オビテンスモドキ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/13 08:26 UTC 版)
オビテンスモドキ | ||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Novaculichthys taeniourus (Lacépède, 1801) |
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英名 | ||||||||||||||||||||||||
Rockmover wrasse |
オビテンスモドキ (学名:Novaculichthys taeniourus) は、ベラ科に分類される魚類の一種。オビテンスモドキ属は本種のみが分類される単型属である。インド太平洋に広く分布し、岩礁やサンゴ礁に生息する。成魚と幼魚で外見が大きく異なり、幼魚は海藻に擬態している。
分類と名称
1801年にフランスの博物学者であるベルナール・ジェルマン・ド・ラセペードによって、Labrus taeniourus として記載され、タイプ産地はマダガスカルであった[2]。オビテンスモドキ属は1862年にオランダの魚類学者であるピーター・ブリーカーによって、オビテンスモドキのみを含む単型属として設立された[3]。
属名は「カミソリの魚」を意味するが、現在はテンス属のシノニムとなった Novacula に由来していると考えられる。種小名は「帯のある尾」を意味し、尾鰭基部の白い帯に由来する[4]。carpet wrasse、dragon wrasse、bar-cheeked wrasse、olive-scribbled wrasse、reindeer wrasseと言った英名がある。
シノニム
- 属
- Malacocentrus T. N. Gill, 1862
- Dimalacocentrus T. N. Gill, 1863
- Semachlorella Fowler & B. A. Bean, 1928
- 種
- Labrus taeniourus Lacépède, 1801
- Hemipteronotus taeniourus (Lacépède, 1801)
- Julis bifer Lay & E. T. Bennett, 1839
- Novaculichthys bifer (Lay & E. T. Bennett, 1839)
分布
紅海および東アフリカから、東太平洋のガラパゴス諸島およびパナマまで、北は南日本およびハワイ諸島から、南はロード・ハウ島まで、インド太平洋の熱帯および亜熱帯海域に広く分布する[1]。日本国内では、八丈島、小笠原諸島、和歌山県串本町、高知県柏島、屋久島、琉球列島、尖閣諸島に分布する。幼魚のみの場合、神奈川県早川でも見られる。また、死滅回遊魚として、南日本のかなり広い地域の太平洋岸で見られる。国外では台湾、東沙群島、西沙諸島、南沙諸島にも分布する[6]。
形態
全長は通常20cm程度だが[7]、最大で30cmに達する[5]。側線は不連続。臀鰭軟条は背鰭軟条より長い[8]。背鰭は9棘12-13軟条から、臀鰭は3棘12-13軟条から成る[5]。成魚は頭部が白色で、尾鰭基部には幅の広い白色横帯がある。成魚の雌は黒っぽく、体側は鱗列に対応した白色斑列があり、網目状を呈す。眼の後ろに斜め上方と下方に向かう2本ずつの放射状黒色線がある。成魚の雄は頭部に黒色線がなく、胸鰭基部に小さい黄色斑、その後方により大きい黒色斑がある。幼魚は全身が赤く、白い斑点が全身にある。背鰭の第1・2棘が顕著に長く赤褐色。背鰭、体側、腹鰭にかけて紅色の横帯が3本入る。この横帯が紅藻によく似ているため、海藻の切れ端のような外観になる[8]。全身が緑色で、背鰭の第1・2棘が緑色、3本の横帯は濃い緑色の個体もいる。このような個体は緑藻に擬態していると思われる。
生態
岩礁やサンゴ礁周辺の潮通しのよい転石砂底や砂礫底に生息する[6][7][8]。縄張り意識が強く、つがいで泳ぎ回る。礫をひっくり返して底生動物を探索し、軟体動物や棘皮動物、甲殻類など、無脊椎動物を捕食する[5]。夜はサンゴ片を運んで寝床をつくり、その下に潜る[9]。英名の「Rockmover wrasse(石を動かすベラ)」は、この行動に由来する[8]。幼魚は頭を水底に向けてヒラヒラ漂うような、特徴のある泳ぎ方をする。これは海藻に擬態するためであると考えられている[6]。卵生であり、繁殖期ごとに別のつがいと繁殖する[5]。
人との関わり
食用として流通することは少なく、地元で消費される程度である。観賞魚として飼育されることもある[1]。
ギャラリー
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赤色の幼魚
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緑色の幼魚
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若魚
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雄成魚
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雌成魚
脚注
- ^ a b c Pollard, D.; Yeeting, B.; Liu, M. (2010). “Novaculichthys taeniourus”. IUCN Red List of Threatened Species 2010: e.T187441A8536165. doi:10.2305/IUCN.UK.2010-4.RLTS.T187441A8536165.en 2025年6月12日閲覧。.
- ^ “CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Novaculichthys”. researcharchive.calacademy.org. 2025年6月12日閲覧。
- ^ a b William N. Eschmeyer. Fricke, Ron & van der Laan, Richard (eds.): “Genera in the family Labridae”. Catalog of Fishes. California Academy of Sciences. 2025年6月12日閲覧。
- ^ “Order LABRIFORMES (part 2): Family LABRIDAE (i-x)”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf (2025年2月14日). 2025年6月12日閲覧。
- ^ a b c d e Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2025). "Novaculichthys taeniourus" in FishBase. June 2025 version.
- ^ a b c 加藤昌一『ネイチャーウオッチングガイドブック ベラ&ブダイ 日本で見られる192種+幼魚、成魚、雌雄、婚姻色のバリエーション』誠文堂新光社、2016年、228・229頁 ISBN 978-4-416-51647-8
- ^ a b 小林安雅『日本の海水魚と海岸動物図鑑 1719種』小学館、2014年、131頁 ISBN 978-4-416-61432-7
- ^ a b c d 中坊徹次『小学館の図鑑Z 日本魚類館 ~精緻な写真と詳しい解説~』小学館、2018年、337頁 ISBN 978-4-09-208311-0
- ^ Takayanagi, S.; Sakai, Y.; Hashimoto, H.; Gushima, K. (2003-11). “Sleeping mound construction using coral fragments by the rockmover wrasse” (英語). Journal of Fish Biology 63 (5): 1352–1356. doi:10.1046/j.1095-8649.2003.00243.x. ISSN 0022-1112 .
関連項目
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