オックスフォード派への批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 01:56 UTC 版)
「シェイクスピア別人説」の記事における「オックスフォード派への批判」の解説
作者の没年の他にも、正統派にとっては受け入れがたい点がオックスフォード説には多く存在する。特にオックスフォード伯の生涯とシェイクスピア作品の間の関連が、全て推測に過ぎないということは正統派にとって譲れない事実である。また同時代の人々が伯爵の文才を賞賛していたとのことだが、実際には控えめな評価であり、絶賛といえる程のものではない。 またオックスフォード派の人々を歓喜させたジュネーヴ聖書に関しても疑問が呈されている。伯爵による注記を詳細にリストアップして、該当するシェイクスピアの引用部分と比較研究してみると、当初喧伝された程の相互関係やパターンはないに等しいことが判明した。伯爵が下線を引いた部分に含まれるのと同じ語をシェイクスピアの作品中から探し出しただけであり、その数も伯爵の注記約1000箇所のうち正典中に類似した表現の見られるものが約2割、シェイクスピアが作中で聖書に触れた約2000箇所のうち伯爵の聖書において下線の引かれたものが約1割というのが「一致」の実数である(シェイクスピアと同時代の別の作家の作品を調査して同程度の結果が出ても不思議な数ではない)。これによって伯爵の聖書を真の作者の用いた聖書であったと断定することに対する正統派の反対の声は大きく、オックスフォード派の希望的観測にすぎないとの反論がなされている。 また、オックスフォード派やベーコン派が依拠している仮定の1つに根本的な反対意見を述べている批評家もいる。すなわち、シェイクスピアは無学であり宮廷の生活に詳しくなかったので、あれらの作品を書くことはできなかったはずだという仮定である。彼らの主張するところによれば、宮廷での上演経験もあり貴族のパトロンもいたシェイクスピアは確実に宮廷に通じており、その一方でオックスフォード伯やベーコンは一般庶民の使う俗語を聞き知る機会に恵まれていなかったと考えられるとのことである(詳細は「シェイクスピアの階級」の節を参照)。
※この「オックスフォード派への批判」の解説は、「シェイクスピア別人説」の解説の一部です。
「オックスフォード派への批判」を含む「シェイクスピア別人説」の記事については、「シェイクスピア別人説」の概要を参照ください。
- オックスフォード派への批判のページへのリンク