エンジンおよびプロペラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/19 10:21 UTC 版)
「XB-42 (航空機)」の記事における「エンジンおよびプロペラ」の解説
推進力を生み出すエンジンとして、アリソン社のV-1710-V型12気筒液冷エンジンを搭載していた。このエンジンは当時のアメリカの戦闘機などに装着されていたものであったが、爆撃機に液冷式のエンジンを搭載した例はボーイング社のY1B-9試作爆撃機(1931年進空)やXB-38試作爆撃機(B-17の液冷式エンジン換装型)など少数で、XB-42もそれらと同じく当時のアメリカの輸送機や爆撃機で主流となっていた空冷エンジンを使用しない機体であった。なお、XB-42が液冷式を採用したのは機体内部にエンジンを押し込めた為、空気冷却が出来なかったからに他ならない。 プロペラはレシプロエンジン2基で作動した。またエンジンは他のレシプロ爆撃機が機首ないし主翼に搭載していたのに対し、胴体前部の内部に収納されていた。そのためプロペラを稼動させるため、延長軸を使用して胴体後部のプロペラに動力を伝えていた。またプロペラは二重反転式を採用していた。この方式はプロペラ後流の偏向を正逆回転の組み合わせで相殺できるため、垂直尾翼の小型化が可能となり、空気抵抗の減少やプロペラ効率の向上などが得られるというメリットがある反面、複雑な機構となり高度の技術が必要となる。実際に同時期に開発されていたYB-35でも、この二重反転式が採用されたが、わずかな飛行回数でエンジンに金属疲労を生じており、通常のプロペラに換装された事例がある。しかしながらXB-42のそれはレシプロエンジンでは例外的に成功していた。愛称の「ミックスマスター」は強力な推進力が生み出す渦を連想して付けられたものであった。 なお、大口径のプロペラが後ろにあるため、万が一乗員が緊急脱出する際には回転するプロペラに巻き込まれる危険性があり、脱出直前にプロペラの結合部を爆破して先に脱落させて安全性を確保することとしていた。 このXB-42は1944年12月にロングビーチからワシントンDCまでのアメリカ大陸横断飛行で平均速度704Km/h(433.6mph)の速度記録を作り、高速性能を示した。
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