石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/07 18:52 UTC 版)
概説
広辞苑の説明の1番目のものから解説すると、石というのは、岩より小さく、砂よりも大きい、鉱物質のかたまりのことである[1]。 何らかの原因で岩が割れていくらか小さくなったものである。特に小さな石は小石と呼ばれる。(なお、石より小さいが砂よりも大きいのは砂利などと呼ばれる。)
広辞苑では2番目に、材質・材料としての石(=石材)を挙げている[1]。
3番目には、宝石や特定の鉱物加工品を挙げており、具体的には次のものを挙げている[1]。
山などでは自然と石が転げ落ちることが起きている。これを落石(らくせき)と言う。
自然界での位置付け
18世紀では、生命と物質の概念の区分けは現代人と異なっていて、鉱物も自然界の一連の生命の階梯の一番下に位置づけられていた[2]。たとえば、18世紀の博物学における分類体系においては大抵、「動物界」「植物界」「鉱物界」が並置されていたのである[2]。分類学の父とされるリンネの著書『自然の体系』(1735年)はその典型で、冒頭で次のように定義してみせた。
19世紀初頭にラマルクがそれとは異なった線引きを主張したことで、人々の概念の区分けに変化が生じた[2]。ラマルクの1809年の書『動物哲学』においては、「動植物と鉱物の間には越えられない断絶がある」と強調し、彼独自の線引きの学問「biology(生物学)」を提案し、やがてそれが人々に受け入れられ定着したことで、概念枠が徐々に変化した。
なお君が代の中にも、「さざれいしのいわおとなりて」(さざれ石が大きな岩となって)と石が成長する様が描かれている。
神話・信仰と石
メデューサ神話では、人が恐怖で石になる。
古代から何らかの境界を表すものとして石がおかれることがあった。(イギリスのストーンヘンジやストーンサークルなどがその例として挙げられる)
石は古く人間の一生(人生)というタイムスケールの中では、意図的に壊そうとでもしない限り、大きな変化の起こらない、より長い時間を存在する(ともすれば永久不変の)存在だと考えられてきた。このため石は永遠性の象徴として崇められ、民俗学上ではこういった思想が世代を超えて受け継がれる原始宗教と結びついていったとも考えられている。
不老不死に憧れを抱いた者の中に鉱物を永久不変の元として捉え、それら鉱物から「不老不死のエッセンス」を抽出すればいわゆる「不老不死の薬」が作れると考えた者もいた。こういった者の中には不老不死の妙薬として、鉱物から抽出される水銀を服用して中毒死した者も記録に残されており、また錬金術において不老不死研究の過程でも、少なからず鉱物に永遠性の象徴を求めていったケースが見られる(→水銀)。
日本の神社には、通常の神とは別に石が祀られていることも多い。また、日本には夜泣き石の伝説がある。陰陽石といわれる男女を表す石もあり、殺生石は「妖怪の祟り」をもたらすとされる。
宝石には伝説がつきまとうことがある。特にホープダイヤモンドのそれは有名である。
- ^ a b c d e f g h i 広辞苑第六版【いし 石】
- ^ a b c d 山口裕之『ヒトは生命をどのように理解してきたか』講談社、2011年
- ^ a b c 小山田了三、小山田隆信『材料技術史概論 第3版』東京電機大学、2001年、9頁。
- ^ a b c コトバンク 石器
- ^ a b c d コトバンク 石器時代
- ^ 『腕時計大百科』グリーンアロー出版社 ISBN 4-7663-3146-X
- ^ 囲碁の道具 日本棋院、2022年1月22日閲覧
- ^ オセロってなに? メガハウス、2022年1月22日閲覧
- ^ Why Kenyan women crave stones(BBC 参照日:2018.5,15)
- ^ “Publication : USDA ARS”. アメリカ合衆国農務省www.ars.usda.gov. 2024年1月28日閲覧。
- ^ “学芸の小部屋「渦巻きと太湖石」”. www.toguri-museum.or.jp. 戸栗美術館. 2021年3月2日閲覧。
- ^ 平野恵. “好古から考古へ —近世から近代へ継承された学問の形態—”. umdb.um.u-tokyo.ac.jp. 東京大学総合研究博物館. 2020年9月14日閲覧。
- ^ 荻野, 慎諧『古生物学者、妖怪を掘る』NHK出版〈NHK出版新書〉、2018年。ISBN 978-4140885567。(第二章四節「奇石考『雲根志』『怪石志』を読む」)
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