中古車 認定中古車

中古車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 02:22 UTC 版)

認定中古車

新車を販売するブランドが独自の評価基準を定め、整備や部品交換を行い、ブランドとしての品質を保証した「認定中古車」というシステムがあり、多くは新車を取り扱う販売店の敷地内や近隣で販売している。

認定中古車のブランド名があるもの、該当ブランドの車両のみ販売している店舗

ブランド名は無いが認定中古車を展開しているメーカー

○○認定中古車、○○アプルーブド、○○サーティファイドカーなどの一般名称で展開しているメーカー。

  • フェラーリ - 『フェラーリ・アプルーブド』
  • メルセデス・ベンツ - 『Mercedes-Benz Certified』(登録商標であるが、メーカーは単に「メルセデス・ベンツ認定中古車」という事が多い。)
  • トヨタ自動車 - 『トヨタ認定中古車』
  • SUBARU - 『SUBARU認定中古車』

査定

ユーザーが車を中古車販売業者に売却する場合、まず査定士の資格を有する業者が車を査定し、査定額を算出する。

査定のポイント

車種(中古市場での人気度)

現在の自家用乗用車の一般的な傾向であるが、伝統的(古典的)で実用性や日常での使い勝手にやや乏しいクーペスペシャルティカーを含む)やノッチバックセダン3ドアハッチバックのほか、後述する一部のSUVや大型ピックアップを除く国内メーカーによる海外生産車種[注釈 11]は査定が安く、逆に実用性や日常での使い勝手にやや有利なミニバンやオフロード系4WDステーションワゴン(大きな分類として"SUV"スポーツユーティリティビークルと呼ばれる)、5ドアハッチバックなどのタイプは査定が高い傾向にある。しかし近年ではミニバンステーションワゴン4WD等のSUV軽自動車を除くコンパクト系ハッチバックも市場では飽和状態になりかけており、買い取り・販売価格ともに安定期から低迷期になりかけてもいる。一方、軽自動車税金や保険料などの維持費の安さから、地方を中心に一定の中古市場があり値崩れしにくい事から、すぐ上の1000ccクラスよりも高査定が付くことが少なくない。

車両の仕様(グレード・装備品、色)

車種によって多数のグレードがあり、グレード毎の差に主要装備はもちろん、排気量に差がある場合もあるので査定額に大きく影響する。

旧車の一例としてレビン/トレノAE80系)、およびMR2(AW10系)のケースがあり、程度によっては1600ccのDOHCエンジン搭載車ではプレミア価格が付くケースさえあるが、逆に1500ccのSOHCエンジン搭載車は不人気で買い叩かれる傾向がある。

まず、スポーツカーの例を挙げるとS13/14型シルビアの場合、まずターボモデルであるK'sはMT車が高値が付き、AT車の査定は下落傾向にある。そして、スポーツカーのみならずどんな車種でも言えることとしてS13/14型シルビアの場合、量販グレードである「Q's」や「K's」は通常の査定額となるが、廉価グレードであるJ'sは不人気で売りに出しても買い手がほとんど誰もいないため、たとえ高年式の程度良好車であってもほとんど値段がつかない傾向にある。また、フルBセグメントクラスの小型セダンの例を挙げるとE140/160型カローラアクシオの場合、同一の排気量で比較した場合だと新車販売時に販売台数があまり多くなかった上級グレード(「1.5G」および「HYBRID G」)の方が高値で買い取れる確率が高く、その一方で新車販売時に販売台数が圧倒的に多かった下級グレード(ビジネスパッケージを含む「1.3/1.5X」)の方が安値で買い叩かれる確率が高い。即ち、このようなクラスの小型セダンは新車販売時に販売台数が圧倒的に多かったグレードが一転して中古車市場では人気グレードになるとは決して限らないケースもある。尤も、この種の実用性・経済性を優先させた小型セダンの場合はスポーツカーの場合とは逆でAT車、およびCVT車はいずれも高値が付きやすく、売れ筋でないMT車の査定は大幅に下落しやすい。ただし、ごく一部のスポーツ系グレードのMT仕様の小型セダン(例:カローラ「1.6GT」/スプリンター「1.6GT」の各5速MT車、および各6速MT車、シビックフェリオ「SiR」の5速MT車、そして5速MT専用車として開発されたサニー「1.6VZ-R」等)は例外で車種によっては車両自体のコンディションにもよるがごく稀に高値が付く場合もある。

このほか、逆に「上級グレードだからといってプラス査定にならない、かえって買い叩かれる」と言う例もある。
Cセグメントクラスの実用型ファミリーセダンの例を挙げるとT240/260型プレミオ/アリオンの場合、下級グレード「1.5F」/「A15」のほうが税金・維持費等で有利かつ東南アジア等の新興国で1500ccモデルの人気が高いため、最上級グレードである「2.0G」/「A20」のほうがかえって査定の面で不利になる事も決して少なくない。
また、JZX81/90/100型マークIIチェイサークレスタの最上級グレードは3リッター車であるが、市場での売れ筋や需要は2.5リッター車及び2リッター車であるため、不人気グレードではないものの需要などの点で不利になることもあり、上級グレードだからといって必ずしも査定が有利になるとは限らない。

ボディカラーによっても査定が変動する。同一車種同一年式同一グレードによっても、車種ごとに人気のあるボディカラーは査定がプラスになるが、逆に主流から外れるマイナーなカラー、不人気なボディカラー、色あせしたレッドなどは査定が下がる傾向にある。

後付け品・カスタムカー・オプションに対する評価

社外装備品も評価はされるが、綺麗に付けられているか、その車種に見合ったものかどうかも判断されるため、査定額が上がるとは限らない。むしろ純正部品に戻さなければならないと判断された場合査定額が下がるケースもある[注釈 12]。 純正のメーカーオプションについても同じ事が言える。サンルーフや本革シートがあったりすると査定アップになる場合が多い。かつてはトヨタ・セルシオなど高級車でマルチビジョンがついていると査定アップする時期もあったが、現在は現代の2DINカーナビを搭載できないことからカスタマイズ性に難があるため現在ではむしろマイナスとなってしまう。また、何でもかんでもオプションが多数ついているからといって査定額が上がるものでもないので要注意。

カスタムカーや低年式の人気車種など趣味性の高い車両を売却する際は売却先によって査定額が大きく異なるため、よく検討するべきである。VIP仕様走り屋仕様に改造されている場合、ディーラーに下取りに出した場合は査定額が大幅に減額となるが、そのような改造車を専門に扱っている店に売りに出した場合は、改造点数が多ければ多いほど高く評価されて査定が上がる傾向にある。また、旧車に関してもほぼ同様のことが言える。(AE86レビン/トレノ、BNR32型スカイラインGT-Rなど)

電気自動車に対する評価

日産・リーフ三菱・i-MiEVテスラ車のような(ハイブリッド車ではない)純粋な電気自動車も現時点では充電インフラの整備があまり整っていないことや、バッテリー持ちが悪い(走行距離が増えるほど一回の充電当たりの航続距離が少なくなる)などといった特有の問題から査定の面で非常に不利になるパターンも少なからず存在する。

年式

年式が新しいほうが高査定額になるのは言うまでもないが、同車種同型式でもマイナーチェンジ前後やモデルチェンジ初期型末期型などで査定額に大きな差が出る。その一方、とりわけ高年式であるほどユーザーに不利な状況が発生した場合、低年式車のほうが却って人気が出てくる場合もある。

例1:近年は年式が新しいほどマフラーの音量等に対する規制が厳しい傾向にあるため、同一車種の同一型式の場合、車種によっては規制が厳しくない初期モデルに人気が出ることもある。

例2:軽自動車の場合2015年4月登録の新車から軽自動車税が増額(増税)されたため(軽乗用車:7,200円→10,800円、軽貨物車:4,000円→5,000円)、同一車種の同一型式の場合2015年3月以前登録の車のほうが人気が高い。

走行距離が少なく、かつ年式相応か

軽自動車の年間標準走行距離は8,000km、普通車は10,000kmというように一定の目安があり、それを超えると減額されそれ以下の場合増額される。ただし、自動車も機械であるのである程度動かしていないと動作不調に陥りがちであり、年数から見て極端に少ない走行距離の場合、必ずしも増額されるとはいえないこともある。なお、年数の経過した車両の場合、少走行による増額査定はない場合が多い。

その時代の人気色が高査定になるケースが多い。2000年代でいうと、白、黒、シルバーなど。また車種独自の人気色がある場合、その色が高査定になる例がみられる。

車の状態

各機器の動作、汚れや傷の有無、修復歴を確認する。修復歴は事故歴と混同されがちだが、別物である。事故を起こしてなくとも修復歴に該当する部位(主に内鈑やフレーム)が損傷もしくは修正されていた場合、修復歴となる。逆に事故を起こしてはいても、バンパーを交換した、ドアのへこみを戻し塗装しただけでは修復歴にならず、交換跡、修理跡と判断される。

修復歴車の定義に関しては、社団法人自動車公正取引協議会(公取協)の定める『自動車業における表示に関する公正競争規約』上に取り決めがある。また、その規約は(財)日本自動車査定協会(日査協)及び(社)日本中古自動車販売協会連合会(中販連)の「中古自動車査定基準」に定める修復歴車の定義と同一である。修復歴車の取り扱いに関してオートオークション会場ごとで異なっていたため、平成14年より日本オートオークション協議会を中心に修復歴判定基準を統一する方向に進んでいる。

中古車情報

消費者から見た情報について世界的な状況を言うと、数十年前は店舗にある情報や紙媒体ばかりだったが、2000年ころからはウェブサイトで中古車情報が得られるようになってきている。

日本国内

中古車販売業者における指標としては、オークションにおける相場情報や中古車の卸・販売価格を網羅した情報誌『オートガイド自動車価格月報』(有限会社オートガイド刊、通称・レッドブック)がある。一方、消費者にとって有益となるのが中古車情報誌や中古車情報検索用のウェブサイトである。インターネットの普及によって、これらの媒体に中古車情報が大量に提供されるようになった。

情報誌とウェブサイトの両方を運営している会社としては、次の会社が挙げられる。

これらは中古車のデータベースにもとづいて、紙に印刷する情報誌およびウェブサイトの両方を作成・公表している。

インターネットサイト専門にしていて紙媒体は持たないサイト(会社)は次のとおり。

・『車選びドットコムhttps://www.kurumaerabi.com/株式会社ファブリカコミュニケーションズ

・『carview』https://carview.yahoo.co.jp/ (株式会社カービュー

・『MOTA中古車』https://autoc-one.jp/used/

・『くるまのニュース』https://kuruma-news.jp/usedcar

また中古車情報サイトには、中古車販売業者が開設しているものもある。


注釈

  1. ^ 年式が相当古い中古車は、一部の人達から「大古車」(たいこしゃ、だいこしゃ)と称される事もある。
  2. ^ 人気があり市場価格も高い車種で安易に利鞘を稼ごうとして、きちんとした修理をせずに中古車オークションに出品する悪徳業者も存在し、「中古車オークションの闇」、「ヤフオク!の闇」(を暴く)と題した動画が YouTube に複数存在する。後述の#中古車販売にかかわる諸問題も参照。
  3. ^ プリンス販売に入社し日産プリンス自動車販売営業社員をしていたが退職後も石橋正二郎に可愛がられていた。
  4. ^ Aピラーあたりで切断するハーフカット、フロントオーバーハングを切り取るノーズカットの2タイプがある。
  5. ^ マークⅡ系列での実例。オーストラリア人が自国にあるX80系クレシーダ(日本名・マークII)をカスタム(1JZ-GTEへのエンジンスワップ)するべく、同系(JZX81)チェイサー2.5GTツインターボをそのままでも走行可能な状態であるにもかかわらずあえてハーフカットにしてコンテナに詰める状況が見られる。この動画のナレーションには「second hand cars and parts are available for much cheap than Australia.(意訳:中古車・中古部品が(日本では)オーストラリアよりもすごく安く買える)」とあり、中古車・部品の輸出の背景がかいま見える。
  6. ^ 例:東急バスじょうてつ京成バス関東鉄道西武バス伊豆箱根バス近江鉄道名鉄バス岐阜乗合自動車北陸鉄道宮城交通など、近鉄バス奈良交通明光バス防長交通南海バス和歌山バス南海りんかんバス熊野御坊南海バス京阪バス京阪京都交通など
  7. ^ 逆に遠鉄バスの車両が他社に譲渡される場合もある
  8. ^ 一畑電気鉄道直営時代だった1990年代初頭まで、「山陰いすゞ自動車」というディーラーをいすゞ自動車との共同出資で持っていた為である。その後、いすゞ自動車側に持株を売却し、数々の合併を経ていすゞ自動車中国四国となった。
  9. ^ 伊予鉄グループとして愛媛日野自動車を傘下に持つため。
  10. ^ 傘下に西日本車体工業(西工)を有していたことから。
  11. ^ 2000年代以降の国内メーカーによる海外生産車種の例:トヨタ・プロナードトヨタ・ヴォルツトヨタ・アベンシス日産・デュアリス(2007年以前のモデル)、日産・マーチ(4代目)、日産・ラティオ(2代目)、ホンダ・フィットアリア三菱・トライトン三菱・ミラージュ(6代目)、スズキ・スプラッシュスズキ・SX4 S-クロス(2代目)、スズキ・エスクード(4代目)、スズキ・バレーノなど
  12. ^ 例えば社外品のアルミホイールに交換しインチアップされたスポーツカーがあったとして、それがスポーツカーの需要層(例えば走り屋)に人気のデザインなら売りやすくなる=査定額が上がり、逆にVIPカーが履くようなホイールだった場合売りにくくなる=査定額が下がるといった変化がある可能性もあるだろう。

出典

  1. ^ 出典:デジタル大辞泉
  2. ^ 国連環境計画”. 国際連合. 2023年10月18日閲覧。
  3. ^ a b c [1]
  4. ^ Flammang James (1999),100 Years of the American Auto.
  5. ^ INC, SANKEI DIGITAL. “米で“落ちこぼれ車”ショー カリフォルニア”. 産経フォト. 2022年1月30日閲覧。
  6. ^ 布留川 司 (2022年7月9日). “砂漠にズラリ日本車 中東最大の中古車市場@ドバイを歩く ランクルから消防車まで 取引額は?”. 乗りものニュース. 2023年8月11日閲覧。
  7. ^ 被害金額急上昇! 盗難車はなぜ海外に? 中東に「輸出」される衝撃の裏事情”. ベストカーweb (2021年9月21日). 2023年8月11日閲覧。
  8. ^ How to get parts from Japan(mightycarmods〜) - YouTube
  9. ^ ロシア、新安全規制で日本製「狙い撃ち」か 中古車輸入で混乱広がる”. SANKEI Biz (2017年8月22日). 2018年11月23日閲覧。
  10. ^ ANN News Ch 中古車が大幅値下がり ロシア向け輸出急減が影響ANN News Ch 〜) - YouTube
  11. ^ “不正防止策を逆手 中古車のメーター巻き戻しに新手口”. 朝日新聞. (2014年12月9日). http://www.asahi.com/articles/ASGCL6VMXGCLPTIL038.html 
  12. ^ “中古テスラに搭載の自動運転オプション、OTAアップデートで削除。”. オリジナルの2020年2月9日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200209003236/https://japanese.engadget.com/jp-2020-02-08-ota.html 
  13. ^ 【世界へぇDATA】中古車、輸出先で環境汚染/日米欧から4割アフリカへ『日経産業新聞』2020年12月21日(グローバル面)
  14. ^ 平成二十五年 予算特別委員会速記録第四号速報版〔原田大〕






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