機動戦士ガンダム THE ORIGIN
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 09:02 UTC 版)
原作からのキャラクター
ジオン公国軍
主要人物
- シャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン、エドワウ・マス)
- 声 - 池田秀一、田中真弓(子供時代)
- 本作においては、アムロと並ぶ「もう一人の主人公」として描かれている。キャスバルがエドワウを経てシャアと呼ばれるに到るまでが本作における重要な過程となる。父ジオン・ズム・ダイクンの死をザビ家による謀殺だと信じ(その実、信じてもいないし父を憎んでさえいる[要出典])、ガルマを謀殺する。やがて父の唱えたニュータイプ理論が正しかったことを実感するが、それが連邦軍のパイロットから出たことをなかなか認めず、ガンダムのパイロットに対する憎悪と執着に繋がった。
- 戦場の勇者だが、部下への気配りにも長け、兵卒上がりだか優秀なドレンを見込み、ファルメル艦長に抜擢した。その正体についてはキシリアのみならず、ギレンにも見抜かれていたが、たびたび彼を脅かすガンダムのパイロットアムロ・レイにかつての無力な自分自身を重ね合わせて執拗に憎む。自身が地球で手ずから保護したララァ・スンを正に横から奪われた形になり、ララァの戦死後もアムロを執拗に憎み、決闘へと到る。そうした姿勢を実妹のセイラ・マス(アルテイシア・ソム・ダイクン)から指摘されて思い直し、キシリア・ザビに引導を渡してアクシズへと逃れた。原典アニメ版における彼がなぜそのように考え、行動したのかという事がつぶさに描かれている。
- ララァ・スン
- 声 - 早見沙織
- インド出身の少女。出目を予知する能力を買われギャンブラーに雇われていた。カジノでシャアと知り合う。能力を見込まれギャングが彼女の引き渡しを要求。用心棒の寝返りもあってシャアは窮地に陥るが予知能力で命を救った。不当な扱いを受けるララァをシャアは救い出して身柄を宇宙に移し、フラナガン機関に預けていた。兄妹が多く仕送りをして実家を支えている。ララァが人がましい生活を送れるようになったのは言葉通りシャアのおかげで、彼を愛するようになった事情も恩義による部分が大きい。
- サイド6を訪れたアムロと運命的な出会いを果たし、サイド6脱出戦で活躍するガンダムを「白いのが勝つわ」と予知している。Drフラナガンによると彼女の能力はシャリア・ブルとは比較にならないほど高いものだったが、シャリア・ブルにしてみれば小娘と比較されること自体が不名誉と感じ、ホワイトベース隊との交戦時はかなり感情的になっていた。
- テキサスコロニーでは危険を冒してシャアとアムロの戦いを近くで見守る。ソロモン戦の後はエルメスの操縦訓練で連邦艦艇を次々に沈める。「ソロモンの亡霊」と称され、ドズルの怨念の成せる技だとも噂された。
- ア・バオア・クー防衛戦に正式に投入され、アムロと激闘を繰り広げつつもニュータイプ能力で魂の交流とも言うべき共感体験をするが、シャアは嫉妬。ゲルググを撃墜しようとしたガンダムからシャアを庇い戦死を遂げた。アムロはララァを誤殺したことを深く後悔。ララァの死がシャアが遅まきながらにニュータイプ覚醒する契機となった。死後も二人を見守っており、脱出困難に陥り半ば諦め掛けていたアムロを導き、仲間のもとに返した。
ザビ家
- デギン・ソド・ザビ
- 声 - 浦山迅
- 元は、ジオン独立運動の創始者ジオン・ダイクンを影で支えてきたとされる、ムンゾ自治共和国内の実力者の一人。同共和国の最高学府「Munzo University」の学部長であったとされ、最高知識人の一人でもある一方、老獪な政治家で、自らの政治権力基盤を確実なものとするために、議会・軍の要職を自らの血縁のみで固める手法をとっている。
- 一貫した非戦主義者であり、連邦政府と事を構える意志はダイクンの生前から無かったが、連邦との直接対決を望むギレンとそれに煽られた世論に逆らえず、開戦を承認。しかし、ギレンが同じスペースノイドを虐殺し、更にブリティッシュ作戦で人類の半数を死に至らしめる挙に出たことに苦悩し後悔する。ルウム戦役ではガルマと共にグレート・デギンで観戦し、ドズルの戦いを見守った。
- 捕虜となっていたレビルと密かに会見し、和平への道を模索しようとするも、戦争継続を目論むキシリアらの思惑と連邦内でジオンと通じる戦争継続派エルランの策謀で結果的にレビルは連邦に奪還される。その後のテレビ演説で彼が「ジオンに兵無し」と戦争継続を訴えたことを「裏切り」と感じて激怒。ガルマを地球方面軍司令として送り出す際には「恩知らずどもを黙らせてやれ」と焚きつけている。
- だが、溺愛していたガルマの戦死に激しく動揺。講和の道を模索するため様々な手段で働きかけようとするが、自らを傀儡として野心を満たそうと目論むギレンとの対立に繋がっていく。一年戦争が終盤にさしかかり、ドズルまでもがソロモンで戦死したことに激怒。
- ギレンを「ヒトラーの尻尾」と揶揄し、密会したキシリアにギレン暗殺を密かに命じる。だが、ギレンを除く意志はあるものの、戦争継続自体は「是」とするキシリアの裏切りに遭い、座乗艦グレート・デギンの航行情報をギレン側にリークされる。レビルとの和平交渉に赴くが、自軍のソーラ・レイの照射を浴びて最期をとげる。
- ギレン・ザビ
- 声 - 銀河万丈
- デギン・ソド・ザビの嫡男。元々はダイクンに私淑する活動家で弟のサスロやランバ・ラルらと共にダイクンの拘束を目論む連邦側からダイクンを護衛していた。その後、ダイクン党の運動部長からムンゾ共和国議員を経て、ジオン公国総帥となる。明晰な頭脳を持ち、人命を全く省みない。TV版では鉄面皮で感情を表には出さないが、本作では怒ったり苛立つとこめかみに青筋を立てるほど感情豊かに描かれている。卓越した政治手腕を持ち、共和制下のジオンにあっても議会工作に秀で「ダーク・コロニー」でのMS開発や艦艇建造の予算を捻出するなど戦争準備には積極的に取り組む。平時はガーデニングを趣味とする。OVA版では囲碁のシミュレーションゲームに興じているシーンに変更されているが、これはOVA化にあたってコミックを見直した安彦が、庭木の剪定などつまらないと考えて変更された部分である。他に骨董品の収集も趣味で、執務室には刀剣や鎧などが置かれている。独裁者までのぼり詰める過程において、プライベートでも何か戦略的トレーニングになるものをしているとしてチェスや将棋より深いものとして採用している[18]。
- 父デギンをして「ダイクンの怨念が乗り移ったようだ」と言わしめるほど、「自己崇拝」や「選民思想」といったダイクンの精神的暗部を継承して「ジオン公国」を作り上げ、連邦とアースノイドを殲滅しようと目論む人物として描かれている。ある意味では、ダイクンの正当な後継者で彼が行った蛮行の数々はダイクンが夢想して成せなかったことでもある(この状態を指して、父のデギンは「あれは鬼になった。ダイクンの無念が悪魔に変じて憑いた」と慨嘆した)。
- ガルマ、ドズルの戦死で父デギン公王との確執が浮き彫りになり、キシリアにより誅殺された後にセイラたちダイクン派の蜂起と共に、ギレン派が反キシリア(反グラナダ)に回ったことが内部の混乱を加速させ、事実上の敗戦に繋がった。
- また、次第に自分に冷たい視線を向けてくるキシリアを信頼しきってはおらず、直属の情報組織を密かに擁しており、シャアがキャスバルである事実を突き止めていた。
- 独立戦争を増えすぎた人口問題を抱える地球圏の抜本的な問題解決のための手段と割り切っており、自分たちの主張に従わぬ者は同じスペースノイドであっても容赦なく虐殺し、巧みな論理で正当化する。ただ、自らの手を汚すことはあまりせず、情報操作とアジテーションで人を操って目的を成し遂げようとする。弟・サスロの能力を高く評価しており、彼の暗殺には父デギン同様に衝撃を受けていた。ドズルについては軍事面の優秀さは高く評価しており、彼がソロモンで戦死したことを惜しみはしたものの、「短慮にはやった」と冷たく突き放したことでデギンを激怒させた。一方で、サスロ暗殺後に、全身に包帯を巻いた状態で来たドズルに対し、「もういいのか?」と心配する様子や、両の拳を打ち付けて傷口が開いて出血した際に驚くなどの、肉親への情が見られるシーンもある。
- 人間的感情にあまり重きを置いていない性格のため、身内から嫌悪されてはいるが、逆に私心のない人物とも言え、シャアをキャスバルとは知ってもその能力の高さを評価し、戦後は自分の側近として重用する意志を、シャア本人に対して明確に告げた。
- なお、エピソード「~誕生~」においては、果断だった頃の父・デギンに対しては好意的だった様子が伺われる。
- サスロ・ザビ
- 声 - 藤真秀
- デギン・ソド・ザビの次男。ダイクンが教授職だった時代は兄同様にシンパとしてダイクンを護衛する活動家。その後、ジオン党国民運動部部長。ダイクンの葬儀からの帰路に暗殺される。キシリアによる謀殺説もあるが定かではない[19]。原典アニメ版の構想を記した、通称「トミノメモ」や小説版に名前のみだが登場しており、本作オリジナルのキャラクターではない。政治手腕に長けるなどの設定はそのまま使われている。ことに情報統制に通じマスコミを利用して人心をコントロールする役割を担っており、短慮に逸ってキャスバルを拘留しようと目論んだキシリアを叱責して彼女のプライドを汚した。弟のドズルはサスロを尊敬している。
- その能力から見て、存命していればキシリアの担った分野を広く担当していたものと推定される。
- ドズル・ザビ
- 声 - 三宅健太
- キシリア・ザビとともに大きく年齢設定が変えられた。ムンゾ自治共和国時代、首都島防衛隊司令少佐。ダイクン議長死亡時28歳前後。のちジオン士官養成学校校長時には大佐。一年戦争開戦時は中将で、年齢は38歳前後。本作では、キシリアよりも「年齢的に上」であると明確に描かれている。原典アニメ版と比べ、校長としての訓示やルウム戦役での指揮ぶりなど、優れた指揮官、武人としての側面が強調されている。情け深い面も多く描かれ、尊敬する兄サスロの横死を忘れぬために顔面に負った傷をわざわざ残したり、政争に巻き込まれ不遇を託っていたランバ・ラルを表舞台に復帰させるため極秘任務に抜擢したり(このことが「ドズルには男にして貰った恩がある」というラルの台詞に繋がる)、ラルの復隊との交換条件でハモンと今際の際にあったアストライアの対面をお膳立てしたり、「暁の蜂起」で学業相談にかこつけて彼を拘束したゼナ・ミアを事件後に妻にしたり、「ブリティッシュ作戦」に反感を抱いて職を投げ出したラルの言葉を熟慮して自身の行った行為の残酷さが愛娘ミネバにもたらされる過酷な未来を想像して後悔・慟哭するなどという面や、宇宙に散った敵に対し哀悼の意を示して黙祷を指示したりと、ザビ家の中では非常に感情豊かで利他的な面の強い人物となっており、ザビ家内の権力争いを嘆くなど家族愛、人間愛はザビ家では誰よりも強い。ギレン、サスロ、キシリア、ガルマに比べ頭が悪いとコンプレックスを抱くが、その分、ヒューマニストでお人良しな性格が彼に数奇かつ苛酷な運命を辿らせた。また、ランバ・ラルやシャア、黒い三連星を使い、モビルスーツ開発を主導したのもドズルである。最期は、孤立無援となった宇宙要塞ソロモンと運命を共にするのは原作と同様であるが、その事態を招いたのが連邦軍との対決よりも政治的保身を優先し、勝利の為の機会を浪費したギレンとキシリアの政治的策動の結果であると断言し、「あの政治かぶれどもがジオンを滅ぼす」と怒りを爆発させて非難した。
- また、レビルとは彼が宇宙軍総司令だった頃からの旧知の間柄で因縁深い。猛将ティアンムとはルウム戦役緒戦で「先にティアンム艦隊と決戦する」という誤情報で踊らせ、戦力投入の機を与えずに勝利した。ソロモン戦では彼の主力艦隊の所在を執拗に探らせるが、艦隊戦ではなく決戦兵器運用(ソーラ・システム)を選んだティアンムに趨勢を決定づけられながらも返り討ちは果たす。連邦側の将校とは互いにその能力の高さを評価し合っていたとも取れる。
- キシリア・ザビ
- 声 - 渡辺明乃
- ドズル・ザビとともに年齢設定が大きく変えられた一人であり、ジオン公国軍を動かしたキーパーソン的役割を担って、読者の目にわかりやすいように描かれている。本編の黒幕であり、様々な陰謀に関わっている。
- 一年戦争開戦前の初登場時、ムンゾ自治共和国内の準軍事組織である保安隊の長とされた。ジオン共和国発足後、(サスロの死によって)国軍の一部隊である親衛隊の隊長となり、この時諜報機関の長も兼務したと描かれている。一年戦争時ジオン軍少将は原典アニメ版と同じであり、マ・クベとの関係も上官と部下ではなく、階級は上位にあるマ・クベに対して丁寧な形で地球方面の指揮を要請する立場になっている。他方、階級を越えた権力を持つことが描写されている。
- ギレンに取って代わる野心は一年戦争初期には芽生えていたらしく、父・デギンの信頼を得て、ギレンの暴走が過ぎる場合のギレン打倒工作の中核となる下地作りを進めていた。
- ダイクンの遺児キャスバルと接触し、その器量は只者ではないと見抜いて危険視した。シャアのガルマ謀殺をすぐに察知し、彼の素性がキャスバルだと見抜いたうえで部下として使う。
- ザビ家の権力を率先して固めるために働いた一方で、政治的な策略に走りすぎる傾向があり、結果的にザビ家の運命をも狂わせてしまう。
- ガルマ・ザビ
- 声 - 柿原徹也
- 気性が他の兄弟たちに比べて優しく、ザビ家勃興の混迷期を幼少で過ごした事情もあって気骨には欠けている。ただ、そうした己の弱さを自覚し克服しようとする克己心もあり、並々ならぬ努力家。負けず嫌いであり、士官学校でシャアをライバルと認め、なにかと張り合おうとするが、ことごとく一枚上を行かれる。末子ということもあり、父のデギンに溺愛されている。連邦政府の怠慢により隕石(OVAアニメでは冒進した連邦軍艦艇)のコロニー衝突で人命と生産区画に深刻な被害が出た際、シャアの扇動で決起部隊の中心人物に祭り上げられ、シャアの徹底した作戦計画により連邦駐屯軍の施設を武装占拠する「暁の蜂起」を起こす。このことで一躍ジオン国民のヒーローとなる。一度は野に下ったシャアが軍に復帰しドズルに抜擢され、月面でガンキャノン部隊を殲滅して破格の昇進を遂げたことに嫉妬する。だが、お手盛り昇進は望まず、参謀部への人事を拒絶。その後のルウム戦役における地上戦での活躍を認められ、地球方面軍司令として昇進する。WB隊が占領地に舞い込み戦いを繰り広げるが、アムロにより攻撃部隊は壊滅。ドップで出撃していたガルマは挑みかかるも翼を切り落とされたうえ、シャアの細工で遭難しかけるが、辛うじて帰還する。WB隊との「ミード湖」の駆け引きではマチルダの介入で苦杯を舐める。ロスでWBを追い求めるが、結果的にそれを利用されてシャアに謀殺される。
ランバ・ラル隊
- ランバ・ラル
- 声 - 喜山茂雄
- ラル家の総領息子。高潔で非常に武人としてのプライドが高く、聡明な仁愛の人。反面、政略的な立ち回りが不器用で能力・功績の割に実績に結びつかない「万年大尉」[20]。先に戦死の経緯であるガルマ仇討ち部隊としての活躍と壮絶な戦死とが描かれる。シャア・セイラ編以降、ジオン側の開戦経緯に密接に関わる重要人物であり、前述のドズルと双璧を成す物語の主役。もともとはダイクンシンパの活動家としてギレンやサスロとは同志として行動を共にしていた。その後、ムンゾ防衛隊で大尉となる。やがて、ダイクンが権力の中枢を担うようになるとザビ家派とラル家派とに分かれ、ダイクンの死後は深刻な政争劇に発展する。人情派であり、後に仇討ち部隊として行動を共にするハモン、コズン、クランプ、そしてラル仇討ちで活躍するタチとは正に古い馴染み。ハモンについては彼女の少女時代から知っている。また、護衛のためダイクンと行動を共にしていたため、理想と現実とのギャップに苦しむダイクンが政治に無縁なアストライアに癒やしを求め、男女の仲に到った事情も知っている。幼いキャスバルとアルテイシアにとってラルは父親か兄のような親しみを持てる存在だったことは原作同様の事実で、ダイクンの死後はザビ家との政争を制することより遺児二人と父親の身の安全を選択し、危ない橋を渡ってハモン、タチの協力で3人を地球に逃がした。そもそも父ジンバが主張したザビ家によるダイクン暗殺には懐疑的。ラル家は潰され、要職を解かれて一時期はハモンの酒場に入り浸りになり、やさぐれてつまらない喧嘩をするなど荒れていた。そんな彼の不遇を救ったのがドズルであり、MS開発計画という最重要機密に彼を抜擢した。そこで兵隊ヤクザだった旧知のガイア、マッシュ、オルテガらと共にモビルワーカーに毛が生えた段階の試作MSに搭乗して正に命掛けでテストパイロットとして腕をならした。先行採用機のプロトタイプザク(ブグ)に搭乗し「スミス海の戦い」で名を上げた。開戦後、MS熟練者として「青い巨星」の異名をとるが、ドズルから持ちかけられた「ブリティッシュ作戦」への参加要請には「悪魔のすることだ!」と異を唱えて軍を離れ、ザビ家に私物化されつつある祖国の状況を憂慮しつつもジオンにとって天下分け目の戦いであるルウム戦役にクランプ、コズンたちが従軍するのを見送った。
- ドズルとの信頼関係は深く、ザビ家とラル家の恩讐を越えた強い信頼関係があった。故にギレンの指示に丸め込まれたドズルが「ブリティッシュ作戦」に“従事させられた”ことには我慢がならなかった様子で抗議の意味で辞職。その後、ラルが言わんとすることを理解したドズルはミネバを思い悔恨する。その後、ガルマ仇討ちという「私戦」に従事するため復隊するのを了承したのも、華々しい功績でラルを軍の中枢に据えたいというドズルの真意や弟ガルマに対する深い愛情ゆえと理解してのことで、キシリアの息のかかった地上軍総司令のマ・クベの協力など得られないと半ば了解した形で作戦に臨んでいる。(ウラガンのサボタージュの影響で)マ・クベ陣営には約束を反故にされるなど苦杯を舐めさせられたが、マ・クベ自身は「いつまでも日陰者ではな」とラルの能力を正当に評価していた。
- また、能力・人格は軍内部でも高い評価を受けていたらしく、様々なガンダム関連作品でも彼の孤立無援な状況での死を惜しむ声は多かった。
- もともと正妻の居ないラルがハモンを「愛人」(内縁の妻)として作戦に従事させたのも、二人が共犯者として様々な謀略に関わり、常に共に危ない橋を渡る仲だったからだといえる。既に没落したとはいえ名門の出であるラルと、元は不良少女でラルを少女時代から知り、雌伏時代を献身的に支えたハモンにとっての共通項がアストライアの辿った悲劇だった。それでもハモンはラルを「あなた」とあたかも長年連れ添った夫婦であるかのように呼んでいる。彼の戦死後、ハモン、タチを中心にして「仇討ち」が決行された。その際にハモンがアムロに「私とラルの人生は豊かだった。それを終わらせたのが坊や、貴方なのよ」と語るに到る。
- クラウレ・ハモン
- 声 - 沢城みゆき
- 原作およびランバ・ラル編、ジャブロー編前編ではラルの内縁の妻で軍籍を持たない身でありながら、最愛の腹心としてラルを支え、彼の戦死後はタチと共に仇討ちを決行しリュウ・ホセイのコア・ファイターとの空中衝突で戦死する。だが、シャア・セイラ編以降の重要人物で主役の一人。不良少女で夜遊びに明け暮れていた時代に年齢詐称して働いていた酒場「エデン」で純粋な心を持つ歌姫アストライアと知り合いその人生が一変する。アストライアがダイクンに見初められたことでハモンは子供ながらに二人の間を取り持つためキャスバル誕生でも重要な役割を果たす。またアストライアの後を受けた歌姫としてバーテンダーのクランプと共に「エデン」を切り盛りする。
- アストライアへの思慕と友情はひとかたならず、彼女が産んだキャスバルとアルテイシアを政争から逃がすため、連邦軍人に成りすまして二人をガンタンクで逃がすという危険を冒す。その後、自身への恋慕を利用してタチを動かし、二人とジンバ・ラルを地球に逃がした。その後も愛する我が子を他人に委ねた心痛を病として苦しむアストライアを影ながら見守る。ドズルの配慮で対面を果たし、アストライアを勇気づけるがその甲斐もなく、アストライアは早逝する。
- ザビ家に睨まれたことで要職を解かれ、不遇を託つランバ・ラルも献身的に支え、ラルに陽の当たる道を歩ませたいと痛切に願うが、不器用な性格故に上層部と衝突して地位を喪うラルを温かく見守る。ラルの項にある台詞に集約されてしまうが、愛に生き、愛に死んだ女性。
- タチ・オハラ
- 声 - 北沢力
- 少尉→中尉。原作では単にラルに心酔し、ハモンのラル仇討ちに力を貸すだけの存在。本作では重要な役所をこなす。ジオン共和国時代に、常連として通っていた店の歌姫ハモンに入れあげ、「用心棒役」となっていた。色仕掛けで彼女に協力し、ジンバ・ラルとキャスバル、アルテイシア兄妹を貨物便で地球に送る。当初は頼りない青年士官であったが、「ルウム編」では情報部所属の軍人として再登場。開戦後はキシリア機関の目を掻い潜りセイラと接触。彼女にキャスバル(エドワウ)とシャア・アズナブルの入れ替わりを匂わせる情報を届けている。
- その後は地球で諜報活動に就いていたが、ラルの戦死と、ホワイトベースに対するハモンの仇討ち計画を知り、密かな想い人ハモンへの最後の奉公とばかりにあらゆる伝を動員して旧型ザクとマゼラアタックなどの装備とホワイトベースの進路情報を手に馳せ参じる。自身もザクに搭乗してホワイトベースに特攻をかけるがガンタンクの射撃を受け、最後にハモンの役に立てて本望と言い残して戦死。また、ハモンとの再会時に、ラルほどの人材を捨て駒にするジオンに明日はないと敗戦を予言していた。
- クランプ
- 声 - 近藤浩徳
- ラルの副官。長らくクラブ「エデン」のバーテンダーに身をやつしていたが、ムンゾ防衛隊時代からラルの部下。ルウム戦役で軍に復隊した。仇討ち部隊が編制されるとハモンと共に参加した。白兵戦では艦橋制圧のため外部から爆破・侵入しようとするも、キッカの姿を見て驚き退くよう促す。ミライがキッカを庇い、割れた窓から侵入しようとした際にミライに撃たれて戦死。
- コズン・グラハム
- 声 - 丹沢晃之
- クランプと同様にムンゾ防衛隊時代のラルの部下で仇討ち部隊にも参加。階級は曹長→准尉→少尉。ブリティッシュ作戦に憤ってラルは軍を抜けたがコズンはルウム戦役に参加。その際にザクバズーカの一撃で戦艦を撃沈するシャア中尉の活躍を見て自身の予備弾を委ねようとするが、「従軍出来なかったラル大尉の分まで働け」と諭されている。
- ラル隊の一員として熟練パイロットぶりを発揮するも、アコース機がやられてラルの撤退命令が出たにも拘わらず、ガンダム鹵獲にこだわって撤退が遅れる。怒ったカイのガンキャノンに背後からラリアットを喰らわされて逆に機体もろとも鹵獲され捕虜となる。WBクルーが素人集団だと見抜き、尋問を巧みにはぐらかす。セイラが食事にかこつけてコズンに個人的接触を図ってシャアの情報を引き出そうとしたのを勘違い。頃合いを見計らい脱走を図る。ラルにWB内の状況を報告し、自機を取り戻そうとするが、セイラに見咎められ同行するように誘うが拒絶され、組み敷くが逆にキックで反撃された。その後、機体奪還を諦めて身一つで逃亡を図ろうとするも追跡していたセイラに合流したオムルのバズーカでハッチごと吹き飛ばされて死亡した。
- アコーズ
- ラルの部下。コズンとのコンビでラルのグフを援護する。しかし、二度目の交戦でダニーのガンキャノンにザクの頭部を吹き飛ばされた後、ビームライフルでコクピットを撃ち抜かれ戦死。原作での名前はアコース。
- ゼイガン
- ラルの部下。バイクに乗り、偵察任務を敢行する。
- ステッチ
- ラルの部下。3度目のWB襲撃でWBに取り付いて攻撃するがミライが異常姿勢での操艦をしたことで振り落とされた。その後、白兵戦を仕掛ける作戦でもザクに搭乗。アムロの操作するガンダムに撃破され戦死。
黒い三連星
- ミゲル・ガイア[21]
- 声 - 一条和矢
- 黒い三連星のリーダー。階級は軍曹(過去)→少尉(テストパイロット時)→中尉(スミス海での戦功)→大尉(ルウム戦役での戦功)。三人の中では一番常識的かつ紳士的だが、見た目重視で三連星のマークが好き。貫禄がありヒゲが特徴。発足当初のMS隊において指揮官となったラルへの敬意も抱いている。開戦後、ルウム戦役でレビルを捕虜にしてジオン十字勲章の栄誉に輝くが、凱旋後は三連星の活躍以上に華のあるシャアが持て囃される(オルテガは憤るがガイアは気にしていない)。主戦場が地球上に移行するとジャブローでの作戦従事のため、地球に降下。高機動型ザクIIからドムに機種転換する。WB隊との偶発戦闘(ドムの慣熟訓練中だった三連星が戦闘区域とは反対側に急行中のギャロップと遭遇し、異変に気付いて接近した)でガンダムと交戦。決してガンダムを侮っていたわけではなかったが、切り札である「ジェットストリームアタック」を仕掛けた際にマッシュが戦死した。オデッサ前哨戦ではマッシュの弔い合戦とばかりにガンダムに復讐戦を挑むが6機から成るドム隊はニュータイプに覚醒したアムロのガンダムの前に壊滅(この戦いから倒した敵の数を数えるようになった)し、ガイアも戦死を遂げる。
- MS開発史においては重要人物。ダークコロニー内で極秘に開発されていたMSのテストパイロットに抜擢され尉官に昇進。ラル、ガイア、マッシュ、オルテガの4人が「モビルスーツもどき」で命掛けのテストパイロットを勤めていたことで、ブグを経てザクIが開発された。そこに地球帰りでいきなり現れたシャアが加わり、5人による史上初のMS同士の実戦闘である「スミス海の戦い」ではザクIでガンキャノン大隊を壊滅した。
- マッシュ
- 声 - 土屋トシヒデ
- 三連星の一人。階級は軍曹→准尉→中尉。右眼の古傷は昔からある。普段は寡黙だが、オルテガ以上に口が悪くシャアが男妾まがいの真似をして男好きの上官に取り入って出世したなどと本人を前に言っている。WB隊との戦いでガンダムにジェットストリームアタックを仕掛けた際、ガイア機を踏み台にしたガンダムが後続のマッシュ機にビームサーベルを突き立て、コクピットを貫かれて戦死した。
- テストパイロット時代、ラルとは命を賭けて模擬戦を戦うが白兵戦では一日の長があるラルに敗北した。ラルから「兵隊ヤクザども」と揶揄されたのはガイアはともかく、マッシュ、オルテガの言動と素行が相当悪かったからのようである。
- オルテガ
- 声 - 松田健一郎
- 三連星の一人。階級は伍長→准尉→中尉。三人の中で一番背が高く、長い顔とダンゴ鼻が特徴。腕は立つが口が悪くすぐ手が出る荒くれ者。WB隊との交戦時はガンダムを上空援護していたミデアによって崖下に突き落とされそうになり、激昂して操縦席を叩き潰してマチルダを戦死させた。オデッサで復讐戦に挑みガイアと共に全滅し戦死。
- 准尉から一兵卒まで降格していたシャアについては初対面から気に喰わずなにかと張り合う。そのシャアが2階級特進でマッシュ、オルテガを追い越してガイアと肩を並べ、ルウム戦役後にジオン十字勲章のガイアを上回る人気取りで、またも二階級特進したということには更に気に入らない。MSは性能よりも見た目重視で黒(ダークパープル)が好き。
地球方面軍
- マ・クベ
- 声 - 山崎たくみ
- ジオン軍将校。階級は中将。ジオンきっての地球通とされて南極条約調印交渉に全権大使として臨んだが、かねてから近づいてきたキシリアの手配によってレビルの脱出と演説とで和平交渉が頓挫すると地球降下作戦の指揮を執り、その後、地球方面軍総司令官となる。高い技術力を誇るが鉱物資源に乏しいジオン本国のため、欧州東側のオデッサに司令部を置き、地球攻略と並行して資源採掘を行って独立戦争を支える。原典アニメ版にはキシリアにおもねる人物だったが、『ORIGIN』ではキシリアよりも階級が上であり戦争継続を望む真意を明かされ、それに従ったが私淑してはいない。ガルマがマ・クベ麾下に入った事情はザビ家がマ・クベを使い捨てないという証。そもそもザビ家にもダイクンの思想にも全く関心がない、いわゆるノンポリ。軍閥闘争やキシリアとギレンの争いにも全く関心がなく、祖国を勝利させることしか考えていない。連邦軍によるオデッサ包囲作戦(オデッサ・デイ)では頼みのエース部隊であるガイア隊が前哨戦においてガンダムとの戦闘で全滅。エルラン中将の内通情報によりビッグトレー級バターンがレビルの旗艦だと知り、囮であるモルトケに攻撃を集中させる一方でバターンを南極条約違反の核攻撃で撃破しようとするもアムロに察知されて作戦は失敗した。戦争の大局を小人物に委ねたことを後悔。その後、ギレンから命じられていた大都市への弾道ミサイル攻撃を反故にし、多くの将兵をザンジバルで宇宙に逃がしたが自身は地上に残って最新鋭MSギャンでグフ隊を率いて退却戦を戦う。その際、「ギャンは量産させるな。マ・クベの名はギャンと共に記憶されるべきだ」と唱えている。擱座後、核融合炉の爆発に海上封鎖中の連邦海軍艦艇を巻き込んで盛大に爆死した。最期の台詞については原典アニメ版と同様に「ウラガン、あの壺をキシリア様に届けてくれ、あれはいいものだ」だった。
- 耽美主義的な性格はそのままだが、れっきとした武人。学芸員顔負けの審美眼を持ち、選民思想を唱えてもたかが100年足らずの歴史しか持たないスペースノイドは文明的に地球に全く敵わないと信じており、歴史的な教養の無さから、贋作や模造品の類を正規の美術品として高値で買わされるほどアースノイドからバカにされるスペースノイドの現状を半ば自嘲的に見ている。
- なお、”きれいな戦争”を意識して締結された南極条約にしても、核融合エンジンで稼働しているMSが主力兵器である以上、その動力部を破壊されると核爆発を伴う恐れが高いので条約で禁止した意味はほとんどない。
- ウラガン
- 声 - 保村真(『ククルス・ドアンの島』)
- マ・クベの副官。容姿も性格も原典アニメ版と全く変わっていない。総司令付という地位で他人を見下す嫌味な男。政治的な交渉能力を最重要項目に位置づけていたらしく、処世術のなさから出世の遅いラルを「戦争馬鹿」と揶揄してドムの補給要請を握りつぶした。
- オデッサでは敗戦が決定的となるとグフに搭乗してマ・クベと共に戦うが途中離脱して逃れた模様。
- マ・クベへの心酔は本物だったようで、敵討ちのために結成した「ウラガン中隊」でアムロを執拗に狙い鳥取砂丘においてレプリカギャンで襲いかかるが、所詮はハリボテで自滅した。
シャア麾下の人物
- ドレン
- 声 - 白熊寛嗣
- 最終階級は大尉。ルウム戦役でたまたまシャアの乗艦勤務であった。兵卒からの叩き上げ軍人であり、若いシャアに対して古参兵たちが快く思わない中、見所があると評価し好感を持っていた。かたやシャアも裏表のないドレンを気に入っていた。ドズルからルウムでの抜群の戦果を評価され、その引き立てで最新鋭ムサイ級ファルメルと共にシャアへの餞として部下として与えられると、シャアは即座にドレンを艦長に抜擢した。
- その後、シャアの腹心中の腹心として地球行きにも同行した。ガルマ戦死によりシャアが除隊処分となると先に宇宙に戻り、キャメルパトロールの指揮官に出世している。
- 除隊処分を経てもシャアに対する忠誠は変わらず、WBの足止めによる挟撃作戦に協力。だが、アムロの成長ぶりはドレンの予想を遙かに上回っており、僚艦を瞬く間に撃沈された後にドレンの旗艦も撃沈されて戦死した。「指揮官が真っ先にノーマルスーツを着るなど兵を不安にさせるだけだ」など、シャアの影響が色濃い主張をしている。
- デニム
- 声 - 大畑伸太郎
- ファルメルMS隊のパイロット。階級は曹長。シャアの部下の中では古参。その信頼も厚く、サイド7強行偵察作戦では部隊の指揮を執る。ガンダム1号機との戦闘で3機のザクが相討ち同然に撃破され、撤退を決断するも味方の損害と手柄を焦ったことで新兵のジーンが暴走。ジーンがコロニー内で無差別攻撃を始めると止めるために追って入る。だが、ジーン機がガンダム2号機に撃破されると逆上したデニムも戦闘に及び撃破され、戦死した。
- ジーン
- ファルメルMS隊のパイロット。階級は兵長。ルウム戦役以降にパイロットとして着任した新兵。原作同様の最期を遂げる。
- スレンダー
- 声 - 川原慶久
- ファルメルMS隊のパイロット。階級は伍長。サイド7強行偵察作戦では報告のために命令に従って帰還した。結果的に強行偵察部隊唯一の生き残りとなるが、シャアと共に出撃した際にビームライフルに撃ち抜かれて戦死。展開が異なるため原典アニメ版ではビームライフルを装備したガンダムを見て「自分はあの武器は見ておりません」→「当たらなければどうということもない」だったが、『ORIGIN』では「あの武器でアッシュ軍曹が一撃でやられました」→「当たらなければどうということはない」に改変された。
- クラウン
- ガデム輸送隊によりザクと共に配属されたファルメルの補充兵。大気圏内戦闘でガンダムとの交戦で帰還までのタイムリミットを超えてしまい摩擦熱で機体と共に燃え尽きた。ガンダムを道連れにした栄誉をシャアに讃えられたが、無駄死にに終わった。
- 赤鼻
- ジャブロー潜入作戦時の部下。倉庫に放置されていたが工作機として使えるアッガイで出撃した。地下水脈からジャブロー基地内に潜入するため掘削も行って見事潜入に成功。量産MS工場に爆薬を仕掛けるも、カツ、レツ、キッカの妨害で大半を解除された。その後、ジムに撃破され戦死。原作での名前はアカハナ。
- マリガン
- 原隊復帰しマッドアングラー隊に配属後のシャアの副官。階級は中尉。ドレンと違って無茶ばかりするシャアを諫める言動が多い。ただし、気の利く面もあり、シャア専用ザクとガンダムの一騎討ちで偶然を装ってドダイを向かわせ、機体放棄後のシャアを救出している。
- フラナガン・ブーン
- マッドアングラー隊の隊長で、ユーコンの艦長を務める。原作とは異なり、グラブロには搭乗しない。
- カラハ
- マッドアングラー隊の一員。階級は軍曹。ゴッグに搭乗し、ベルファスト基地を襲撃する。単身で暴れ回るが、カイの操るガンキャノンに撃破され戦死。
- ボラスキニフ
- マッドアングラー隊の一員。階級は曹長。ゾックに搭乗するが、太平洋の戦闘にてスレッガーのコアファイターにより撃破される。
- コノリー
- マッドアングラー隊の一員。ミハルと接触し、彼女に潜入用の連邦軍制服と報酬を手渡す。
- キャリオカ
- マッドアングラー隊の一員。ブーンと共にホワイトベース艦内に潜入する。ジオン訛りが強い。
- トクワン
- マッドアングラー隊の一員。グラブロに搭乗し、ガンダムを追い詰める。ガンダムとの戦闘で掴んだ足を握りつぶす痛恨のミスにより敗死した。原作ではビグロに搭乗。
その他
- ゼナ・ミア
- 声 - 茅野愛衣
- コンスコン
- 声 - 竹田雅則
- ジオン軍将校。階級は少将。
- ガデム
- 補給艦パプアの艦長。ザクIで出撃して応戦する展開は同じだが、原典アニメ版と異なり、ハヤトとリュウが操るガンタンクに撃破される。
- ゲビル
- ガルマのもとでドップ小隊を率いる。
- バムロ
- 偵察機ルッグン(コードネームはビッグ・ジョン)の操縦士。
- コム
- 偵察機ルッグン(コードネームはビッグ・ジョン)の副操縦士。
地球連邦軍
ホワイトベース(WB)隊
大型艦ペガサス級の一番艦。元々は強力な武装も持つMS輸送艦として建造されたが、その活躍ぶりにより正式採用され、同型艦が数多く建造されることになった。また、ジャブローへの到着でウッディ大尉らにより「強襲揚陸艦」に改修され、その本来の役所はア・バオア・クー戦で発揮された。初代艦長はパオロ・カシアス。艦長代理を経てブライト・ノア大尉が正式に二代目艦長となる。
サイド7出航時にシャア隊との交戦で多くの負傷者・戦死者を出したため、民兵や新兵の入り交じる雑多な部隊となったが、民間人上がりの主要クルーとパイロットがランバ・ラル隊との交戦で瓦解寸前となる危機を乗り越えてジャブローで任官し、軍人となる。原典アニメ版との明確な差異はスレッガー小隊をはじめ、連邦軍人から補充兵が多く加わっていることであるが、彼ら正規兵たちはWB隊が持つ家族的な雰囲気を理解できず、戸惑う場面もある。原典アニメ版では捨て駒や陽動専門といった扱いをさせられているが、本作ではそこまで悪質な扱いはされておらず、重要局面では艦の持つ優秀さで評価され、作戦上重要なポジションを担っている。
- アムロ・レイ
- 声 - 古谷徹
- 15→16歳。V作戦の責任者でアナハイム・エレクトロニクスRX計画担当部長テム・レイの一人息子。幼少期に「宇宙を体感させたい」というテムの意向で、地球に残った母カマリアとは別れて事実上父子家庭も同然の生育環境で育つ。生活力は皆無で放っておくと部屋はゴミ溜めと化し、風呂にも入らず、食事も忘れる。V作戦従事のためサイド7に移住した父に従い移住。人間関係の構築に消極的で能動的に作った友達はいない。押しかけ女房同然のフラウ・ボウや隣人のハヤト・コバヤシ、留年で同級生となったカイ・シデンに加え、フラウに開戦前から懐いていたカツ、レツ、キッカとは知り合いだがそれ以上でもない。父親の不在を良いことに未明まで自室で調べ物に没頭しており、学校でもいつも眠たそうにしている内向的で目立たない少年。テムのコンピューターから最高機密であるガンダムの情報を調べ、その設計図や仕様(おそらくは操縦方法を含めた技術情報)などを知っていた。
- サイド7へのシャアの強行偵察で一年戦争に巻き込まれ、ジーンの行った無差別攻撃で多くの人々が死ぬのを目の当たりにし、ジオン軍への憎悪を募らせガンダム2号機(RX-78-02)に搭乗し、緒戦でザク2機を撃墜したことから民間人ながら正パイロットに抜擢される。しかし、軍人としての心得を教育されたわけではない為、艦長代行に抜擢されたブライト・ノア中尉への露骨な反感と実戦での恐怖体験などを理由に我が儘にふるまい、大人への不信感を強く持つひねた騒動屋として問題を起こし、ブライトにとっての頭痛の種となる。
- 転機となったのはマチルダ中尉との出会い、ランバ・ラル、ハモンとの邂逅と死闘、リュウの戦死。マチルダには恋心を抱き、ラルを乗り越えなければならない強い大人(理想の父親像)を意識。リュウの戦死で初めて身近な人間の死を体験。更にマチルダも戦死したことで親しい人たちを失う心理的苦痛を乗り越えての成長を遂げ、同時にそれまで兆候こそあったニュータイプ能力が覚醒する。
- 因縁のシャアについては終盤においてサイド6で対面するまでアムロの側で一方的に知っている(ルナツーで本人とその素顔を目の当たりにしている)関係。シャアを強敵だとは認め、彼の存在を察知するがニュータイプだとは対ジオング戦までみなしていない。実際のところシャアとの交戦では劇中2度完敗を喫している(一度目は緒戦。二度目はテキサスコロニーでのゲルググとの一戦。緒戦では手玉に取られたがガンダムの性能で命拾いし、二度目は先のシャリア・ブルとの戦いでエネルギー残量に余裕がない上に、自身の反応速度がガンダムの性能を凌駕した結果)。またガンダムがメンテナンス中で使えない最中にジャブロー侵攻戦が発生し、ジムで出撃して苦戦し、ウッディのファンファンによる支援を仰いでシャアのズゴックを撃破している。
- ガンダムの私物化意識は根強く、原典アニメ版同様にラルに完敗後、パイロットから下ろされそうになった際に露呈し、ガンダムを奪って脱走という銃殺モノの軍機違反を仕出かす。二度目はモスク・ハン博士のマグネットコーティング化実験に際して露呈している。
- アニメとは戦後の扱いが明らかに違い、戦争の英雄としての扱いはそれなりに受けており、シャイアン基地での幽閉ではなく作戦に従事させられることも、ある程度の行動の自由も保障されている。ただし、セイラと同様に連邦軍の護衛部隊に堅くガードされている。本人の希望としてサイド7の復興を口にしている。
- なお、原典アニメ版でハロはアムロのハンドメイド品だったが、元々は幼少期にテムから買い与えられた玩具という設定で、これをベースに改造を加えた形で登場する。
- また母親のカマリア・レイについてはテムとアムロの不在の間に愛人関係と思しき男性との関係をアムロ自身が回想中で直感的に疑う描写がある(「アムロ0082」)。
- ブライト・ノア
- 声 - 成田剣
- WBの二代目艦長。初登場時は中尉。後に大尉。任官したてではなく、それなりの軍歴を持ち合わせる。艦長代理として苛立ち当たり散らす性格はより顕著。艱難辛苦を乗り越えてのジャブロー到着で正式な艦長を拝命し、軍功も十分として大尉に昇進。また改装後に強襲揚陸艦への大規模改修作業を受けてからは対空防御の指揮が飛躍的に向上した。
- ミライへの恋愛感情はジャブロー到着時点で強く。ゴップからフィアンセの存在を聞かされて心中穏やかでなくなる。プロポーズを意識し出したのもこの頃であるようで、ミハル潜入時にブライトの私室をかき回した際にデスクの引き出しに指輪ケースがあるのが確認出来る。サイド6寄港は正に不本意で「命令でなければ誰がこんなところに」とボヤく場面もある。
- 艦長代理時代は未熟さ故にアムロと衝突したり、ミライの助言で作戦立案をする、索敵を怠ってリュウが自主的に索敵を買って出て戦死するなど、周囲に支えられていたが、苦くもつらい経験の数々が彼の優れた素質を磨き上げていったことで正式拝命後は後に名提督と呼ばれるほどの器量を備えてくる。
- ア・バオア・クー戦に際し、大々的な訓示を行ってパイロットたちを送り出すが、「堕とすまで帰還するな」はいくら何でも言い過ぎで、実際のところエルメス撃墜後にガンダムは換装・補給のために帰還している。
- ア・バオア・クー攻略戦の最中に戦死した最高司令官たるワッケインの意を汲んで要塞への強攻揚陸作戦の指揮を担い、作戦を成功に導いたが、アムロの助言で退鑑命令を出して、ホワイトベースの爆沈を見届けた。
- セイラ・マス(アルテイシア・ソム・ダイクン)
- 声 - 潘めぐみ
- 最終階級は曹長。ダイクンの遺児。『ORIGIN』では彼女の幼少期から描かれる。少女時代は子猫の「ルシファー」を可愛がっており、ランバ・ラルはアルテイシアに頼まれて自宅からダイクン邸に搬送。ジンバ、キャスバル、アルテイシアの脱出行に同行した。「ルシファー」はテキサスコロニー移住後、アストライアの死を追うように亡くなり、母の墓石近くに埋葬された。アストライアから月が百回丸くなったらまた一緒に暮らせると言われ、それを信じて手紙を送り続けていた。キャスバル(エドワウ)の出奔後、公式発表された彼の死を疑いながらも墓石を建て墓参りをしていた。少女時代から慈善活動に熱心でテアボロが連邦政府の難民高等弁務官という肩書きだったこともあり、難民救済に力を注ぐ。ジンバ襲撃に際しては伝染性疾患を疑われる病身で寝ずに看護していたエドワウが襲撃に気付いて彼女を護った。長じてからは医師の卵となり、ルウム首都バンチの学校に進学していたが、テアボロの容体悪化で帰省し、養父の死を看取った。その際に暴徒たちの銃撃に応戦し、銃撃戦を戦った。こうした経験が「女傑」という人格形成に寄与し、サイド7襲撃に巻き込まれホワイトベースのクルーとなってからは冷静かつ的確なオペレーターで白兵戦時は銃をとって勇ましく戦い、戦闘後は医師の卵として衛生兵に混じって治療や応急処置をするといったように多方面で活躍しクルーの信頼を得ており、ブライトの信用も高かった。ところが、ランバ・ラル隊との交戦で捕虜となったコズン・グラハム少尉に個人接触してシャアの動静を聞き出そうとしたことが問題視され、スパイ容疑で監査部に取り調べられた後、アムロと同様に独房入りとなる。だが、利敵行為は認められなかったため釈放され、その後はシミュレーター訓練をこなした後、コアファイター(コア・ブースター)のパイロットとなる。飛行時間40時間程度ながらオデッサ前哨戦の索敵任務中に敵機を撃墜する活躍でスレッガー中尉に認められる。その後、テキサスコロニー内での戦闘時にシャアとの個人的会話がカイに傍受され、二人の正体がジオン・ズム・ダイクンの遺児キャスバルとアルテイシアだと判明してからは自室謹慎処分となり、ソロモン戦には参加出来なかった。しかし、マグネットコーティング処理後のガンダムとのハイレベルな模擬戦をこなすなどパイロット適正は高く、ア・バオア・クー戦では新型機として貴重な装甲強化型ジムを与えられる。機体の擱座放棄後、要塞内で捕虜となるがアルテイシアだと正体を明かし、ダイクン派の将校たちを味方につけて反乱決起し、内部を攪乱。その後、アムロの危機を察して反乱部隊を離れて、アムロ、シャアの決闘場面に立ち会い、シャアが立ち去った後、アムロと共に要塞からの脱出を図るも戦闘の混乱ではぐれ、アムロのニュータイプ能力に助けられてカイ、ハヤトに発見され保護されて脱出した。
- 戦後は養父の資産を継承し財団を立ち上げて戦災孤児の救済活動に熱を入れる。ジオン本国への帰還を求められつつも、政治利用されるのを拒み、連邦政府の保護下で活動をしている様が描かれた。
- 立場上明確に出来ないものの養父のテアボロ・マスのことは実の父のように慕っており、彼に協力していたロジェ・アズナブルにも信頼を寄せていた。二人が居なくなったことで、テアボロが信頼を寄せていたシュウ・ヤシマを頼ってサイド7に渡る様子が描かれている。
- 母の復讐のため危険を冒してムンゾに赴いた兄キャスバルに理解を示しつつも、そのために本物のシャア・アズナブルが死ぬことになり、息子の栄達にその実苦しんでいたアズナブル夫妻や、実の息子のように愛を注いだテアボロがエドワウの死に心労で病を患ったことなど、キャスバルが恩人たちに対して行った惨い仕打ちに心を痛め、キャスバルのとった行動についても矛盾に満ちていると指摘。兄妹の悲劇とは無関係なアムロに対する憎しみなど明確に反発し、最後まで兄の助言には従わなかった。一本筋の通った女性であり、正体を明かしても仲間意識を変えないホワイトベースのクルーたちに信頼と安堵の念を抱き、やっと本当の仲間になれたと述懐する様も描かれた。
- カイ・シデン
- 声 - 古川登志夫
- ホワイトベース隊のパイロット。伍長→軍曹。不良少年団の団長として登場。「留年のカイ」(ダブリ-)として級友たちに知られる。同じ学校のハヤトやアムロを誘い出して開発区に重機を使って侵入してしまい、連邦軍に処罰されてしまう。しかし、その際はアムロだけはテム・レイの息子として寛大な処置を受けたことでアムロを「軍属の子」だと誤解することになる。
- 原作通り、サイド7での戦闘で避難民に対する態度を新参者のセイラに咎められ「軟弱者」とひっぱたかれる。これをフラウに愚痴っている。その後、ザクを仕留めたガンダムのパイロットがアムロだと知って民兵として志願。リュウから訓練を受ける。シャアの補給阻止作戦で初陣を飾るが、発艦時にあわや大破という危なっかしいザマを見せ、またガデムのザクIとの近接戦で損傷を負うなど「壊し屋カイ」はこのときから発揮する。民兵上がりとしては成長株(ジョブ・ジョンは兵役)でパイロットとして活躍するが出撃時から危なっかしいなどメカニック泣かせ。また年中外すと揶揄されてもいる。
- 性格は軽薄でニヒリスト。反面、情にほだされるタイプで男気にも溢れる。コメディリリーフとして物語を盛り上げる役。感情表情に乏しいアムロとは比べるべくもない多彩な表情を見せる。アムロ同様の騒動屋でブライトの頭痛の種。ただし反抗的ではなく「あの白目なしに殺される」などと恐れている。リュウの戦死に際してはアムロとハヤトの喧嘩を仲裁し、「悲しいのはみんな同じだ。チビたちも泣いちまった」とアムロを諭している。アムロとのやりとりに関してはほぼ原典アニメ版と同様。『ORIGIN』ならではなのがオムルたちメカニックとのやりとり。鹵獲したコズンのザクIIにガンキャノンの頭部をくっつけた「キャノンザク」はカイの発案でオムルたちに急造させた。マゼラアタック程度なら訓練に丁度良いとビームライフル装備で出撃するが、タチ搭乗のザクIとの交戦時に頭部が破壊され接近戦の末に拘束し、ガンタンクのバルカン砲で仕留めた。ギャロップの特攻阻止のため、MS隊と共に働き一応活躍した。
- ミハルとのエピソードでアンチジオンの想いを強くするが、それ以前に連邦軍に対する不信感が強く、軍に対する帰属意識は低い。特にレビルに対しては「ルウムの敗戦将軍」だと毛嫌いしている。
- コンボイレーサーを自称しているだけあって車両でのエピソードも多く、アムロ救出のためセイラを同伴して捜索に向かいジオン軍とカーチェイスをしたり、アムロ・セイラの収監でホワイトベース内の結束が乱れると車両を盗んでハヤトたちと共に脱走を企ててリュウの逆鱗に触れるなどしている。ジャブロー本部内でカツ、レツ、キッカ救出のために走行中の車両で子供たちの受け渡しをするなど原作に沿った活躍もある。
- アムロはガンダムへの私物意識が強いが、カイはガンキャノン愛が強い。ア・バオア・クーでの出撃前はジョブから愛機を受け継いだハヤトにガンキャノンの繊細さを熱く語っている。またオデッサ・ディでは新型機のジム隊に旧式のガンキャノンが混ざっていることを指摘されるとWB隊であることを殊更強調している。
- アムロがニュータイプに覚醒すると「言っていることは理解できないが、アムロの言うとおりにした方が生き残れる」という経験則から深刻な危機は免れている。配属された補充兵たちがアムロの助言に従わずに戦死する中でしぶとく生き残った結果、単独でもトップエース級の戦果を挙げた英雄となった。
- 戦後、多大な戦果を上げた功労者として連邦政府から与えられる手当で食うに困らずプータローとなっていたがミライから頼まれてセイラに密会した際に自分だけが取り残されている感を感じ取り、真剣に将来の道を模索。セイラへの極秘インタヴューを成功させた大手通信社社員とみなされたことで、本格的にジャーナリストを志し、以後、様々なエピソードで活躍する。
- ハヤト・コバヤシ
- 声 - 中西英樹
- ホワイトベース隊のパイロット。最終階級は兵長。日系スペースノイド。日本文化と精神美学に傾倒。柔道を練習する少年として登場し、カイの仲間でアムロの同級生として登場する。通称「ジュードー」。その腕前は確かで格闘訓練でリュウを相手に「背負い投げ」を決めるなどして師匠と仰がれている。また中立地帯のクスコでジオン兵たちから愚弄されると体格と人数に勝る相手をちぎっては投げの活躍で撃退し、黒い三連星の目に止まる。
- 第一話でアムロに対し、「アイツの親父は軍属だから」という誤解に基づく台詞は、過去にカイに連れ出されて進入禁止の開発地区に忍び込んで連邦軍から銃撃された際にアムロだけ扱いが違ったことによる。ガンダムで活躍したアムロに触発されてカイと共に民兵に志願した。訓練の教官役となったリュウから「愚図だけど憎めない可愛いヤツ」だと愛され、コンビを組んでガンタンクを操縦する。砲手専門なのでパイロットとしては下っ端だが、リュウの戦死後も引き続き愛されキャラという位置づけ。ただアムロへの対抗意識は露骨でソロモン戦では「急場凌ぎのカンオケ」と悪評高いボールで何度も出撃し、負傷リタイアした。リュウの戦死に際しては依存心を露わにしてアムロから殴られた(逆にアムロ側のトラウマとしてジャブローでの負荷実験時に露呈した)。ア・バオア・クー戦ではスプレーミサイルランチャー仕様のガンキャノンに搭乗し、カイとのコンビでホワイトベース直援任務を完遂した。
- 後日談である「アムロ0082」では悲願の日本旅行にアムロ、フラウ、カツ、レツ、キッカと共に赴く。主に出雲大社、鳥取砂丘といった山陰地方を旅した。キッカたちから養父として認められるようになり、フラウとの結婚も決まったことでアムロに土下座してフラウを貰うというエピソードが追加された。しかし、実はア・バオア・クーでの出撃に際し、アムロが二人の仲に気を利かせ、フラウにハヤトのガンキャノンでの出撃を教えて励ますように示唆している。
- ジョブ・ジョン
- 声 - 近藤隆(『ククルス・ドアンの島』)
- 原典アニメ版ではホワイトベース隊の「何でも屋」。本作ではWB隊の名パイロットでレギュラーキャラ。最終階級は曹長。ガンキャノンの正パイロットでカイ、ダニーとはキャノン隊として出撃する場面も多い。本作オリジナルキャラで後述の「ダニー」と並びサイド7出航時以来の古参パイロット。ダニー同様の「兵役組」で職業軍人のリュウほどではないが戦争の事情に詳しい。性格は慇懃で仲間たちのことは「くん」付けで呼ぶ。また仲間意識が強い「サイド7組」ということで戦闘中もアムロが気に掛けている素振りが多い。
- 基本的な能力も高く器用でクルーからの信頼も厚い事からアムロにかわるガンダムのパイロットとして真っ先に名前が挙がり、ジムへの機種転向訓練も受けており、スレッガーが実戦での教育を任される場面もある。戦果においてはカイと五分五分でも命中率が高くて被弾率が低く、メカニックたちの信任も厚い。
- ア・バオア・クー戦ではジム隊を率いて出撃した。
- リュウ・ホセイ
- 声 - 田中美央
- ホワイトベース隊のパイロット。階級は軍曹。民兵、新兵の集まりであった「サイド7組」の鬼軍曹で精神的支柱。リュウを中心としたこのグループは結束が固く、彼の戦死後もスレッガー隊などの補充兵たちとは一線を画す。強面の血気盛んな古参兵で皮肉屋かつ事情通。「戦争屋」とまでは行かないが出撃には異常にこだわり好戦的。ブライトやアムロに当て擦りのようなことを言う場面も多く、言い様も遠慮がない。原作ではわりと寡黙でホワイトベース内でのモメ事を鎮め、ブライトを影ながらサポートする役割だったが、『ORIGIN』では彼自身がブライトの頭痛の種で騒動を起こす側。整備兵や衛生兵相手に怒鳴り散らす場面も多い。ルウム戦役にセイバーフィッシュ型の索敵機(通称カモノハシ)で参加しており、赤い彗星や黒い三連星に精通しており、彼らの実力を肌身に知っている。アムロ、カイ、ハヤトといったホワイトベース隊ではリュウによる一睨みや鉄拳制裁が恐れられており、アムロの脱走に便乗して逃げだそうとしたカイ、ハヤトらは激怒したリュウに追いつかれ、お仕置きされて連れ戻された。また、ハヤトとの関係は柔道における弟子。格闘訓練で小柄なハヤトに投げ飛ばされ、認識を改めると共に弟子入りした。ランバ・ラル隊との白兵戦時にセイラを救出しようとして負傷。クスコで退鑑しての治療を経る。その後、マチルダ隊の提案によるジャブロー所属の陽動部隊の支援でジャブローに向かう際、霧の中での航行で索敵を怠ったブライトに憤り、コア・ファイターで自主的に索敵出動。帰還時にラル仇討ち部隊と遭遇し、クラウレ・ハモン搭乗のマゼラトップと空中衝突して戦死する。戦死の経緯について関わった人物たちが悔恨の弁を述べ、依存心の強いハヤトとそれに怒ったアムロが殴り合いをすることになった。また、ジャブロー到着後の任官式で特例による3階級特進により少尉に昇格し、これに不満を感じたアムロが抗議する騒動にもなった。
- スレッガー・ロウ
- 声 - 池添朋文(『ククルス・ドアンの島』)
- ホワイトベース隊のパイロット。階級は中尉。ジャブローで補充“部隊”として着任した。新設されたばかりのジム小隊の指揮官。伊達男で威勢の良い性格。ブライトは初対面から苦手にしている。ジムのコクピット回りに自身のイニシャルであるSの字を描いている。シャアザクとの遭遇戦で自機が大破し小隊がほぼ壊滅した状態でオデッサ・ディを迎えると急場の白ペンキでSの字を描いて出撃した。
- パイロットとしてはコア・ファイターからガンタンクまで扱える正に「なんでも屋」。技量も卓越しており、アムロも「スレッガーさんがやられるわけがない」とほとんど心配しない。ジムで着任したものの戦闘機嗜好が強く、地上戦・海上戦においてはMSよりも機動性と装備に優れるコア・ファイターを使いたがってブライトと意見がぶつかった。後にコア・ブースターが配備されると愛機とするようになり、ガンダムの搬送による機動戦術に不可欠要素となる。またガンタンクの細かい仕様まで知っている物知りで臨機応変に搭載兵器を使い分ける戦術的に柔軟な思考を持つが、作戦目的を忘れるなど間の抜けた一面も見せる。
- 原作通り、ソロモン戦で被弾したコア・ブースターの修理・補給のために一時帰還した際にミライと逢瀬を交わし、ビグ・ザムで出撃したドズルがティアンム主力艦隊に突入して大打撃を与えるとガンダムを搬送してビグ・ザムに肉薄。ブースター部分を損傷すると分離したコア・ファイターでメインバーニアノズル部分に特攻をかけた。あまりにも一瞬の出来事で一番近くで見ていたアムロにもなにが起きたかすぐには理解出来なかった。
- ミライ・ヤシマ
- 声 - 藤村歩(『THE ORIGIN』)→新井里美(『ククルス・ドアンの島』)
- ホワイトベースの正操舵士。階級は准尉→少尉。ヤシマ財閥当主シュウ・ヤシマの一人娘。父から後継指名されるほどの才媛で秘書替わり。時系列順での登場時期は比較的早く、ジンバ襲撃事件で巻き添えに遭ったテアボロを案じたシュウが中米にあったテアボロ邸を見舞う場面で既に登場している。同年代ながらダイクンの遺児という事情で安穏に暮らせない兄妹を憐れむなど、慈愛深い性格はこの頃から発揮している。また、病床のテアボロがミライという名にFortune(未来)という意味を見出して感動するエピソードもある。軍需にも手を出していたヤシマ・カンパニーの性格上、かつてはテム・レイもヤシマ・カンパニーの社員だったが、アナハイム社の引き抜きに遭う。その後、ヤシマ・カンパニーは軍需部門から一切手を引き、コロニー建造部門という民需に専念した。父親の事業により宇宙暮らしが長く、ほとんどスペースノイドだと述懐している。飛び級で大学卒業するなど才気煥発でスペースグライダーのライセンス取得など、将来は宇宙飛行士になるのが夢だった。ヤシマ・カンパニーがかつて軍需にも手を出していたことから連邦軍でも年配の将官をよく知っており、パオロやゴップとは面識があった。計画段階で頓挫して進まないサイド7の建設現場を視察するため親娘で移り住む。コロニー公社勤務のカムラン・ブルームとは親同士が決めた許嫁。
- サイド7襲撃でシュウが死亡。避難民としてホワイトベースに入るも、操舵士の不足を補うため志願。正操舵士となる。ニュータイプとしての片鱗はこの頃から発揮し、勘が鋭く大抵の場合当たっており、それがシャアを苦戦させた。操舵士のみならず、作戦参謀的な役所をこなして艦長代理のブライトを支えた。マチルダの戦死やスレッガーの戦死についても予期していた。
- 金持ちの娘でインテリという割には家庭的で庶民的。また、セイラとは親同士(セイラの場合、養父)が親しかったことと無関係に信頼し合い親友とも呼べる仲。セイラのスパイ容疑についてはブライトの煮え切らない態度に幻滅している。母性本能が強く、実際に戦災孤児のカツ、レツ、キッカの面倒を見ていたり、アムロに対しても包容力を持って接する。その様をもってスレッガーがミライを「WB隊のおっかさん」と評した通り。原作通り、カムランの登場で心乱れ、事態を静観するブライトに対し、男らしい態度で接するスレッガーに愛情が傾きかけたが彼の戦死で慟哭し、一時期職務を離れる。ララァを誤殺して茫然自失となっていたアムロを気遣いフラウに声をかけさせるなど、アムロの孤立を防ぐ。ホワイトベース退鑑に際し、ブライトから事実上のプロポーズと受け取れる言葉で謝意を伝えられた。
- 戦後はブライトのプロポーズを受け入れて結婚し、専業主婦となる。後日譚となる「アルテイシア0083」では長男のハサウェイ・ノアを出産し育児に専念している。
- フラウ・ボゥ
- 声 - 福圓美里
- サイド7に移住後のアムロのガールフレンド。お節介なほどの世話好き。同級生のアムロの生活破綻ぶりを案じて度々、家事を請け負っている。母親不在のアムロの母親替わりを自認しているが若干疎まれてもいる。ボランティアの民兵としてホワイトベースに乗艦した避難民たちの世話役となる。後に養母となるカツ、レツ、キッカたちとはサイド7で平穏に暮らしていた頃からの知り合いであり、同級生であるカイ、ハヤトとも知り合い。委員長肌でカイやハヤトにとってもお節介な女の子だと認知されており、幼年学校生から「ボゥおばさん」と揶揄されて激昂する場面もある。サイド7での戦闘で肉親である母親と祖父母を殺されておりジオンを憎んでいる。生活能力に乏しいアムロを溺愛しており、アムロもその愛情にはなるべく応えようと努力している。芯の強さも持ち合わせ、そうした個性をアムロ、ミライやセイラからも理解されている。
- 避難民の世話役という立場から下艦要求を艦長代行のブライトにつきつけた際の「人質」にされるなど痛い目にも遭っているが、全く懲りてはいない。この際にアムロはフラウのことなど全く気にもかけていなかったが、その事実はハヤトの配慮で本人には伝わっていない。アムロの真意を知る立場に置かれており、大気圏突入で一人で取り残される恐怖を味わったことでアムロが出撃拒否をした事情も知り、脱走劇についてもアムロが一人煩悶し、どうにか生粋の軍人たるランバ・ラルの脅威から仲間たちを護ろうと煩悶していた様を理解しようとせず、一方的にガンダムを取り上げようとしていたブライトやミライを非難。不器用だが仲間思いであるアムロを追い詰めたことを糾弾し、一人で捜索に向かう。結果的にはそれが裏目に出て、アムロとは再会を果たすが尾行されてWBの所在が突き止められる原因となった。フラウが招いた危機を見過ごせるアムロではなく、グフの撃退を成し遂げるが、帰還後に即座に敵前逃亡罪で独房入りした。その際にそれまで溜め込んでいた自身への不当な扱いをここぞと訴えたが、誰も聞く耳を持ち合わせていないことを本人が全く理解していないことで「馬鹿な子」としてフラウも突き放す。しかし、リュウがアムロを鉄拳制裁すると勘違いして立ち塞がるも迫力に気圧されている。ラルとの白兵戦や仇討ち戦を通じ、アムロが優等生的にブライトの命令に従うようになるとかえって立場をなくす。また、年上のマチルダ中尉に入れあげるアムロの想い(初恋)に気付いて婉曲に詰っている。ジャブロー到着でWB隊のエースパイロット、連邦軍の英雄という自覚に少しずつ目覚めていくアムロを「遠くに行ってしまった」と子離れにも似た感慨を持つようになる。むしろ、そんなアムロを追いかけようと足掻くハヤトに情が移る。ジャブロー到着でパイロット候補生となったセイラにかわりオペレーターと医療ボランティアを兼務するようになる。アムロが特別な「ニュータイプ」なのだと言葉の上では理解でき、相変わらず献身的に世話を焼くが次第に言葉の真意を理解出来なくなる。やがて、その愛情はアムロの背中を無理して追うハヤトに完全に移ってしまった。そうしたフラウの心変わりをアムロから直感的に理解されており、むしろハヤトと結ばれることがフラウの幸福だと思われるようになったことで、アムロが逆にフラウが離れて行くことを甘受するようになり、むしろ後押しするようになる。だが、流石に同じニュータイプ同士として敵兵のララァと精神的交流をしながら殺めてしまったことにアムロが落ち込むと、察しの良いミライに促されてアムロを見舞う。
- 戦後はハヤトの純粋な想いを受け入れ、カツ、レツ、キッカを養子として受け入れる度量を示したハヤトと結ばれる。フラウ、ハヤトとの日本旅行を通じて、自身が味わった一年戦争を振り返ったアムロとはその人間的成長を認めて冷静に懐古に付き合っている(アムロ0082)。
- オムル・ハング
- 声 - 富岡泰崇(『ククルス・ドアンの島』)
- ホワイトベース隊のメカニックチーフ。原典アニメ版に比べホワイトベース隊の所属機体数があからさまに増えているので大変ではあるが、役所はしっかりこなす。アムロとの信頼関係は早い段階から抜群に良く、アムロが急遽ショルダーマグナム換装を言い出しても即応している。損傷状況でパイロットたちの腕前を判断しており、グフとの一騎討ちでわざとコクピットハッチを跳ばして直撃を防いだアムロの技量にも「正に絶妙のタイミングだ」と感心している。
- 歴戦で伝説の機体となったRX-78-02の専任メカニックという自負心・自尊心も強く、マグネット・コーティング化ではオムルを立ち会わせないモスク・ハンとも対立することになった。
- コズン脱走事件では脱走幇助の疑いをかけられたセイラを弁護した。
- また、ララァ撃墜の衝撃でアムロが茫然自失となっている様子がオムルの問いかけにも応えないという形で表現されている(このとき装備換装しようとしていたのがいわゆる、バズーカ2門の最終決戦仕様。これの確認をしていた)。
- オスカ・ダブリン
- 声 - 江口拓也
- オペレーター。
- マーカー・クラン
- 声 - 河本啓佑
- オペレーター。
- カル
- 声 - 鈴木晴久
- カイの不良仲間。
- ハワド
- 声 - 志賀克也
- カイの不良仲間。
- マクシミリアン
- 声 - 福田賢二
- カイの不良仲間。
- タムラ
- コック長。
- マサキ
- 看護兵。
- バンマス
- 副操縦士。
- パオロ・カシアス
- 声 - 沢木郁也
- WBの初代艦長。老齢により予備役に退いていたが逼迫した情勢により新造艦艦長に抜擢された。老練の軍人であり、士官学校で後進育成を担っていた。教え子の一人としてルナツー司令官のワッケイン少将が挙げられる。ルウムの英雄シャアに目を付けられて新型MS受領のため寄港したサイド7で戦闘となり正規士官が迎撃戦で相当数犠牲になった。パオロ自身も突撃艇でファルメルに肉薄攻撃した際に重傷を負い、指揮官代行をブライト・ノア中尉に任せた。軍律に縛られず、才能のある人間を抜擢するという現場判断がアムロ、ミライらの活躍を生んだ。ルナツー到着後にワッケインに対し、ブライトらへの穏便な措置を願い、彼らに未来を託して逝去し宇宙葬にふされる。
連邦軍士官と将官
- ヨハン・イブラヒム・レビル
- 声 - 中博史
- ルウム戦役での連邦宇宙軍総司令官。この戦いで旗艦アナンケが撃沈させられ黒い三連星によって捕虜となる。ジオン公国となる以前からサイド3のムンゾ自治共和国とは因縁深く、彼らを監視する目的も担っており、ジオンの将官とも内通していた(御前会議の内容も窺い知れるほど。結果的にはティアンムのレビルへの信頼と偽情報が裏目に出てルウムの大敗を産んだ)。ムンゾ士官学校設立に際しては貴賓として招かれている。また、「暁の蜂起事件」では事後処理を巡ってギレン・ザビやドズル・ザビとの交渉役となり、連邦軍側の隕石衝突事故の原因や、蜂起の引き金となった治安出動などについて非は一切認めなかったが、一躍英雄となったガルマを若者として責任を問うことをせず、指導監督すべき立場のしかるべき大人が「ハラキリ」するという方法を提案。ギレン、デギンもこの提案に賛成した(結果的にドズルが校長を引責辞任。真の首謀者たるシャアが一兵卒に格下げされて士官学校の履歴も抹消された上での予備役となった)。根っからのアースノイドではなく、スペースノイドにも一定の理解を示す面があり、デギン公王からも信頼を寄せられた。だが、彼自身はあくまでも地球統一政府としての地球連邦政府に忠誠を誓う軍人であり、内心停戦を望んでいるデギン公王から因果を含められて脱走を見逃されるも、エルラン中将子飼いの特殊部隊に救出された後、「ジオンに兵なし」の演説をぶって地球連邦軍を鼓舞し、デギンからは「裏切り者」として罵倒される。また、脱走行の事情を知らないシャアに看破されたが見逃している。結局はキシリア・ザビと内通して戦争継続を企図したエルランにまんまと利用された。敗将から一転して英雄となり、制服組トップの地球連邦軍総司令官となる。
- 政治向きの事柄は苦手のようでそちらはジャブロー司令のゴップ大将に一任している。寡黙で腹の内を読ませない男であり、良くも悪くも物事に頓着しない。占領した施設の不備などはお構いなしという一方で、WB隊が意外に使えるとみなすや「正規軍相当扱い」とするなど柔軟な思考を見せる。もっとも非情ではなくマチルダ輸送隊に支援を命じており、ベルファストでは自ら出向いて彼らの労を労っている。
- オデッサ・ディ(オデッサ作戦)はジオンの生命線と言える鉱物資源採掘基地を最重要作戦目標として虎の子の最新鋭量産MS部隊を中心とした陸海の連邦地上軍で包囲攻撃するというものであった。ルウムでの苦い教訓(自身のアナンケが撃沈されたことで指揮系統を喪失し、ティアンム艦隊が戦力投入の機を逸して撤退を余儀なくされた)を生かし、ビッグトレー級の同型艦「バターン」と「モルトケ」とを使いアウトレンジからの砲撃によりジオン地上軍を攪乱。だが、この情報は敵将マ・クベに漏洩しており、マ・クベはバターンが旗艦だと知って敢えてモルトケへの攻撃を集中させる一方で、南極条約違反の核攻撃で最高指揮官のレビルを亡き者にせんと図る。しかし、作戦の途上でかねてから疑念を抱いていたエルラン中将の言動に不信感を抱き彼を拘束。モルトケ援護を命じていたWB隊のアムロが命令違反を承知でバターンへの核攻撃を察知してこれを防いだことで戦勝した。謀略を看破されたマ・クベは敗戦を悟り、ギレンから命じられた弾道ミサイルによる大都市攻撃を反故にし、自ら最新鋭MSギャンで退却戦を戦い核融合炉の爆発に海上封鎖中の連邦海軍を巻き込んで壮絶な戦死を遂げる。
- 「ソロモン攻略戦」では自身ではなくルウムでの雪辱に燃える盟友ティアンムを最高司令官に抜擢。ジオンのお株を奪う正面艦隊を大掛かりな囮とし、切り札であるソーラレイでソロモンの宇宙港を炎上させて趨勢を決するという内容になった。ドズルはティアンムが艦隊決戦ではなく決戦兵器の使用に踏み切ると判断したことで敗戦を悟り、MAビグ・ザムで特攻してティアンムをも道連れにした。「星一号作戦」は本来はソロモン要塞を占領後にア・バオア・クーとグラナダを牽制しつつ、サイド3の制圧に向かうというもので主力艦隊はその航路を進軍していた。この情報を知ったデギン公王はレビルに和睦を申し入れるためにグレートデギンで赴き、デギンの窮状を察して受け入れようとするも、ギレンの切り札であったソーラレイ(コロニーレーザー)で両者ともに犠牲となる。これによって最も優秀な指揮官だった彼と共に精鋭の主力艦隊を喪失した連邦軍は互角に近い態勢を強いられたことで作戦変更の必要に迫られ、急遽牽制部隊をもってア・バオア・クーを揚陸占拠するという犠牲の大きい作戦を強いられることになってしまう。
- 西暦期の文化や戦争にも精通しており、「ハラキリ」についてはギレンは蛮風と断じたのに対し、サムライの責任の取り方としての美風と称している。また、オデッサ・ディを「宇宙世紀の日本海海戦。もしくはアウステルリッツの戦い」と評している。
- 原典アニメ版と同様にニュータイプとしての素養を覗かせる要素としてララァの暗躍に頭痛を感じて存在を察知している。
- WB隊を慰問した際にカツ、レツ、キッカとそれを追いかけてきたフラウに馬乗りにされ、若いフラウの尻に敷かれるといった笑い話にもなった。
- ティアンム
- 声 - 大川透(V)→高塚正也(VI)
- 「猛将」として知られる連邦宇宙軍の双璧の一翼。その性格と思考は堅実かつ柔軟な名将のそれで、戦術家としてはレビル以上に警戒された軍人。年齢と地位から見てレビルの後継者と目されたであろう人物。開戦時の階級は中将。ルウム会戦ではレビルへの信頼が裏目に出て、事前にリークしていた御前会議の内容とは異なるジオンの作戦に翻弄されて戦力を保持したまま敗戦した。その雪辱に燃えており、ルウムで苦杯を舐めさせたドズルに対し、ソロモン攻略戦では決戦兵器ソーラレイで宇宙港に打撃を与えて戦いの趨勢を決定づける。だが、敗戦を悟ったドズルのビグザムによる特攻で戦死を遂げた。ルナツーの司令官ワッケイン少将は彼の部下に当たる。
- ワッケイン
- 声 - 森川智之
- ルナツー駐留艦隊司令官。階級は少将。連邦宇宙軍の反攻拠点となるルナツーを守備するためジオンとの積極交戦を望まず、その態度から「ルナツーの不戦提督」と揶揄される。サイド7から避難民と共にやってきたWB隊に対して厳格な軍規適用でブライトら士官を拘束した。しかし、恩師パオロの死後、「最低限の措置」としてリード大尉のサラミス一隻を護衛につけてジャブローへと送り出す。
- オデッサで地球での優勢を決定づけた連邦宇宙軍がソロモン攻略を企図すると囮艦隊である正面部隊の指揮に非凡な才能を発揮。正面戦力が意外に頑強だと判断したドズルは艦艇出撃で正面艦隊を排除しようとするがソーラレイの一撃で駐留艦隊はほぼ壊滅に陥る。敗戦を悟ったドズルは正面艦隊でなくソーラレイを照射したティアンム艦隊本隊への特攻を敢行。直属上官であるティアンム中将はこれで戦死した。
- その後、「星一号作戦」発動でア・バオア・クー牽制艦隊の指揮を任されるも主力艦隊がレビルと共にソーラレイ(コロニーレーザー)で消滅させられ、作戦内容を変更したゴップの指示でア・バオア・クー攻略総司令官に抜擢される。ア・バオア・クー攻略を「宇宙世紀におけるノルマンディー上陸作戦」と位置づけ、MS隊によるア・バオア・クー上陸占拠に一縷の望みを託して作戦を実施する。しかし、防空戦力として配備された宇宙空母ドロスの砲撃により旗艦は撃沈される。全滅の危機回避のため縁あるホワイトベースにア・バオア・クー強行上陸を指示しようとして戦死する。ワッケインの意を汲んで事実上、その後の指揮を担ったブライトが艦艇による強襲揚陸を残存艦艇に指示したこと、ギレンの横死で一時的に防空能力が低下したこと、セイラが「アルテイシアの叛乱」を要塞内部で扇動したことで戦局は一変。ギレンを誅殺したキシリアがア・バオア・クーでの防衛戦にこだわらず劣勢とみなして脱出を決めたことで趨勢は決した。
- エルラン
- 声 - 白熊寛嗣(『ククルス・ドアンの島』)
- 連邦軍中将。味方を出し抜く活躍で「レビル救出」という大功で評価される。しかし、その実ジオン内部の主戦派であるキシリアと内通しており、WB隊の航路も含めた作戦重要事項をマ・クベに洩らしていた。副官のジュダックと共に獅子身中の虫として連邦軍を内部から瓦解させようと目論むも、核攻撃への恐怖から不自然な言動をとったことでレビルに看破されて拘束された。バターンからの脱出を目論んだ腹心のジュダックもろとも彼らの背信行為が発覚した。
- ゴップ
- 声 - 楠見尚己
- ジャブロー司令官。階級は大将→元帥。典型的な戦略家で、特に政戦両略に対する理解力は優秀極まりない軍政家であり、ギレンにとっての真の敵手だったと言える人物。
- 普段は温厚で常識的かつ良識的な人柄を連邦政府からも信用されるが、ジオン公国との戦争の危機を察知するとMSの優劣が戦の趨勢を決めると「スミス海の戦い」の教訓から判断し、アナハイム社のいち部長に過ぎないテム・レイに権限を与えてジオン軍の主力MSザクを上回る性能のMS開発を彼に委託する。これが正に「V作戦」であり、並行して連邦軍総司令部のジャブローへの移転改革を急がせるなど、後日の連邦軍勝利の戦略を戦前の時点で確定させた。
- さらに、ジオン脱出後の演説で連邦側の士気高揚を成功させたレビルに連邦軍制服組ナンバー1の座を譲る形で、総司令官に押し上げて連邦軍をより実戦的な組織へ変革し、レビルの指揮と決戦兵器たる量産型のガンダム(ジム)の実戦投入によって一年戦争の趨勢を決した。ジャブロー攻略戦では潜入部隊を指揮するシャアには急所を狙われるも、主力部隊を率いて空からのジャブロー攻略を指揮したガルシア・ロメオ少将をレビルと共に手玉にとり、開発区に誘い込んで戦死に追い込んだ。
- レビル戦死後は事態を不安視する連邦政府幹部の説得にあたり、ソロモン攻略戦で囮艦隊の指揮に非凡な才能を発揮したワッケインをレビルの後任としてア・バオア・クー攻略戦の最高司令官に任じている。
- ジオン側全権大使であるマ・クベとの南極条約締結交渉にも連邦軍代表として臨んでおり、連邦軍制服組のナンバー2としての才覚を遺憾なく発揮している。
- 普段は一言多い人柄故にミライを閉口させた。偶発戦闘に巻き込まれて逝去したシュウ・ヤシマを民間人ながら高く評価し、生きていればジオンとの早期講和も実現したとその死を惜しんでいる。
- マチルダ・アジャン
- マチルダ輸送隊の指揮官。階級は中尉。彼女の活躍が孤立無援だと半ば諦め掛けていたWB隊に一筋の光明を与えた。ジオンの防空網をかいくぐりWB隊に支援物資を輸送し、現場での応急修理にも尽力する。最初の補給となったミード湖では彼女のもたらした情報が罠に落ちかけていたWBを救った。その後もWB隊のジャブロー到達に尽力する。その美貌をもってアムロやカイを虜にしたのみならず、アムロの卓越した才能を認め「貴方はエスパーかも知れない」と発言して自信を与えた。中立地帯のクスコからジャブローに向かうWBを陽動作戦で援護し、案内役ともなる。エルラン中将の機密漏洩でハモン率いるラル仇討ち隊と戦闘で疲弊したWBの所在を察知した黒い三連星との戦いにおいて機関停止中のWBを護ろうとミデア輸送機で援護し、オルテガ機を崖下に突き落とそうとするが反撃の一撃で戦死した。彼女の死がアムロをニュータイプに覚醒させた。
- ミデアの機首は右側が連邦軍マークと決まっているが、マチルダ搭乗機の左側には戦いの女神アテナのパーソナルマークが描かれる。
- ウッディ・マルデン
- 艦の修理・改修を請け負うジャブローの士官。階級は大尉。フィアンセであるマチルダが愛し、守り抜こうとしたWBを強襲揚陸艦として改修した立役者。マチルダとはWBのジャブロー到達をもって結婚式を挙げる予定でいた。彼女の遺志を継ぎ、WBを我が子のように大切に扱い不眠不休で改修作業を指揮する。アムロが自責の念からマチルダを死なせた自身の非を詫びると、「一機のMSで戦局が変えられるほど戦争は甘くない」と説いてアムロの増長をたしなめると共に罪悪感を癒やした。シャア率いる潜入隊がMSの量産工場およびペガサス級の建造・改修施設を攻撃目標とするとホバー迎撃機のファンファンで自ら出撃。コアポッド搭載改修中でガンダムでなくジムで出撃したアムロはシャアのズゴックとの交戦で性能差により苦戦すると割って入り、一瞬の隙を作ったことでアムロがシャアを撃退し、ズゴック放棄を余儀なくさせた。ウッディ自身はシャアの攻撃で戦死している。
- リード
- サラミス級巡洋艦の艦長。階級は大尉。原作よりヒステリックな性格になっている。ストレス性胃炎を患いホワイトベースから下艦。
民間人
- カツ・ハウィン
- 声 - 朝井彩加(『ククルス・ドアンの島』)
- サイド7の戦災孤児。
- レツ・コ・ファン
- 声 - 潘めぐみ(『ククルス・ドアンの島』)
- サイド7の戦災孤児。
- キッカ・キタモト
- 声 - 新井里美(『ククルス・ドアンの島』)
- サイド7の戦災孤児。
- スミス
- サイド7の避難民。
- ペロ
- スミスの孫。
- ペルシア
- サイド7の避難民。亡き夫の故郷であるセント・アンジェを目指しホワイトベースから下船する。
- コーリー
- ペルシアの息子。
- イセリナ・エッシェンバッハ
- ヨーゼフ市長の娘。ガルマ・ザビとは相思相愛の間柄。
- ヨーゼフ・エッシェンバッハ
- ロサンゼルス市長。原作と異なり反ジオンのゲリラ運動を陰で支援しており、ジオンの憲兵に処刑される。
注釈
- ^ 地上の移動要塞としてアッザム、ソロモン防衛戦で拠点防衛用に配備されていたザクレロなど。
- ^ 例えばザクについては「兵器なのだから、マシンガンの弾薬を使い尽くした後、近接戦用のヒートホーク以外の武装が徒手徒拳しかないということはないだろう」という趣旨の発言をしている。
- ^ これに伴い、ジャブロー攻防戦とオデッサ作戦の発生順番も入れ替えられた。
- ^ テムの勤務先としてアナハイム・エレクトロニクス社も登場している。
- ^ 本作ではジャブロー以前にコア・ファイターが汎用戦闘機として登場しており、それとの差別化のため、この内蔵機は「コア・ポッド」と呼ばれている。
- ^ 単行本掲載時に「キャスバル 0057」に改題。
- ^ 実際にはプロトタイプガンダム (RX-78-1) にあたる機体である。これは、安彦が執筆当初プロトタイプガンダムの存在を知らずに新たに1号機を登場させたため。「公式ガイドブック」でも、プロトタイプガンダムの存在を知らなかったことを仄めかしている。
- ^ 当初はコアファイターの代替として操縦席部分のみが射出される脱出装置を使用する予定であり、大河原によるデザイン画が描かれている。
- ^ テム・レイはザクIを対戦車戦を想定されたバトル・タンク、ガンキャノンを対歩兵戦闘車に例えて説明している。
- ^ 一年戦争以前、MSという概念が生まれるまでは戦車に分類されていた模様。
- ^ 特別番外編は未収録。
- ^ 発表時のタイトルは『〜誕生〜』。
- ^ 同日発売の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック3』にも掲載。
- ^ KADOKAWAのWebコミックサービス『ComicWalker』と『ガンダムエース』2014年5月号・8月号に先行掲載。
- ^ 『青い瞳のキャスバル』では開戦後のルウム戦役の一場面がプロローグとして例外的に描かれた。
- ^ 後年、安彦が劇場アニメ版『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の制作を経てインタビューに答えたところによれば、『ORIGIN』では第1原画をアニメーターが描いて処理をCGでやっていたという[29]。
- ^ 変声期前は田中真弓が担当。
- ^ 『機動戦士ガンダムUC』から引き続き成田剣が担当。『1st』『Z』『ZZ』『逆襲のシャア』でブライトを演じていた鈴置洋孝は、2006年に死去している。
- ^ 『V』より「メカニカル総作画監督」。
- ^ a b c d 『II』まで。
- ^ a b 『III』より。
- ^ 『II』のみ。
- ^ 『V』まで。
- ^ 『VI』のみ。
- ^ 『III』まで。
- ^ 第13話のみ。
- ^ a b 第4話まで。
- ^ a b 第5話より。
- ^ 第8話まで。
- ^ a b 第9話より。
- ^ 第6話まで。
- ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア』挿入歌[46]。
出典
- ^ 「コミックス累計1000万部!安彦良和が描く「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」電子書籍いよいよ発進!!著者からの描き下ろし“お祝いイラスト”も到着!」『PR TIMES』、KADOKAWA、2014年6月25日。 オリジナルの2022年12月12日時点におけるアーカイブ 。2022年3月5日閲覧。
- ^ “安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN展公式webサイト”. 安彦良和/機動戦士ガンダム THE ORIGIN展公式webサイト. 2022年1月27日閲覧。 アーカイブ 2023年4月3日 - ウェイバックマシン
- ^ a b 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック』角川書店、 2004年8月、172-174頁。 ISBN 978-4-04-713644-1
- ^ a b c 徳間書店、『ENTAME』2015年 04月号P42 - 43「機動戦士ガンダム THE ORIGIN シャア・アスナブルがキャスバルだった頃 安彦良和『ジ・オリジン』かく語りき」より。
- ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック』172ページ。
- ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』で今、安彦良和が語る富野由悠季と“ニュータイプ論”「僕は世界の誰よりも彼をリスペクトしている」 アーカイブ 2021年10月20日 - ウェイバックマシン
- ^ a b c d e f g 東京ニュース通信社『スカパー!TVガイド プレミアム』P24「ガンダムの起源をめぐる旅 シャアは世界を破滅しかねないネガティブヒーロー! 安彦良一」
- ^ 『安彦良和対談集 アニメ・マンガ・戦争』(角川書店)[要ページ番号]
- ^ アニメ版では、ポートから出港するジオン側の船(後のムサイ級)と入港しようとするサラミス級のどちらも進路を譲らなかった結果衝突し、コントロール不能になったサラミスが食糧生産区画とおぼしきエリアに激突する運びに変更されている。
- ^ 実際にはサイド6で生存しておりアムロは再会する(再会後に転落死したかは不明)。しかしモスク・ハン博士は「サイド7で死亡した」と語っており公には死亡説が採られている。
- ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック』107ページ。
- ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック』157ページ。
- ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック2』59ページ。
- ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック』174ページ。
- ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック2』14ページ。
- ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック2』12ページ。
- ^ 『月刊ガンダムエース』2010年12月号特別付録No.100 0号。
- ^ “機動戦士ガンダム THE ORIGIN公式webサイト”. 機動戦士ガンダム THE ORIGIN公式webサイト. 2015年5月14日閲覧。 アーカイブ 2017年5月17日 - ウェイバックマシン
- ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック2』90ページ。
- ^ ムンゾ防衛隊の頃から戦死までの丸10年階級が全く上がっていない。
- ^ 原典アニメ版ではファーストネームはなく、『ORIGIN』では御前会議でシャアと共に紹介された際に判明。
- ^ ホワイトベースがカッパドキア上空を通過した際に、アムロ達に「祖父がトルコ系」「我が祖国」と話している。
- ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック2』77ページ。
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