高齢化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/08 15:41 UTC 版)
平均寿命
平均余命とは、一定期間の(例えば1年間における)各歳のごとの死亡率が今後とも同じと仮定して、ある年齢の人が平均して後何年生きるかを表したものであり、特にゼロ歳の平均余命を平均寿命という。
平均寿命の延びの主な要因としては、乳幼児死亡率の低下、抗生物質による結核の死亡率の低下、公衆衛生の普及により生活環境が整備され伝染病による死亡率の低下、などである。また、最近の平均寿命の延びに大きく寄与しているのは、成人病、特に脳血管疾患の減少による中高年層の死亡率の改善である。
各国と地域の高齢化
順位 | 2015年 | 年齢(歳) | 2030年予想 | 年齢(歳) | 2050年予想 | 年齢(歳) |
---|---|---|---|---|---|---|
1位 | 日本 | 46.5 | 日本 | 51.5 | その他の地域 | 56.2 |
2位 | ドイツ | 46.2 | イタリア | 50.8 | 大韓民国 | 53.9 |
3位 | 仏領マルティニーク | 46.1 | ポルトガル | 50.2 | 日本 | 53.3 |
4位 | イタリア | 45.9 | スペイン | 50.1 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | 53.2 |
5位 | ポルトガル | 44.0 | ギリシャ | 48.9 | シンガポール | 53 |
6位 | ギリシャ | 43.6 | 香港 | 48.6 | 香港 | 52.7 |
7位 | ブルガリア | 43.5 | ドイツ | 48.6 | ポルトガル | 52.5 |
8位 | オーストリア | 43.2 | その他の地域 | 48.1 | ギリシャ | 52.3 |
9位 | 香港 | 43.2 | スロベニア | 48.1 | キューバ | 51.9 |
10位 | スペイン | 43.2 | 大韓民国 | 47.5 | ポーランド | 51.8 |
中国
国際連合人口部によると、中国の生産年齢人口(15-59歳)は、2015年頃にピークを迎える(67.6%)と予想されていたがさらに早い2012年にピークを迎えた[11]。今後は2050年に50.0%、2100年には46.9%まで減少する少子高齢化になることが予測されている[12]。人口も2030年頃の14億6000万人がピークとなり、2100年には10億人にまで減少すると推測されたが[12]、実際には2021年末の14億1260万人がピークとなった[13]。
日本
日本は、国勢調査の結果では1970年(昭和45年)調査(7.1%)で高齢化社会、1995年(平成7年)調査(14.5%)で高齢社会になったことがわかった[14]。また、人口推計の結果では、2007年(平成19年)(21.5%)に超高齢社会となった[15]。
日本は平均寿命、高齢者数、高齢化のスピードという三点において、世界一の高齢化社会といえる。総務省が発表した2023年9月15日時点の推計人口によると、65歳以上の人口は3623万人となり、総人口に占める割合は29.1%と過去最高を更新、人口の4人に1人が高齢者となった[16]。
日本の少子高齢化の原因は、出生数が減り、一方で、平均寿命が延びて高齢者が増えているためである。日本の人口構成を人口ピラミッドで見ると、第1次ベビーブームの1947-1949年(昭和22-24年)生まれと第2次ベビーブームの1971-1974年(昭和46-49年)生まれの2つの世代に膨らみがあり、出生数の減少で若い世代の裾が狭まっている。また、第1次ベビーブームのいわゆる団塊の世代が、2012年から2014年にかけて高齢者の定義である65歳に到達するため、高齢化のスピードが最も早まる。それ以降は徐々に高齢化のペースは弱まるが、2040年には高齢化率は35%、2070年には39%に達すると推計されている[17]。
日本の高齢化率
1935年(昭和10年)の高齢化率が4.7%と最低であった。1950-1975年は出生率低下によって、それ以降は、死亡率の改善により高齢化率が上昇した。先進諸国の高齢化率を比較してみると、日本は1980年代までは下位、1990年代にはほぼ中位であったが、2010年(平成22年)には23.1%となり、世界に類を見ない水準に到達している。
また、高齢化の速度について、高齢化率が7%を超えてからその倍の14%に達するまでの所要年数(倍化年数)によって比較すると、フランスが115年、スウェーデンが85年、比較的短いドイツが40年、イギリスが47年であるのに対し、日本は、1970年(昭和45年)に7%を超えると、その24年後の1994年(平成6年)には14%に達している。さらに総務省は2007年(平成19年)11月1日の推計人口において、75歳以上の総人口に占める割合が10%を超えたことを発表した。このように日本の高齢化は、世界に例をみない速度と言われていたが、7%から14%になるまで韓国は2000年から2018年までの18年であったようにさらに速い進行の国も出てきている[18]。
ドイツ
ドイツは現在、深刻な超高齢化社会のひとつである。ドイツの 65歳以上の人口は増加し続け、2050年までに総人口のほぼ3分の1に達すると推測されている。この人口動態の変化に照らして、ドイツ政府はさまざまな訓練や教育プログラム、および退職制度の改革を通じて、高齢者の労働参加率を高めるために取り組んでいる。労働参加率はまだ比較的低いものの、ドイツの高齢者は高いレベルのボランティア活動を行っている[19]。
影響
シルバー民主主義の到来
高齢化社会の進展に伴い、政治家が高齢者を重視した政策を打ち出さなければならなくなり、現役労働者である若年・中年層よりも、引退し年金を受け取っている高齢者を優遇せざるを得ないという政治状況になりつつある。これは、一般にシルバー民主主義と呼ばれている[注釈 1]。顕著な例としては、75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度への反発が第45回衆議院議員総選挙における自民党大敗および民主旋風の一因になった。しかし、高齢者への偏重は若年層の不満を招き、世代間の対立を招く可能性があるという意見もある[注釈 2]。
注釈
出典
- ^ a b World Population Ageing: 1950-2050, United Nations Population Division.
- ^ a b Society at a glance 2014 (Report). OECD. 2014. Chapt.3.11. doi:10.1787/soc_glance-2014-en。
- ^ “3.開発途上国の少子高齢化と経済発展”. JICA. 2023年9月27日閲覧。
- ^ “World Population Ageing: 1950-2050”. United Nations Population Division. 2022年7月29日閲覧。
- ^ 大和総研『最新版 入門の入門 経済のしくみ-見る・読む・わかる』第4版、77頁、日本実業出版社、2002年。
- ^ 松原聡『日本の経済 (図解雑学シリーズ)』176頁、ナツメ社、2000年。
- ^ “The super-aged society”. WHO. 2022年7月29日閲覧。
- ^ “ステートメント”. 国際連合 日本政府代表部. 2022年6月27日閲覧。
- ^ “Population ages 65 and above (% of total population) - United Kingdom | Data”. data.worldbank.org. 2022年6月30日閲覧。
- ^ Kudo, Shogo; Mutisya, Emmanuel; Nagao, Masafumi (2015-12). “Population Aging: An Emerging Research Agenda for Sustainable Development” (英語). Social Sciences 4 (4): 940–966. doi:10.3390/socsci4040940. ISSN 2076-0760 .
- ^ “生産年齢人口が急激に減る中国、「不動産価格が維持できるわけない」=中国メディア”. 2018年5月22日閲覧。
- ^ a b 国際連合人口部 2015, p. 18.
- ^ “中国、1961年以来の人口減 22年末の総人口14億1175万人”. 産経新聞社. 2023年1月17日閲覧。
- ^ “平成17年国勢調査 最終報告書「日本の人口」統計表(時系列表,都道府県一覧表)”. 総務省. 2011年4月3日閲覧。 20.年齢(3区分)別割合及び年齢構成指数-全国,都道府県(大正9年-平成17年) その3 65歳以上人口の割合(%) を参照。
- ^ “人口推計(平成21年10月1日現在)年齢別人口” (PDF). 総務省. 2011年4月3日閲覧。表5. 年齢3区分別人口の推移(昭和25年-平成21年)を参照。
- ^ “高齢者の人口”. 総務省 統計局. 2023年9月27日閲覧。
- ^ “我が国の人口について”. 厚生労働省. 2023年9月27日閲覧。
- ^ 「日本を上回るスピードで悪化中」韓国の少子高齢化の知られざる実態「世界でもっとも老いた国」になるPRESIDENT Online 2020年10月13日
- ^ “AARP Aging Readiness & Competitiveness Initiative: Germany Country Profile”. arc.aarpinternational.org. 2022年8月2日閲覧。
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