《鴻門之会》の正しい読み方
「鴻門之会」の正しい読み方
「鴻門之会」の正しい読み方は、「こうもんのかい」だ。漢文のエピソードの一つであり、日常生活で使う言葉ではないので、このお話を知らないとピンとこない読み方だ。「鴻門之会」の意味解説
秦の始皇帝の死後、項羽と劉邦は、次の皇帝の座を狙って争った。その争いの中のエピソードの一つが、「鴻門之会」だ。中国の歴史書として有名な「史記」の中に、その様子は書かれている。項羽と劉邦が活躍していた当時、関中(地名)を最初に平定した者が、関中の王となることになっていた。項羽も劉邦もそれを目指したが、劉邦の方が先に関中に入ってしまった。その上、劉邦の家来の中に、「劉邦は、王になろうとしている」と項羽に告げ口する者がいた。項羽は激怒した。その頃は、項羽のほうが絶対的に強かったので、劉邦は、項羽の怒りを鎮めなければならなかった。そこで劉邦は申し開きに鴻門を訪れた。会見をしたのである。項羽は劉邦たちをそこにとどめて、酒宴を催した。その席にて、項羽は部下から、「今、劉邦を殺してしまえ。」と何度も勧められたが、できなかった。その部下は、やむをえず別の部下に余興として剣舞を舞わせた。剣舞にかこつけて、劉邦を殺させようとしたのだ。そうこうするうちに、劉邦の部下が仲間の屈強な者を呼び寄せる。項羽が、その者に大酒を振る舞ったり肉を食わせたりしている間に、劉邦はトイレに行くと見せかけて逃げてしまった。
「鴻門之会」の後、劉邦はしだいに力を増していき、項羽は破れることになる。ライバルを殺す好機を逃がしたのである。
なぜ「鴻門之会」と読むのか・理由
「之」の字は、「ゆく・~にいたる」という意味や、「これ・この」という意味も持っている。しかし、ここでは、上の言葉が、下の言葉を修飾する助詞の「の」の意味で使われている。「鴻門」という場所での項羽と劉邦の会見なのである。したがって「之」の字は、「の」と読む。「鴻門」は「こうもん」、「会」は「かい」と読むので、「こうもんのかい」と読むことになる。「鴻門之会」の類語・用例・例文
「鴻門之会」は、項羽と劉邦のエピソードの一つなので、同じ意味の言葉は単語では見当たらないが、内容的には、「好機を逃す」という意味合いがこのエピソードの中にはある。それでは、用例・例文を挙げる。・「史記」の中の、「項羽」が絶好のチャンスをものにできなかったことが描かれているエピソードは、「鴻門之会」だ。
・「鴻門之会」で、劉邦を殺すことができなかった項羽は、自分の部下から「甘い男だな」と、きっと思われてしまったことだろう。
・「鴻門之会」で、項羽は、なぜ劉邦を殺さなかったのか不思議に感じる。後に、劉邦に追い詰められて死ぬことになった時、後悔はしなかったのだろうか。
・ある時点での判断が人生を左右することがある。「鴻門之会」は、その事をわかりやすく伝えるエピソードだ。
・「鴻門之会」で、劉邦はトイレに行くとみせかけて逃げる。逃げることは格好悪いのかもしれないが、その後の劉邦の成功を見ると、時には必要なことなのだと思ってしまう。
「鴻門之会」の英語用例・例文
「鴻門之会」の英語は、「Feast at Swan Goose Gate」だ。feast は、ごちそう、宴会の意味がある。項羽と劉邦の会見の時に催された酒宴に着目した英訳だ。用例・例文を挙げる。・"Feast at Swan Goose Gate" is one of historical allusions.(「鴻門之会」は、歴史的なお話の一つだ。)
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