材料、材質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 15:34 UTC 版)
船体の主たる材料は、代表的なものとしては、木材、鋼板、アルミニウム、FRPなどがある。 人類が数万年前に用いたと想定されている 素朴な筏やカヌーでは、たとえば葦(アシ)を大量に束ねて船体としたり、丸太(ログ)を平らに何本も並べて蔓で縛って筏にしたり、あるいはかなり太い丸太の中をノミでくりぬいてカヌー状の船体としたり、あるいは木製や竹製の枠をまず作っておいてそこに大きな動物の皮革を張って船体を作ったと考えられている。(なお、葦や木材は、一般に、水より比重が小さいので、容器状にしなくても一応は水に浮く。) 木材 船体の材料に主に木材を用いた船を木造船(もくぞうせん)と言う。古代から近代まで、船体の材料としては、主に木材が用いられてきた歴史がある。古代エジプトの船の船体も、15~17世紀ころの大航海時代の帆船の船体も木製であった。現代でも、東南アジア、中国、朝鮮半島などで建造される小型~中型船の船体の材料は、材木が主流である。欧米などでも、現在でも、セーリングクルーザー乗りやモーターボート乗りなどの中には、伝統的な木造船の材質感(風合い)を好む人も相当数おり、(趣味人や、富裕層などで)材料に木材をあえて選んで船を建造させる人々もいる。欧米では現在でも材木でセーリングクルーザーや釣り船などを(日曜大工 感覚で)自作することを趣味にしている人々もいる。 木材で船体を作る方法はいくつかあるが、欧州式の木造船の場合は例えば、一例としては以下のような手順で組み立てる方法がある。 船首から船尾までの竜骨(キール)(人体に喩えると、背骨に当たる部分)を作る。 「船側フレーム」や「肋骨」と呼ばれる、竜骨に対して垂直方向に伸び曲線を描きつつ上方向に伸びる材木を組む(人体に喩えると、肋骨に当たるような部分の材木を組む)。 「船側フレーム」の表面に、プランク(plank)と呼ばれる、船首-船尾 方向に長い横板を多数貼り付ける(プランキング)。 上甲板(デッキ)がある船では以下の作業も行う。 甲板を支えることになる水平の構造材を組む。(建物の梁や屋根の構造体に当たるような材木を組む。) 甲板のプランキングを行う。 木造船の竜骨(キール)と肋骨(船側フレーム)を組んだところ。 木造船のプランク(横板)を船側から船底にかけて張る工程(プランキング) 鋼板 近代になり船舶の大型化とともに船体の材料として鋼板も用いられるようになった。なお鋼自体は強度があるが、巨大な船体を建造するためには鋼板を多数つなぎあわさなければならず、20世紀半ばすぎまで、鋼板どうしの接合方法としてリベットが用いられていたので、船体に巨大な力が働くと、リベットだけが ちぎれ飛んで(吹き飛んで)しまい、鋼板どうしの接合が無くなりバラバラになってしまい、船体がポキリと折れてしまったり、一部の鋼板がハガレて大量浸水してしまう、という事故が起きた。例えば巨大波に巻き込まれたり、艦船が魚雷攻撃などを受ける、などという場合に、リベット接合が原因であっけなく鋼板製の船体が破壊されてしまう、ということが起きたのである。リベット接合という弱点が解消されたのは20世紀後半になってのことであり、溶接技術が実用化し造船の現場に普及したことで、ようやく鋼板の本来の強度が十分に活きた船体の建造が可能になった。現代では大型船(「本船(ほんせん)」とも)は ほぼ全て、鋼板製である。 FRP 20世紀後半には繊維強化プラスチック(FRP)製の船体も増えた。特に日本では1966年(昭和41年)ころから漁船のFRP化が推進された。プレジャーボートの類も1970年代にFRP化が進んだ。しかし、FRP船の普及に伴い、特有の問題も露見した。ひとつは、使用過程でFRPの樹脂部分に細かな亀裂が生ずることがあり、その亀裂から内部の繊維部分にまで水(海水、河川の水など)が浸入し、繊維部分が水を含んだことで膨張し、樹脂部分の亀裂がさらに増えるという悪循環が起き、(FRP船体であっても、表面塗装をしっかり施し続けないと、細かい亀裂から次々と水が侵入し)繊維が水を含んだせいで船体の重量が増して浮力が減ってしまったり、(重くなって)操船性能や燃費が落ちたり、次々と増え続ける亀裂によって強度が相当に落ち、想定していた耐用年数よりもはるかに短い期間で廃船せざるを得なくなる場合もある。また、建造は容易なのだが、廃船時に、船体の解体や処分が容易では無いことも後になって判明した。
※この「材料、材質」の解説は、「船体」の解説の一部です。
「材料、材質」を含む「船体」の記事については、「船体」の概要を参照ください。
「材料 材質」の例文・使い方・用例・文例
- 可燃材料
- 材料費を見積もる
- すべての材料を混ぜて練り粉にし,均一になるまでこねなさい
- 考えるべき材料
- パンケーキの材料
- プラスチックは用途の広い材料です
- ここにいろいろ材料があるけど,何が料理できると思う?
- 彼が材料物性,寿命特性の評価を行った
- リチウムイオン電池は、負極に黒鉛等の炭素材料を用いています
- 彼が樹脂複合材料のリサイクル技術を確立する
- 彼がボウルに全ての材料を混ぜる
- 材料の選び方や正確な計量方法から、シンプルなシフォンケーキやスポンジケーキを手早く作る方法まで、ケーキ作りの基礎を学んでください。
- 修理屋はソフィットの材料が何かと私に尋ねた。
- 鉄鉱石は通常陶器の材料として用いられる。
- 材料を全部ストック用のなべに入れた。
- ほとんどの材料はどのボデガでも手に入るものです。
- この化合物には非滅菌の材料が含まれている。
- 製品1単位あたりの標準直接材料費、標準直接労務費、標準製造間接費の合計を原価標準と呼びます。
- 我が社の株が投資アナリストから、材料含み株と判断された。
- 材料出尽くしとは、相場を動かしていた材料が出尽くし、先行きの上昇が見込めないことをいう。
- 材料 材質のページへのリンク