のAIM-9L サイドワインダーは「前方中心線左右15度の範囲の敵」しか撃てないのに対し、東側のMiG-29やSu-27のR-73は「前方中心線左右60度の範囲の敵」つまり横にいる敵を撃てるのではドッグファイトで勝ち目はなかった。 西側でも、イスラエルは早期からオフボアサイト射撃能力を重視しており、1990年代初頭にはR-73と同等のオフボアサイト能力を有するパイソン4の配備に入っていたが、冷戦構造の崩壊もあって北大西洋条約機構諸国での対応は遅れ、イギリスのASRAAMは1998年、アメリカのAIM-9Xは2000年、日本のAAM-5は2004年、ドイツなどのIRIS-Tは2005年からの引き渡しとなった。しかしIRSTと指令誘導によるオフボアサイト射撃は、アビオニクス全般まで変更せねば実現できないために、多くの西側諸国で赤外線シーカーをジンバルに載せて首を振り、発射前ロックできる角度を広げた準オフボアサイト赤外線ミサイルが開発された。
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