そとばこまち【卒都婆小町】
卒塔婆小町
卒塔婆小町
卒都婆小町
卒塔婆小町
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 04:58 UTC 版)
「卒塔婆小町」(そとばこまち)は1952年(昭和27年)、雑誌『群像』1月号に掲載された。三島は〈時間と空間を超越した詩のダイメンション〉を舞台に実現しようという近代能楽の試みに触れ、原典の『卒塔婆小町』を翻案した主題については、〈作者自身の芸術家としての決心の詩的告白〉だという点で『邯鄲』と同じとし、〈詩人のやうな青春を自分の内にひとまづ殺すところから、九十九歳の小町のやうな不屈な永劫の青春を志すことが、芸術家たるの道だと愚弄してゐるわけである」と語っている。 そして作品の意図について、〈現代における観念劇と詩劇とのアマルガム〉であるとし、台詞には〈無韻の詩〉が流れ、舞台には〈詩的情緒の醸成のもうひとつ奥に、硬い単純な形而上学的主題〉が存在しなければならないとしている。 小町は、「生を超越せる生」、形而上学的生の権化である。詩人は肉惑的な生、現実と共に流転する生の権化である。小町には、決して敗北しないといふことの悲劇があり、詩人には、浪漫主義的な、「悲劇への意志」がある。二人の触れ合ひはこの種の誤解と、好奇心と軽侮をまじへた相互の憧れに基いてゐる。 — 三島由紀夫「卒塔婆小町演出覚え書」
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