「鬼道」についての諸説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 23:17 UTC 版)
中国において、「鬼(き)」とは、死者の霊魂、霊的存在を意味する。「鬼道(きどう)」というのも、倭国における自称ではなく、中国側からの呼称とも考えられる。 卑弥呼の「鬼道」については幾つかの解釈がある。 卑弥呼はシャーマンであり、男子の政治を卑弥呼が霊媒者として助ける形態とする説(井上光貞『日本の歴史』〈1〉 中公文庫 2005年等)。 『魏志』張魯伝、『蜀志』劉焉伝に五斗米道の張魯と「鬼道」についての記述があり、卑弥呼の鬼道も道教と関係があるとする説(重松明久『邪馬台国の研究』 白陵社 1969年等)。 上記の説について慎重さを求める意見もある(佐伯有清『魏志倭人伝を読む』下 吉川弘文館 2000年)。 卑弥呼の鬼道は後漢時代の初期道教と関係があるとする説(黒岩重吾『鬼道の女王 卑弥呼』 文藝春秋 1999年等)。 道教説を否定し、鬼道は道教ではなく「邪術」であるとする説(謝銘仁『邪馬台国 中国人はこう読む』 徳間書店 1990年)。 神道であるとする説。神道の起源はとても古く、日本の風土や日本人の生活習慣に基づき、自然に生じた神観念であることから、縄文時代を起点に弥生時代から古墳時代にかけてその原型が形成されたと考えられている。大島宏之 『この一冊で「宗教」がわかる!』 三笠書房 その他、「鬼道」についてシャーマニズム的な呪術という解釈以外に、当時の中国の文献では儒教にそぐわない体制を「鬼道」と表現している用法がある(神道#由来も参照)ことから、呪術ではなく、単に儒教的価値観にそぐわない政治体制であることを意味するという解釈がある。
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