西瀬戸自動車道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 22:21 UTC 版)
概要
海峡部の橋梁として新尾道大橋、因島大橋、生口橋、多々羅大橋、大三島橋、伯方・大島大橋(伯方橋、大島大橋)及び来島海峡大橋(来島海峡第一大橋・来島海峡第二大橋・来島海峡第三大橋)の7橋(10橋)がある。なお、尾道大橋を含めて11橋とすることもある。高速道路でありながら、橋には歩行者・自転車・原動機付自転車のみ通行ができる側道またはトラス内部の専用路が設けられているのが特徴である。
総事業費は、7,464億円。
1999年5月1日に全ての橋が完成し、この時点で当該ルートでも船舶に乗らずに、本州 - 四国の行き来が一応可能とはなっていたが[5]、この時点では生口島と大島の島内区間(生口島道路と大島道路に相当する区間)が未開通だったため、両島内で混雑が頻発していた。なおこれらの区間は2006年に開通し、現在では自動車専用部のみで、西瀬戸尾道 - 今治の行き来が可能となっている。ただし、接続する今治小松自動車道の今治 - 今治湯ノ浦間が、2022年[6]現在も未開通のため、松山自動車道方面との行き来には、一般道を介する必要がある。
サイクリングロードとしての人気が高く[7][8]、瀬戸内しまなみ海道サイクリング尾道大会やスタンプラリーなど[9]、定期的にサイクリングイベントが行われている。国際的な注目も集まってきており、2014年5月にはCNNで「世界で最も素晴らしい自転車道の1つ」として紹介された[10]。
道路機能
尾道福山自動車道、今治小松自動車道を介して山陽自動車道福山西インターチェンジと松山自動車道いよ小松JCTを直結する道路だが、今治小松自動車道に未開通区間(事業中)があるため、現在は直結していない。なお、西瀬戸尾道ICから北伸し、尾道JCTで尾道自動車道に接続する広域道路の検討区間もある[11]。
広島県と愛媛県との間にある、風光明媚な芸予諸島を島伝いにつなぐ自動車専用道路であるが、自転車歩行者専用道路も併設されているのがもう一つの特徴となっている。沿線には観光地も多いが、観光だけでなく、通勤・通学・通院・買物で使う沿線住民の生活道路でもあり、瀬戸大橋で高額な瀬戸中央自動車道の通行料金問題に苦しんだ、櫃石島・岩黒島・与島とは異なっている。
反面、両端都市やその背後地の経済規模や経済力は、京阪神大都市圏を擁する神戸・鳴門ルート(大鳴門橋・明石海峡大橋の神戸淡路鳴門自動車道)に遠く及ばないほか、本州と四国を最短で結ぶという点では、児島・坂出ルート(瀬戸大橋の瀬戸中央自動車道)に劣後する。さらに、全線が片側一車線という道路構造も、両ルートに比べると、インフラストラクチャー面で劣っており、物流・商流ルートとしては整備効果を発揮し切れていない。
ただし、個々の橋の規模が他2ルートに比べると小さいこと、鉄道の付属施設も無いことから、最も遅くに完成したにもかかわらず、建設費は3ルートの中で最も安価に済んだ。総事業費は着工を遅らせたことによるインフレーションの影響を受け、当初の5,850億円より大きく膨らんだが、それでも7,464億円に留まった。これは神戸 - 鳴門ルートの半額以下である。
自転車歩行者専用道路の併設
自動車専用道路橋である新尾道大橋[12]を除き、尾道から来島海峡大橋までのルートには歩行者、自転車及び原動機付自転車(125cc以下の自動二輪車を含む)の専用道路(広島県道466号向島因島瀬戸田自転車道線・愛媛県道325号今治大三島自転車道線)(原自歩道)が併設されている[12]。新尾道大橋と並行して架かる尾道大橋を通行することにより、本州・四国間の瀬戸内海を徒歩で渡ることが可能となっている[12]。ただし尾道大橋の歩道は狭く、徒歩、自転車での安全な通行には向かない。
この自転車や原付が通れる原自歩道は、生活道路を求める地元住民の要望によってつくられたもので、先に完成した本州四国連絡橋の神戸淡路鳴門自動車道と瀬戸中央自動車道にはないものである[12]。通行料金は、自転車と原付が因島大橋から来島海峡大橋までの合計で500円、歩行者が無料となっている。なお、かつては尾道大橋も有料(10円)だったが[13]、2013年4月に無料開放された。橋の出入口に料金所(料金箱)と通行制限時などに交通を遮断する遮断機が設置されている。
料金の支払いは、通路に設置された料金箱に直接投入するようになっており、釣り銭が出ない。なお、料金箱には係員が常駐しておらず監視カメラによる管理がなされている。なお、支払いを免れた場合は道路整備特別措置法に基づき、免れた金額の3倍の徴収および30万円以下の罰金を課せられることがある。
なお、2014年(平成26年)7月19日から2026年(令和8年)3月31日までの期間限定で、自転車(原動機付を除く)の通行料金の無料化を実施している[14]。これは、無料化に伴う減収を地元自治体から成る「しまなみ海道自転車道利用促進協議会」が負担することによって実現され、スポンサー契約や、グッズの物販などによって賄われている[15]。
橋梁部だけしまなみ海道を利用し、そのほかの部分は一般道路を利用する。そのため、各橋を渡るたびに前後に設けられたスロープを通行することになる。
生口島道路
生口島道路(いくちじまどうろ)は、広島県尾道市の生口島にある自動車専用道路(全長6.5 km)である。道路管理者は国土交通省[16]。
概要
- 起点 : 尾道市瀬戸田町荻(生口島南IC)
- 終点 : 尾道市因島洲江町(生口島北IC)
- 延長 : 6.5 km
- 規格 : 第1種第3級(自動車専用道路)
- 設計速度 : 80 km/h
- 道路幅員
- 車線幅員 : 3.5 m
- 車線数 : 暫定2車線(完成4車線)
- 最高速度 : 70 km/h
無料区間の両端インターチェンジが有料区間と出入りできるハーフインターチェンジのため、無料区間のみの通行は出来ない。
西瀬戸自動車道の一部を構成するこの道路の完成によって、全線約60kmが自動車専用道路で結ばれた。大部分が暫定2車線による供用のため対面通行となっているが、渋滞することは少ない。
大島道路
大島道路(おおしまどうろ)は、愛媛県今治市の大島にある自動車専用道路(全長約6 km)である。道路管理者は国土交通省。[17]
概要
- 起点 : 愛媛県今治市吉海町名(大島南IC)
- 終点 : 愛媛県今治市宮窪町宮窪(大島北IC)
- 全長 : 6.3 km
- 規格 : 第1種第3級
- 設計速度 : 80 km/h(最高速度70km/h)
- 道路幅員 : 22.0 m
- 車線幅員 : 3.5 m
- 車線数 : 暫定2車線(完成4車線)
無料区間の両端インターチェンジが有料区間と出入りできるハーフインターチェンジのため、無料区間のみの通行はできない。
注釈
- ^ 「しまなみ街道」という誤記もポータルサイトや観光ガイド、個人ブログなどで少なからず見られる[3][4]。
- ^ しまなみ信用金庫(三原市)、しまなみ交流館、しまなみ球場(共に尾道市)、しまなみ造船(今治市)など。また、広島市にはしまなみ債権回収(広島銀行系の債権回収会社)がある。廻鮮寿司店の店舗ブランドにもなっている。
出典
- ^ “高速道路ナンバリング一覧”. 国土交通省. 2020年11月20日閲覧。
- ^ “Japan's Expressway Numbering System” (PDF). Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism. 2022年4月4日閲覧。
- ^ 鳥越瑞絵 (2019年4月17日). “【活写2019】島と人 明日へとつなぐ しまなみ街道 開通20年(尾道⇔今治)”. 産経フォト. 2020年1月21日閲覧。
- ^ “しまなみ街道”. 訪問看護ステーション なぎ (2017年10月13日). 2020年1月21日閲覧。
- ^ Welcome to しまなみ海道(2011年11月27日時点のアーカイブ)
- ^ “工事情報”. 松島河川国道事務所. 2022年8月11日閲覧。
- ^ ““瀬戸内の絶景と田舎の心” 6島にまたがるしまなみ海道の自転車旅行 米CNNも絶賛”. エキサイトニュース. エキサイト (2014年5月28日). 2017年1月6日閲覧。
- ^ 白戸太郎 (2014年8月25日). “しまなみ海道サイクリングの人気を探る”. 講談社公式ウェブサイト. 講談社. 2017年1月7日閲覧。
- ^ “しまなみ海道サイクリング”. 尾道市ホームページ. 尾道市 (2012年8月2日). 2017年1月7日閲覧。
- ^ https://edition.cnn.com/travel/article/hiroshima-shimanami-kaido-cycling/
- ^ a b 広島県HP 広島県道路整備計画 2008(全県版) (PDF)
- ^ a b c d ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 85.
- ^ ロム・インターナショナル(編) 2005, p. 86.
- ^ 「しまなみサイクリングフリー」の実施期間延長について - JB本四高速プレスリリース(2024年3月8日)
- ^ 【しまなみ海道サイクリングロード】募金・協賛のお願い しまなみ海道自転車道利用促進協議会広島事業本部
- ^ 事務所の案内|国土交通省 福山河川国道事務所
- ^ 松山河川国道事務所 平成27年度 道路概要図うら
- ^ “暫定2車線区間における優先整備区間選定について” (PDF). 国土交通省 (2019年9月4日). 2020年12月15日閲覧。
- ^ “各IC間の課題の評価一覧” (PDF). 国土交通省. 2020年12月15日閲覧。
- ^ “国交省、「暫定2車線」を「4車線化」する優先整備区間。道東道、秋田道、常磐道、東海北陸道、東九州道など約880km”. トラベル Watch (2019年9月6日). 2021年3月18日閲覧。
- ^ a b c d e f g 浅井建爾 2001, p. 227.
- ^ 浅井建爾 2001, p. 226.
- ^ a b 佐々木・石野・伊藤 2015, p. 112.
- ^ “令和2年度全国道路・街路交通情勢調査の延期について” (PDF). 国土交通省 道路局 (2020年10月14日). 2021年5月1日閲覧。
固有名詞の分類
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