生物学と有機化学の年表
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/02 21:12 UTC 版)
1950-1989
- 1951年 - ロバート・ウッドワードは、コレステロールとコルチゾールを全合成した。
- 1952年
- アルフレッド・ハーシーとマーサ・チェス(Martha Chase)は、放射性のトレーサーを使い、バクテリオファージ・ウイルスでDNAが遺伝物質であることを示した。
- フレデリック・サンガー、ハンス・タピィ(Hans Tuppy)、とテッド・トンプソン(Ted Thompson)は、インスリンのアミノ酸配列を全決定し、クロマトグラフィー解析法を確立した。
- ロザリンド・フランクリンは、エックス線回折法でDNAの構造を研究し、外側に糖とリン酸から成る骨格を有することを示唆した。
- アラン・ロイド・ホジキンとアンドリュー・フィールディング・ハクスリーは、イカの巨大軸索を用いて発見した神経細胞の活動電位の研究を発表した。
- 1953年
- ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックは、DNAの二重らせん構造を提唱した。
- マックス・ペルーツとジョン・ケンドルー(John Kendrew)は X線回折でヘモグロビンの構造を決定した。
- スタンレー・ミラーは、水、メタン、アンモニアと水素を格納した容器中で稲妻を模した放電すると、アミノ酸が形成されることを示した。
- 1955年
- セベロ・オチョア(Severo Ochoa )が、RNAポリメラーゼ酵素を発見した。
- アーサー・コーンバーグ(Arthur Kornberg)が、DNAポリメラーゼ酵素を発見した。
- 1960年
- ヨアン・オロー(Juan Oro)は、青酸アンモニウムの濃縮溶液から核酸塩基のアデニンが生成することを発見した。
- ロバート・ウッドワードは葉緑素を全合成した。
- 1962年 - ジョン・ガードンは、卵に細胞核移植をしてツメガエルのクローンを作成した。これが脊椎動物の最初のクローニングとなる。
- 1964年 - ウィリアム・ハミルトンが社会性昆虫の研究から血縁選択説を提唱した。
- 1968年 - フレデリック・サンガーは、120塩基長のRNA塩基配列をクロマトグラフィー法で解読をする為に、放射性リンをトレーサーとして使用した。
- 1970年
- ハミルトン・スミス(Hamilton Smith)とダニエル・ネーサンズ(Daniel Nathans)は、DNA制限酵素を発見した。
- ハワード・テミン(Howard Temin)とデヴィッド・ボルティモア(David Baltimore)は、逆転写酵素をそれぞれ独自に発見した。
- 1972年
- ロバート・ウッドワード(Robert Woodward)は、ビタミンB12を全合成した。
- スティーヴン・ジェイ・グールド(Stephen Jay Gould)とナイルズ・エルドリッジ(Niles Eldredge )は、生物進化の断続平衡説(theory of punctuated equilibrium )を提唱した。
- S.J.シンガー(S.J. Singer)とG.L.ニコルソン(GL Nicholson )は流動モザイクモデルを提唱し、全ての細胞の細胞膜がその様に構成されていることを発見した。
- 1973年 - ジョン・メイナード=スミスが血縁選択説にゲーム理論を持ち込み「進化的に安定な戦略」を提唱した。
- 1974年
- マンフレッド・オイゲン(Manfred Eigen)とマンフレッド・サンパー(Manfred Sumper)はヌクレオチド・モノマーとRNAレプリカーゼを混合するとRNAが生成することを発見し、この機構によりRNAは自発的に複製、変異、進化することを示した。
- レスリー・オーゲル(Leslie Orgel )は、RNAがRNAレプリカーゼの存在なしで複製することができ、このとき亜鉛が複製過程を補助することを示した。
- 1975年 - エドワード・オズボーン・ウィルソンが血縁選択説を発展させ『社会生物学』を著した。社会生物学論争が起こる。
- 1977年 -
- ジョン・コーリス(John Corliss)、ジャック・ディモンド(Jack Dymond)、ルイ・ゴードン(Louis Gordon)、ジョン・エドモンド(John Edmond)、リチャード・フォン・ハーゼン(Richard von Herzen)、ロバート・バラード(Robert Ballard)、ケネス・グリーン(Kenneth Green)、デイヴィッド・ウィリアムス(David Williams)、アーノルド・ブレインブリッジ(Arnold Bainbridge)、キャシー・クレーン(Kathy Crane)そしてティアート・ヴァン・アンデル(Tjeerd van Andel)は、ガラパゴス海溝の熱水放出口(熱水鉱床)の周囲に嫌気性化学合成代謝に立脚した生態系を発見した。
- ウォルター・ギルバートとアラン・マクザム(Allan Maxam)は、塩基配列をクローニング後、化学分解しゲル電気泳動に掛けるテクニックで高速塩基配列判定する方法を実証した。
- 1977年
- フレッド・サンガーとアラン・カールソン(Alan Coulson)は、ジデオキシヌクレオチドとゲル電気泳動を使う、高速塩基配列判定法を実証した。
- 1978年 - フレッド・サンガー(Fred Sanger)は、5,386塩基対のウイルス PhiX174を用いて、全塩基配列を解析し、全ゲノムを確定した。
- 1982年 - スタンリー・B・プルシナーはプリオンの概念を提唱した。
- 1983年 - キャリー・マリスは、PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応法)を発明した。
- 1984年 - アレック・ジェフリーズは、DNA鑑定法を発案した。
- 1985年 - ハリー・クロトー(Harry Kroto)、J.R.ヒース(J.R. Heath)、S.C.オブライエン(S.C. O'Brien)、R.F.カール(R.F. Curl)、とリチャード・スモーリー(Richard Smalley)は、バックミンスター・フラーレン(C60)が特異的な安定性を示す分子であることを予測し、その構造を推定した。
- 1986年 - アレキサンダー・クリバノフ(Alexander Klibanov)は酵素が非水溶液環境下でも触媒作用を示すことを実証した。
- ^ Sushruta Samhitaは生没年不詳であるが、A Tribute to Hinduism によると紀元前5世紀に生きていたとされる。
- 生物学と有機化学の年表のページへのリンク