アドリエル・アロチャ対ニードヴィル法廷戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 05:26 UTC 版)
「テキサス州」の記事における「アドリエル・アロチャ対ニードヴィル法廷戦」の解説
同州フォート・ベント郡ニードヴィルの幼稚園に通うリパン・アパッチ族インディアンの少年アドリエル・アロチャ(Adriel Arocha)は、インディアンの宗教習慣に従って、長い髪を伸ばしている。 2008年夏、「ニードヴィルISD」(独立学校区)と学校当局は、アドリエル(当時5歳)の長髪を、テキサス学区での通例である学則に従い短く切るよう両親に通告し、「従わない場合は退学させる」とした。これに対し、父親ケニー・アロチャと母親ミッシェル・ベテンボーはこの処置を「インディアンの宗教に対する侵害である」とし、「アメリカ市民自由連合(ACLU)」の後押しを受けて法廷闘争に持ち込み、「髪を伸ばしているのは(ケニーは12年間、アドリエルは生まれてから一度も髪を切っていない)宗教の自由のための闘いだ」として徹底抗戦の構えをとった。 以後、このインディアン児童の処遇を巡ったテキサス州での係争は、「アドリエル・アロチャ対ニードヴィル法廷戦(A.A. v. Needville Case)」と名付けられ、全米が注目する裁判となった。 この際、ニードヴィルISD監督官のカーチス・ロードスはアドリエルの両親が校区の服装規定に対し、宗教的理由による免除を求めたことを受けて両親の態度を批判し、「彼らは宗教の自由と言うが、それがどんな宗教かわかりますか?」と述べ、「あなたがイスラム教徒とか言うんなら、それはよく知られてますからわかりますよ。でもあなたの宗教とやらには、どれほどの信仰心が伴うものだと言うんですか」と問題発言を行った。9月3日からは、同校校長がアドリエルを髪を切るまで校内謹慎処分とし、級友たちとは別室で、退職教員による特別授業を受けるよう指示した。 この訴訟では、地区の判断が合衆国憲法の修正第1条と第14条、また「テキサス宗教の自由復活法」下での権利に違反すると述べられた。2008年10月に学区の処置に対し差し止め命令が下されたのち、2009年2月、連邦裁判所のキース・P・エリソン裁判官は学校側の強制を「憲法違反」と判定、差し止めを恒久的なものとした。しかし学校側は裁決を不服とし、「三つ編みにした髪を襟に入れるなら登校しても良い」と裁決に逆らって条件を出した。 現在アドリエルは三つ編みを外に垂らして通学し、あくまで学校の条件に抗っている。アドリエルと両親に対しては、「ACLU(アメリカ市民自由連合)」のほかに、同州の「リパン・アパッチ族」、同州のインディアン学者のK・ツィアニナ・ロマワイマとスザンヌ・クロス、「州の政教分離のためのアメリカ人連合」、「反名誉棄損同盟」、「バージニア・ナンセモンド族・インディアン部族協会」、「アメリカ・ユダヤ人協会」、「アメリカ・ヒンズー教徒財団」、「異教徒間同盟」、「シーク教徒連合」と「連合シーク」が支援を表明しており、全米をあげた大論争となっている。
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