『紅楼夢の現状』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 21:34 UTC 版)
以下の文献はである。文化大革命以後、芸術手法、芸術弁証法、芸術技巧、芸術結構といった言葉が頻用され、『紅楼夢』の芸術性が追求された。『紅楼夢』の価値となると、中国小説の中では本当に得難い。従来の小説が善玉はあくまで善、悪玉はあくまで悪としたものとは違い、登場人物が皆本物だということ。それゆえ反面人物について高い芸術性が評価された。曹雪芹は生活の弁証法を尊重し、王熙鳳のことを邪悪な性格を浮き彫りにするに伴い、読者に好かれるような彼女の一面も描く。これが反面文学典型の創造である。『紅楼夢』は事実上政治闘争を描いたものだという人もいる。賈雨村・甄士隠を用いたことで愛情と婚姻という仮語村言から政治闘争という真実に気付かせようとした。こうした絶妙な解釈は紅楼夢の持つ豊富な社会内容や完璧な統一体という芸術的成就である。この政治闘争を描いた背景には、曹雪芹は中国封建社会最後の専制王朝に生まれ、文字獄とうい厳しい思想統制のために真実を隠し、仮語村言を使ってごまかすという芸術手段をとらざるをえなかったからだ。曹雪芹の死後、脂硯斎は名を盗み世を欺き、80回だけ世に出して、後の40回については曹雪芹在世中に失なわれたものとして人々を欺いた。これが現在私たちが知る『紅楼夢』の現状である。
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