オックスフォード時代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 06:04 UTC 版)
「ロバート・フック」の記事における「オックスフォード時代」の解説
1653年、オルガンも習っていたフックはオックスフォード大学クライスト・チャーチの聖歌隊に居場所を確保した。そこで医学者トーマス・ウィリスに出会い、化学助手として雇われ、大きな賞賛を受けることになる。また自然哲学者ロバート・ボイルと出会い、1655年ごろから1662年まで助手として雇われ、ボイルの空気ポンプ "machina Boyleana" の製作、操作、実演を担当した。学士号を取得するのは1662年か1663年ごろのことである。1659年、ウィルキンズに空気より重い乗り物で飛行するためのいくつかの要素を説明しているが、人間の筋力では不充分だと結論付けている。 フックは自身のオックスフォード時代を科学への情熱を形成した時代としており、このころ知り合った友人、とくにクリストファー・レンは生涯に渡っての親友となった。当時のウォドム・カレッジはジョン・ウィルキンズの指導下にあり、ウィルキンズはフックやその周辺に大きな影響を与えた。ウィルキンズも王党派であり、その時代の不穏さと不確かさに気づいていた。王党派の科学者にとって、プロテクトレートが科学を脅かそうとしていると思える切迫感があった。ウィルキンズが開催していた「哲学的会合」は明らかに極めて重要だが、ボイルが1658年に実施して1660年に出版した実験以外にほとんど記録が残っていない。このグループが王立協会創設の中核となった。ボイルの空気ポンプの元になったのは Valentine Greatorex の使っていたポンプで、フックは彼について「大事を成し遂げるには大雑把すぎる」と評している。 フックは特に目が鋭く、数学者としても優秀だった。どちらもボイルには欠けていた資質である。Gunther はボイルの実験で計測値を読み取ったのはフックで、ボイルの法則を数学的に定式化したのもフックだったのではないかと示唆している。いずれにしてもボイルにとってフックは得がたい助手であり、両者が互いに尊敬しあっていたことは明白である。 ウィルキンズが亡くなったとき、その蔵書から形見分けしてもらえることになったフックは、トーマス・ウィリスがウィルキンズに贈呈した著書 De anima brutorum を譲り受けた。その本は現在 Wellcome Library にある。
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