薩摩焼酎(さつましょうちゅう)
イモ焼酎に代表される本格焼酎の本流。室町時代からの長い歴史を持つ。山地多く平野に乏しく特に水田耕作の便に恵まれず、かつ気候温暖な薩摩は醸造酒の製造に適さず、古くから蒸留酒である焼酎が飲まれていた。最も古い焼酎の記録は天文一五(1546)年、アルヴァレスの書簡にみえるもので、当時、薩摩半島南端でコメ焼酎が飲まれていたことが記されている。イモ焼酎がつくられるようになるのはカンショの普及した1700年代に入ってからのことである。江戸時代、薩摩では「国中七八分は皆此焼酎にて酒宴する」(『西遊記(せいゆうき)』)ほど広く飲まれていたが、江戸や大坂では蒸留酒としての薬用効果もあって高価に取引され、文政七(1824)年江戸では一升につき安酒が八〇文、上酒が二五〇文であるのに対し薩州焼酎は五〇〇文で販売されていた。明治のころまでの焼酎つくりは清酒と同じく黄麹菌を用いてつくった麹と蒸した主原料(カンショなど)を同時に仕込むいわゆるどんぶり仕込みであった。明治三五年ころ、まず麹と水で酒母をつくりこれに主原料を加える二次仕込法が開発され、さらに大正初めに沖縄の生酸性の強い黒麹菌が導入され今日の本格焼酎の製法の基礎が確立された。この鹿児島式二次仕込方法は汚染されてもビクともしない強い酒母をまずつくろうとする豪放で南国的な製法で、他に例をみないユニークなものである。この製法は現在までかわることなく受け継がれ、今日の百花繚乱の感のある多彩な原料を用いた焼酎の誕生の源はこの製法にあるといっても過言ではない。薩摩焼酎はイモ焼酎のお湯割りに代表されるが、これは南九州の特異な風土の中で日本人に合った味を蒸留酒の中に求め続けてきた結果生まれたものといえる。
さつましょうちゅうと同じ種類の言葉
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