イギリスとアメリカの判例法主義の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/25 08:30 UTC 版)
「判例法主義」の記事における「イギリスとアメリカの判例法主義の特徴」の解説
判例主義国を代表するイギリス・アメリカでの特徴を記す。前提としてイギリスは不文憲法国家であり(連合王国憲法)、アメリカは成文憲法を有している(アメリカ合衆国憲法)。 アメリカの革命期においては先例拘束性は「恣意的判断の排除」につながるとされてきた。「法による政府」(法の支配)という原理が発達したアメリカにおいては,判事たちの恣意的な意思ではなく,法に従っていることを示す必要があり,先例拘束性はまさしくこの要請に応えるものであった。 アメリカでは社会の変化が急速であり、イギリスと比較して先例拘束性・判例主義・前例主義の理論がそこまで厳格ではない。 アメリカでは判例法主義に対する批判運動なども見られた(ジャクソニアン・デモクラシー)。 アメリカでは各州と連邦が集権化されていないため多くの裁判所が判例を出している。 アメリカの法学教育が具体的判例を討論する方法によって行なわれ、アメリカ各州の判例をピックアップしたケースブック(判例の教材)を教材として用いる。ケース・メソッドはプラグマティズムと結び付き、先例を覚えるのではなく、先例を批判的に分析して、法を創り出す材料にすぎない。プラグマティズムとは、過去の産物は未来を創り出していくのに役立だないなら拘束力をもたないという歴史観。(「英米法総論 上」田中英夫著、東大出版会) 一般的にアメリカは司法積極主義と言われており黒人の地位向上につながる判決を連発した歴史もある。逆にイギリスでは条文の解釈はあくまでも言葉の一般的な意味を持って行うという黄金律が法解釈において規範となっているためイギリスはコモン・ローにおけるアメリカとは異なる立場をとる。一方、ドイツや日本は司法消極主義と言われており、日本は法令違憲判決がだされたのは、数えるほどである。(新井章「司法の積極主義と消極主義」)
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