JR西日本681系電車
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JR西日本681系電車 北越急行681系電車 | |
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基本情報 | |
運用者 |
西日本旅客鉄道 北越急行 |
製造所 |
川崎重工業 近畿車輛 日立製作所笠戸事業所 新潟鐵工所[注 1] |
製造年 |
先行試作車:1992年 量産車:1995年 - 1997年 |
製造数 | 102両 |
運用開始 | 1992年12月26日 |
消滅 | 北越急行:2015年3月14日(JR西日本に譲渡) |
主要諸元 | |
編成 |
基本編成:6両(2M4T) 付属編成:3両(1M2T) |
軌間 | 1,067 mm |
電気方式 |
交流 20,000 V(60 Hz) 直流 1,500 V (架空電車線方式) |
最高運転速度 |
JR線内:130 km/h ほくほく線内:160 km/h(W編成および2000番台) |
設計最高速度 | 160 km/h |
起動加速度 | 1.8 km/h/s[1] |
減速度(常用) |
4.5 km/h/s(先行試作車)[1] 4.3 km/h/s(量産車)[2] |
減速度(非常) |
5.5 km/h/s(先行試作車)[1] 5.2 km/h/s(量産車)[2] |
車体 | 普通鋼 |
台車 |
軸梁式ボルスタレス台車(ヨーダンパ付) WDT300・WDT303(2000番台)・WTR300 |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 |
駆動方式 | WNドライブ |
歯車比 | 5.22 |
出力 |
量産車:220 kW / 基 (WMT103) 先行試作車:245 kW / 基 (WMT105)[3] |
編成出力 |
量産車: 6両基本→220 kW×8=1,760 kW 3両付属→220 kW×4=880 kW 先行試作車: 6両基本→245 kW×8=1,960 kW[3] 3両付属→245 kW×4=980 kW[3] |
制御方式 |
サイリスタ位相制御コンバータ (WRS103)+電圧型PWMGTOサイリスタ-VVVFインバータ (WPC6) 1C1M制御 |
制動装置 |
電力回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ (直通予備・抑速・耐雪ブレーキ機能付き) |
保安装置 | ATS-P・ATS-Sw |
ここでは、北越急行が保有していた同系についても記述する。
概要
京阪神と北陸地方を結ぶ特急「雷鳥」「スーパー雷鳥」は専ら485系が使用されてきたが、高速道路網の整備が進み、所要時間の短縮とより高いサービスが提供ができるように製造されたのが本系列である。1992年7月に先行試作車が登場した。
投入当時、既に485系「雷鳥」「スーパー雷鳥」は踏切のない湖西線および北陸トンネル内にて600メートル条項の特認を受け130 km/hでの営業運転を実施していたが、本系列ではブレーキ性能の向上をはかり踏切のある区間においても130 km/h運転を目指した。さらに将来的には踏切のない湖西線および北陸トンネル内での160 km/h運転にも対応できる性能としている[4][5]。なお同区間での160 km/h運転は2015年3月現在も実現していないが、1997年から本系列が投入されたほくほく線において130 km/h超での営業運転が開始され、最終的に本系列の性能を活かして160 km/h運転が実現した。
JR西日本の車両は川崎重工業・近畿車輛・日立製作所が製造した。北越急行の車両は川崎重工業が製造したが、近畿車輌と新潟鐵工所に委託された車両もある[6]。両社合計で102両を新製し、その後の増備はコストダウンと性能向上を図った683系に移行した。681系の大半が2015年3月14日(土)北陸新幹線金沢延伸開業日からしらさぎに転用された。
先行試作車
量産に先立って製造された先行試作車は、1992年に9両が製作された。当時北陸本線を走行していた485系特急「雷鳥」「スーパー雷鳥」と同程度の輸送力を確保しつつグリーン車の向きを合わせることから、富山寄りにグリーン車を連結した9両貫通編成とされた[7]。
車体(先行試作車)
車体は普通鋼製を基本とし、軽量化の観点から強度が必要な個所に関しては高耐候性圧延鋼材、屋根板および床板には腐食を考慮してステンレス鋼を使用している[8]。列車の分割併合を前提としない非貫通型運転台とし、前頭部は大型曲面1枚ガラスの流線形とした[8]。先頭部の密着連結器も格納式とすることによりスカートも一体形状にでき、スピード感あふれる形状とした[8]。側面窓は連続窓構造で、先頭車の側面上部(乗務員室後部)には「JR WEST JAPAN」のロゴがあしらわれている。
車体長は21,160 / 20,600 mm(先頭車/中間車)、車体幅は2,915 mm、車体高は3,550 mmである[9]。床面高さは485系比75 mm低い1,160 mmとし、ホームとの段差を小さくしている[9]。車体断面は、腰部の曲線を半径500 mmと小さくし、腰部より上は3度の傾斜で立ち上げている[9]。肩部は直線に近い形状とし、その上部に段差をつけて雨樋としている[9]。
安定した高速度走行と曲線通過性能の向上を目指した低重心設計が施されており、曲線通過性能は半径600 m未満で本則[注 2]+15 km/h、600 m以上700 m未満で本則+20 km/h、半径700 m以上で本則+25 km/hである[10]。
列車種別・行先表示器は221系以来の標準である列車種別表示部が字幕式、行先表示部はLED式となっている。
走行装置(先行試作車)
M車(電動車)にVVVFインバータ、Tp車(付随車) に集電装置・変圧器・整流器といった交流機器、T車(付随車)に空気圧縮機・補助電源装置といった補機類を分散搭載した M - Tp - T の3両1ユニット構成とした[11]。そして、編成全体でのMT比を1M2Tとすることで編成の自由度を高めることを狙った[12]。床下機器は機器間にふさぎ板を取り付けることで平滑化を推進し、着雪障害の防止を図っている[13]。
在来線電車では、207系に次いで2例目となるVVVFインバータ制御の採用となった。VVVFインバータ (WPC3) はGTOサイリスタ素子を使用した PWM インバータである。冗長性の向上や軸単位での制御による細かな制御を狙い、インバータ1基で1台の主電動機を制御する 1C1M 制御方式が採用されている[12]。1群ごとにインバータユニットは別箱に収納されており、枕木方向に機器を配置している点が特徴である[14]。主電動機は、1時間定格出力190 kWのかご形三相誘導電動機 WMT101 を電動車両1両あたり4基搭載する。主整流器はサイリスタブリッジを2段直列接続方式とした WRS100 が使用される[13]。なお、主電動機は後年683系と同じ1時間定格出力245 kWのWMT105[要出典]に換装されている[3]。
主変圧器は外鉄形密封方式の WTM25 を搭載する[13]。485系に比べて大幅な軽量化を図り、定格容量は1,295 kVA、主回路用の二次巻線は1,150 kVA、補助電源回路用の三次巻線は145 kVAの定格容量を備える[15]。
補助電源装置は、207系で実績のあるGTO二重チョッパ+パワートランジスタインバータで構成された静止形インバータ WSC22 (定格容量150 kVA)を採用する[15]。交直流電車であることから、入力側の交流対応を行ったほか、保護回路動作時の自動リセットや運転台からの電源誘導を可能とした[15]。空気圧縮機は、先頭車両(クロ681-1およびクハ680-1)往復単動2段式水平対向4気筒である WMH3096-WTC1500 が、中間車両(サハ681-1)には スクリュー式である WRC1600X が搭載されている[15]。
デッドセクション通過時は運転席の交直切替スイッチを操作することで主回路が切り替わる。車内照明は直流電源方式で、デッドセクション通過時には蓄電池からの供給に切り替わるため、基本的に消灯しない[16]。また、離線などでの静止形インバータ停止に備え、無停電電源装置を搭載する[16]。
集電装置は下枠交差式パンタグラフ (WPS27C) が採用され、サハ680形後位寄りに1基搭載される。バネ上昇空気下降式で、微動すり板を採用することで離線の減少を図っている。
台車(先行試作車)
台車は、ボルスタレス台車 WDT300(電動車両)・WTR300(付随台車)で、車輪径は860 mm、軸距は2,100 mmである[1]。軸箱支持方式は、JR西日本で初めてとなる軸梁式となり、軸箱と台車枠との間には軸ばねのほかに軸ダンパが装備されている。軽量化の観点から、台車枠横梁内部を空気ばねの補助空気室とし[13]、軸受は複列円錐ころ軸受を採用する[16]。160 km/h走行に対応するために基礎ブレーキ装置が強化されており、対向式油圧キャリパ式車輪ディスクブレーキによって車輪踏面への熱影響を防止し、踏面清掃装置によって粘着力の向上を図っている[13]。牽引装置はZリンク式とし、高速走行時の安定性を確保するため、ヨーダンパとアンチローリング装置を採用する[13]。歯車比は5.22である[1]。
接客設備(先行試作車)
普通車の座席は2人掛けの回転リクライニングシートで、座席間隔は485系の910 mm より拡大した 970 mm である。グリーン車クロ681形の座席は1人掛けおよび2人掛けの回転リクライニングシートで、座席間隔は 1,160 mm である。客室天井は中央部と側部で高さを変え、段差部分に間接照明を設けた[9]。
トイレ・洗面所は1両置きとし、偶数号車の前位に設置している[17]。男子用小便器・洋式大便器・洗面所の他、6号車(サハ680-201)には身障者対応とし車椅子でも使用できるようにした[17]。隣接する7号車(モハ681-201)後位寄りには車掌室を設けた。
空調機器は、低重心化の観点から圧縮機とエバポレーターを分離したセパレート方式の WAU302 が1両あたり2基搭載されている。冷房能力は1両あたり36,000 kcal/hである。
形式(先行試作車)
基本的に、客室+出入り台を備えた車両を0番台、便所・洗面所を備えた車両を100番台、その他設備を有している車両を200番台として車両番号を区分している[7]。すべて落成時の車両番号であり、量産化工事によって1000番台に改番されているため、量産車との番号の重複はない。
- モハ681形
- 編成の中間に組成される、運転台のない普通車である。VVVFインバータを搭載する。
- クロ681形
- 車体前位に運転台をもつグリーン車。定員は39名である。補助電源装置・空気圧縮機・蓄電池を搭載する。
- クハ680形
- 車体後位に運転台をもつ普通車。定員は64名である。補助電源装置・空気圧縮機・蓄電池を搭載する。
- 1
- こちらも運転台側窓が三角形[注 3]なのが特徴である。
- サハ681形
- 編成の中間に組成される、運転台のない普通車である。補助電源装置・空気圧縮機・蓄電池を搭載する。
- 101
- 車体前位にトイレ・洗面所・自動販売機を設け、定員は68名である。
- サハ680形
- 編成の中間に組成される、運転台のない普通車である。主変圧器・主整流器を搭載する。
- 1
- 定員は72名である。
- 101
- 車体前位にトイレ・洗面所・公衆電話を設け、定員は68名である。
- 201
- 車体前位にトイレ・洗面所・多目的室・車椅子対応設備、後位にプチカフェテリア・公衆電話を設け、定員は46名である。
先行試作車の量産化統一工事
- 量産車に合わせた方向転換
← 和倉温泉・富山 大阪 →
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- 先行試作車は登場当初クロ681形を富山側に連結していたが、編成の向きと設備を量産車と統一させるために、鷹取工場・吹田工場・松任工場で改造工事を施工することになった。しかし、改造工事中の1995年1月17日の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)で3両が被災した。
- 同年3月から改めて工事を施工したが、地震によって鷹取工場の事務所が倒壊し改造図面が紛失したため、設計担当者が現場作業者と一緒に改造を進めることとなった。また、電動車の主電動機が機器管理庫内の立体棚から落下して破損したため、量産車の予備の主電動機を制御器のプログラムを書換えの上使用することとなった[18]。工事内容を以下に示す[19][20]。
-
- クロ681-1(元9号車)は、出入口を移設の上、車体後位に洗面所・洋式便所を追加し、クロ681-1001として大阪側(1号車)に方向転換。
- モハ681-201(元7号車)は、方向転換の上、モハ681-1201として連結位置を3号車に変更。
- クハ680-1(元1号車)は、出入口を移設の上、車体前位に洗面所・小便器・洋式便所・自動販売機を追加し、クハ680-1001として富山側(9号車)に方向転換。
- サハ680-1(元3号車)およびモハ681-1(元5号車)は、方向転換の上、連結位置を7号車(サハ680-1001)、8号車(モハ681-1001)に変更。
- サハ680-101(元8号車)、サハ680-201(元6号車)、モハ681-101(元2号車)およびサハ681-101(元4号車)は、連結位置を2号車(サハ680-1101)、4号車(サハ680-1201)、5号車(モハ681-1101)、6号車(サハ681-1101)に変更。
- 改造と同時に原番号+1000として車両番号を変更した。塗色は0番台と同一のものに変更され、「Super Raicho THUNDERBIRD」のロゴステッカーが貼り付けられた。その後は9両固定編成として一部の「スーパー雷鳥(サンダーバード)」(のちに「サンダーバード」に統一)に対して限定運用されていた。
- 6両+3両への分割
- 1995年の改造後も量産車と異なり9両貫通編成のままとされ、分割・併合のない一部列車に限定運用されていた。2001年9月には9両固定編成から量産車と同一の基本編成6両と付属編成3両にするために、6号車と7号車の付随車(サハ)を制御車(クハ)に改造した。この先頭車化改造は近畿車両によって行われ、前後の輸送はサハ車2両を機関車で牽引する甲種輸送で実施された[21]。また、車内設備を683系0番台にそろえるための車内設備統一工事も行われ、一部車両では車両番号を変更した。
- モハ681-1201(3号車)は、業務用室および車掌室を撤去し、車体前位に出入口を追加してモハ681-1051に改番。
- サハ680-1201(4号車)は、プチカフェおよび電話室を撤去し、業務用室・車掌室・自動販売機・車内販売準備室を設置してサハ680-1301に改番。
- サハ681-1101(6号車)は、洗面所・小便器・洋式便所を撤去した車体前位寄りに貫通運転台を追加してクハ681-1501に改名。
- サハ680-1001(7号車)は、車体前位に貫通運転台を、後位に洗面所・小便器・洋式便所・公衆電話を追加してクハ680-1501に改名。
- モハ681-1001(8号車)は、車体前位の出入口を撤去し、自動販売機を設置してモハ681-1301に改番。
- クハ680-1001(9号車)は、洗面所・洋式便所・自動販売機を撤去し、車いす対応設備(座席・便所)を追加してクハ680-1201に改番。
注釈
- ^ 川崎重工業からの委託車両であり、名義上は川崎重工業製造。
- ^ 本則とは、国鉄の運転取扱基準規程第121条2項の線路の分岐に接続しない曲線における曲線半径別制限速度を指す。JRの運転規則においては、曲線における電車・気動車の基本の速度、あるいは基本の速度イに相当する。
- ^ a b c 後の683系(クロ683・クロ682)では量産先行車の形に近いものが採用されている。
- ^ 2015年3月14日ダイヤ改正では、再びグリーン車の向きが金沢寄りに変更された。
- ^ このシステムは1958年(昭和33年)、交直流電車の試作車両として在来車を改造して、仙山線にてテストされた、国鉄クモヤ(クモハ)491形・クヤ(クハ)490形 (ただし50 Hz専用)で試作後、システムを交流専用として1978年(昭和53年)、日本国有鉄道(国鉄)時代の781系にも採用された方式であり、JR西日本においては683系や北陸地区の近郊型電車521系にも採用された。
- ^ 運転台を後位寄りに設けるクハ680形において、運転台寄りに集電装置を設置することを避けるためと考えられる。
- ^ 6両編成4本に対して3両編成5本となったことから、T17編成(3両編成)に関して3号車と8号車の交換ができず、もともと8号車として組み込まれていた0番台を改造種車としている。
- ^ a b 6両編成1本、3両編成1本は683系含む。
出典
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- ^ 『鉄道ファン』2015年7月号、交友社、2015年、付録p.46
- 1 JR西日本681系電車とは
- 2 JR西日本681系電車の概要
- 3 量産車
- 4 改造
- 5 最高速度向上試験
- 6 車両配置と運用線区
- 7 脚注
- 8 外部リンク
固有名詞の分類
- JR西日本681系電車のページへのリンク