エリックB&ラキム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/09/04 00:02 UTC 版)
1985年、エリックBと共に活動を開始した。エリックB&ラキムという名で活動し、ヒップホップ史の中で「ゴールデンエイジ・ヒップホップ」と呼ばれる時代において、最も名の知れた存在、さらに後に影響を与える存在となった。ラキムの登場以前、ヒップホップの詞は、DJが流す音楽に自ら即興で言葉を被せることから始まったという起源から抜け出せずにいた。つまり、規則的な拍子と押韻(Run-D.M.C.やカーティス・ブロウなど)、単純な詞の内容を、最初から最後まで力強くラップしていた。その中でラキムは、サックスでジャズを演奏しながら、自身の詞の流れの原型を形作ろうと試行錯誤していた、と語っている。 1991年に発表され92年に黒人ラジオでオンエアされたラキムの「ドント・スウェット・ザ・テクニック」のリリックには、『科学者たちは本質を見出そうとしている。哲学者たちは未来を予測しようとしている。そのために、連中は研究室に篭りっきりだ。しかしやつらは、それを呑み込めなかったし、そうする資格も持っていなかった。自分の思想は、自分の音楽を聴く者たちのためにある。さらに自分に反対する人々のためにある。すぐに受け入れられるようなものではない』と表現されている。同曲はウッド・ベースを強調し、ジャズ・ラップ的要素を持った曲だった。1980年代から1990年代前半、暴力が氾濫していた街中で、多くのラッパーたちが自らの楽曲に、教訓的な要素を込めることに共感した。そしてラキムは、逐語的/比喩的の両方を駆使したラップを発表した。 2000年代になってオールミュージックガイドに掲載されたスティーブ・ヒューイの記事によれば、ラキムは最もグレイトなMCの一人であり、彼のライムの流れは滑らかで流暢、バックトラックの旋律と共に調子を変えていく、さらに落ち着き払った様子で、まるで汗もかかずにパフォーマンスをしているかのようだと記述している。デューク大学のマーク・アンソニー・ニールは、ラキムのライム/リリックに最大級の賛辞を与えている。 ラキムのライムには、表面的な主題の先に、さらに深い比喩的な主張が込められていることもある。例えば、ラッパーとしてのラキムは、精神的・道徳的教師のようである(ただし、他のラッパーはラキムがドラッグをやっていたと指摘)。また、ラキムが批判したラッパーたちは、知恵の道を歩むこと(生きる知恵)を拒否する人々を象徴している。
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