イギリスからの導入と独立
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/23 05:59 UTC 版)
「アメリカ合衆国の警察」の記事における「イギリスからの導入と独立」の解説
「アメリカ合衆国の植民地時代」および「アメリカ合衆国の歴史 (1776-1789)」も参照 イギリスによるアメリカ大陸の植民地化の過程で、多くの制度がイギリス本国から北アメリカに持ち込まれており、警察制度も同様であった。アメリカ合衆国の植民地時代の警察機構の由来となった、イギリスの代表的な公安職は下記のようなものであった。全てが日本では「保安官」と訳される。 シェリフ (Sheriff) 国王から州(シャイア。 現在のカウンティの前身)ごとに派遣された代官。当初は「シャーリーブ」(Shire Reeve)と称されていたが、後に訛って「シェリフ」となった。 マーシャル (Marshal) 裁判所の運営にあたる廷吏。法廷内の秩序維持や令状の執行、囚人の護送などにあたっていた。 コンスタブル (Constable) 最初期は隣保組織の長(十人組長)がこう称されていたが、後に1年任期制・無給で地域住民から選ばれる法執行官を指すようになった。 イギリスでは、地域の秩序・平和を維持する責任は地域住民各々が負うべきであるという自治の意識が強く、家族や地域住民による隣保制の時代が長かった。北アメリカの植民地でもこの理念は踏襲され、またアメリカ大陸の地理的条件などもあって、まずは隣保制や、その延長として地域住民に依拠した公安職が主となった。例えばマサチューセッツ湾植民地の中心となるボストンでは、1631年より夜警制度が発足し、1634年にはコンスタブルが任命された。その後植民が進むと、各植民地政府は植民地内を郡(カウンティ)に分割し、それぞれに代官としてシェリフを配した。またこれらの郡のなかで、人が集まって町を形成した場所では法廷も開廷し、これに伴ってマーシャルも任命された。 アメリカ合衆国の独立期に整備されていた警察制度は、おおむね以上のようなものであった。また独立後の1789年、連邦政府も自らの法執行官として、独立十三州に1人ずつのマーシャル(連邦保安官)を配置した。なお集団的警備力が必要となった場合には、やはりイギリスと同様に軍隊が動員されたが、アメリカの場合は常備軍への抵抗感が強かったこともあり、主として州知事指揮下の民兵(州兵の前身)に頼ることになった。
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