ゆで卵と科学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 05:32 UTC 版)
「コロンブスの卵」という、できそうにないことを簡単にやってのける発想の転換を教えるエピソードがあり、建築家フィリッポ・ブルネレスキが起源とされる。フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のキューポラの設計を誰が担当するかというときに出た話である。 立春または春分には卵が立つという俗説がある。元々中国には立春の日に卵を立てる儀式があり、1945年にそれを見た『ライフ』の特派員、アナリー・ジャコビーがその儀式を紹介する記事を書き、UPI通信社が全米の新聞社に向けて配信した。これがきっかけで、西欧社会に「春分の日だけは卵が垂直に立つ」という俗説が広まった。科学者の中谷宇吉郎には『立春の卵』(1947年発表)という随筆があり、立春に卵が立つという当時の噂を実験したことを書いている。なお、実際には立春や春分に限らず、1年中いつでも卵を立てることはできる。 生卵とゆで卵を割らずに判別する方法に、卵を寝かせてテーブルの上で勢いをつけて回転させ、指で短時間回転を止めた後再び指を離すというものがある。指を離すと再び微妙に回転し始める方が生卵で、これは殻の回転を短時間止めても流体状の中身が慣性で回転を続けたままであるために起きる現象である。もっとも同様の理由で回転させようとした時点で回転しにくく、それだけでも判別できる。 ゆで卵をテーブルの上などで高速回転させると、次第に起き上がって回転するようになる。この力学は下村裕とキース・モファット(英語版)が解明し、2002年3月28日の『ネイチャー』に掲載された。また、三井と下村らにより、回転する卵が非常にごくわずかだがジャンプするという予測について、現象が確認され、2006年に発表された。 日本の小学校でよくおこなわれる理科の実験に、牛乳瓶の口にゆで卵を乗せ、あらかじめ温めておいた中の空気を冷やすなどして中の空気を収縮させて圧力を下げたとき、大気圧との圧力差によってゆで卵が瓶の中に押し込まれる(吸い込まれると説明されることが多い)というものがある。 殻を剥いた状態のゆで卵を冷蔵庫に長期間入れておくと、卵白が透明に硬くガラス化して長期保存が可能となる。卵白は水に浸けると元に戻る。
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