カホクザンショウ カホクザンショウの概要

カホクザンショウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/29 16:49 UTC 版)

カホクザンショウ
カホクザンショウ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ムクロジ目 Sapindales
: ミカン科 Rutaceae
: サンショウ属 Zanthoxylum
: カホクザンショウ Z. bungeanum
学名
Zanthoxylum bungeanum
Maxim., 1871
和名
カホクザンショウ
英名
Sichuan pepper, Chinese prickly-ash

一般には中国名である花椒で知られ、日本語読みで「はなしょう」もしくは「かしょう[1]中国語読みで[xwátɕjɑ́u][2]拼音: huājiāo)と発音され、「ホアジャオ」とも呼ばれる。また、日本の山椒と区別して四川赤山椒[1]四川山椒中国山椒[3]中華山椒などとも呼ぶ。

果皮は食用、薬用である。痺れるような辛さを持つ香辛料として、中国料理、特に四川料理では多用する。「花椒」のほか蜀椒(しょくしょう)、椒紅(しょうこう)などとも呼ばれ、漢方では健胃・鎮痛・駆虫作用があるとされる。

名称

一般的によく使われる「花椒」は、カホクザンショウの実が熟すると、木に赤いが咲いたようにも見えるので、これが由来となっている。

細かくは、実の大きさと色によって、大きく赤い大椒(だいしょう)、別名大紅袍(だいこうほう)・獅子頭(ししがしら)と、小振りで黄色い小椒(しょうしょう)、別名小黄金(しょうおうごん)に分けられ、実の採集時期によって秋椒(しゅうしょう)と伏椒(ふくしょう)に分けられる。

英語ではSichuan pepper, Szechuan pepper, Chinese prickly-ash, Flatspine prickly-ashなどとも呼ばれる。

歴史に見られる名称

  • の『爾雅』の「釈木」に見える古名に(き、拼音:huǐ)、大椒(だいしょう)がある。
  • 後漢代の『神農本草経[5]』中巻木部中品[6]秦椒(しんしょう)、中巻木部下品[7]には蜀椒(しょくしょう)の名称がみられる[4][8]
  • 北魏の『斉民要術』は「植椒編」を設け、栽培、利用についての記述がある。
  • の『本草綱目』「果之四[9]」に秦(秦嶺山脈)に産が始まる花椒と注記した秦椒[10]と、蜀椒[11]を記載。前者の別名を大椒とするが、いずれも産地名と組み合わせた呼称であり、別種であるかは不明。産地名を付した呼称は、他に巴椒(はしょう)・川椒(せんしょう)・南椒(なんしょう)・漢椒(かんしょう)などある。『本草綱目』は蜀椒の別名として点椒(てんしょう)も記載。なお、現代中国語の「秦椒」にはトウガラシの意味もある。

特徴

形態

サンショウは雌雄異株だが、カホクザンショウでは雌雄同体で雄株はないと見られている[12] 。樹高は7 mほどになる。には鋭いが2本ずつ付く。互生奇数羽状複葉。長さ8-14 cmほど。5-11対の小葉は1-2 cmの楕円形で縁は鋸歯状。裏は表に比べ白っぽい。は、3月-5月頃開花し、直径4-5 mmで黄緑色。果実の直径は4 mm程度で、初めは緑色だが7月から10月頃に赤く熟し、裂開して中の黒い種子が落下する。

害虫

サンショウ属を含むミカン科の木にはアゲハチョウ幼虫が付くことがある。アゲハチョウの幼虫は大食であり、小さな株なら1匹で葉を食べ尽されて丸裸にされてしまうこともあるので注意が必要である。


  1. ^ a b GABAN®プレミアムスパイス|株式会社ギャバン
  2. ^ 中国語のピンイン変換ツール (変換:国際音声記号 (Lin), 声調は次のように表示されます:国際音声記号の発音区別符号)”. EasyPronunciation.com. 2023年8月30日閲覧。
  3. ^ a b 「スパイス 百花繚乱/花椒・ヒハツ…市場は09年比18%増/食の多様化、内食志向が背景」日本経済新聞』朝刊2019年10月9日(マーケット商品面)2019年10月10日閲覧
  4. ^ a b 小曽戸洋『日本薬局方』(15改正)収載漢薬の来源」『生薬学雑誌』第61巻第2号、2007年、p.73、ISSN 00374377 
  5. ^  神農本草經 (中国語), 神農本草經, ウィキソースより閲覧。 
  6. ^  神農本草經 (中国語), 神農本草經#.E6.9C.A8.E9.83.A8.E4.B8.AD.E5.93.81, ウィキソースより閲覧。 
  7. ^  神農本草經 (中国語), 神農本草經#.E6.9C.A8.E9.83.A8.E4.B8.8B.E5.93.81, ウィキソースより閲覧。 
  8. ^ 滝戸道夫「薬草百話20:サンショウ」『月刊漢方療法』第2巻第8号、1998年、p.p.638-640。 
  9. ^  李時珍 (中国語), 本草綱目/果之四, ウィキソースより閲覧。 
  10. ^  李時珍 (中国語), 本草綱目/果之四#.E7.A7.A6.E6.A4.92, ウィキソースより閲覧。 
  11. ^  李時珍 (中国語), 本草綱目/果之四#.E8.9C.80.E6.A4.92, ウィキソースより閲覧。 
  12. ^ いしもと食品工業「山椒の小部屋vol.17 花椒について」
  13. ^ 中国商人、日本で花椒栽培に乗り出す 海外市場に活路”. AFP (2019年6月8日). 2019年6月22日閲覧。
  14. ^ 李迎春ほか「椒目超臨界二氧化碳萃取物的分析」『中薬材』2001年7期、国家食品薬品監督管理局中薬材信息中心站、広州市
  15. ^ 后宮則有掖庭椒房,后妃之室」


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