ZIS-5
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軍事利用
第二次世界大戦中、ZIS-5はあらゆる戦線で使用され、その簡素かつ故障しにくい構造が高く評価された。ZIS-5は物資の輸送の他に、火砲牽引車や兵員輸送車(荷台に5つのベンチシートを設置することで25人の兵士を乗せることができる)・燃料輸送車・作業車・救護車・火器運搬車としても使用され、兵士からは3トンのペイロードに因んでトリョーフトンカ(露:Трёхтонка)と呼ばれた。
1933年-1943年にかけての期間、ZIS-5はGAZ-AAに次いで2番目に多用されたソ連の軍用トラックとなった。1943年-1944年にかけ、レンドリース法によって大量のトラックがアメリカから供与されると、GAZ-AAは後方任務に回されることが多くなったが、ZIS-5は第1線で働き続けた。
ZIS-5は、1941年-1944年まで続いたレニングラード包囲戦において、凍結したラドガ湖上にレニングラード(現サンクトペテルブルク)への唯一の補給路(命の道)を形成するのに大きな役割を果たした。
ソ連国外での使用
1934年にトルコに100両が輸出され、続いて、アフガニスタン、イラク、イラン、スペイン、中国、ラトビア、リトアニア、エストニア、モンゴル、ルーマニアが輸入を行った。
また、フィンランドは1939年-1940年の冬戦争で鹵獲した車両を、ドイツは独ソ戦で鹵獲した車両をそれぞれ運用している。
形式・バリエーション
- ZiS-5
- 基本型の4×2輪駆動カーゴトラック型。1934年-1941年(生産期間、以下同じ)。
- ZiS-5V
- 簡易生産型の4×2輪駆動カーゴトラック型。1942年-1947年。
- ZiS-6
- 3軸タイプの6×4輪駆動カーゴトラック型。1934年-1941年。
- ZiS-8
- ロングホイールベースのバス型。フロントガラスが垂直で、全体的に角ばった形状である。救急車としても使用された。1934年-1938年。
- ZiS-10
- トラクター+カーゴトレーラー型。1938年-1941年。
- ZiS-11
- ロングホイールベースの消防車型。1934年-1936年。
- ZiS-12
- ロングホイールベースの特殊車両型。1934年-1938年。
- ZiS-13
- ロングホイールベースのガスタンク搭載カーゴ型。1936年-1939年。
- ZiS-14
- ロングホイールベースの特殊車両型。1934年。
- ZiS-15
- ZiS-5の後継として試作された型。1937年。
- ZiS-16
- ロングホイールベースのバス型。1938年-1941年。ZiS-8に比べ丸みを帯びたデザインになり、フロントガラスも後傾している。
- ZiS-16C
- ZiS-16をベースにした救急車型。1939年-1941年。
- ZiS-17
- ZiS-15をベースに試作されたバス型。1939年。
- ZiS-18
- ガスタンク搭載カーゴ型。
- ZiS-19
- ダンプトラック型。1939年-1946年。
- ZiS-20
- 試作型のダンプトラック型。
- ZiS-21
- ガスタンク搭載カーゴタイプの木炭自動車型。1939年-1941年。
- ZiS-22
- 後輪部分を履帯構造とした半装軌車型。1940年-1941年。
- ZiS-22M
- ZiS-22の走行装置改良型。1941年。
- ZiS-23
- ZiS-15をベースに試作された3軸6輪型。
- ZiS-24
- ZiS-15をベースに試作された4×4輪駆動型。
- ZiS-25
- ZiS-15をベースに試作されたガスタンク搭載カーゴ型。
- ZiS-26
- ZiS-15をベースに試作されたトラクター+カーゴトレーラー型。
- ZiS-28
- ZiS-15をベースに製作されたエンジンテスト用車両。
- ZiS-30
- マルチフューエルエンジン搭載型。1940年-1941年。
- ZiS-31
- ガスタンク搭載カーゴタイプの石炭自動車型。
- ZiS-32
- 4×4輪駆動型。1941年。
- ZiS-33
- ハーフトラック型で、ZiS-22とは履帯構造が異なり、元々のトラックの後輪も転輪として使用されている。1940年。
- ZiS-34
- 3軸タイプの6×4輪駆動型。1940年-1941年。
- ZiS-35
- ZiS-33の改良型。
- ZiS-36
- 3軸タイプの6×6輪駆動型。試作のみ。1941年。
- ZiS-41
- ハーフトラック型のZiS-22Mのキャブ部分を装甲化し、荷台部分にZiS-2 57mm対戦車砲を搭載した自走対戦車砲型。
- ZiS-42
- ZiS-22Mの改良型。1942年-1944年。
- ZiS-42M
- ZiS-42の改良型。
- ZiS-43
- ZiS-42のキャブ部分を装甲化したタイプ。
- ZiS-44
- ZiS-5Vをベースにした救急車型。
- ZiS-50
- ZiS-5のエンジンをZiS-150に換装したタイプで、大戦後の1947年-1948年に製造。
- ZiS-355
- 戦後の1955年にウラル自動車工場でZiS-5をベースに開発されたトラック。
- ZiS-51
- ZiS-50のダンプトラック型。1947年-1949年。
- LET
- 試作タイプの電気自動車型。1935年。
- ZiS-LTA
- ZiS-5をベースに試作されたキャブオーバー型のハーフトラック。1949年。
画像
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1933年型のZiS-5
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4連装のマキシム対空機銃を搭載したZiS-5V
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バス型のZiS-8
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3軸6輪型のZiS-6
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消防車型のPMZ-1
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半装軌車型のZiS-42
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半装軌車型のZiS-42M
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ZiS-42の消防車型
固有名詞の分類
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