戦時設計 建築における戦時設計

戦時設計

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/14 01:00 UTC 版)

建築における戦時設計

資材、特に材の節約が建築における戦時設計の主題となった。コンクリート建築において引張力を担保する鋼材に対しての、「竹筋コンクリート」などは、その代表である。

現存するものとしては山口県岩国市岩国徴古館がある。また鋼材を節約するための木造トラス、特に集成材によるものがつくられた。現在の集成材は接着剤によってつくられるものが多いが、当時の技術では建築の規模に用いることは難しく、金物によって一体化された集成材が多かった。現存するものとしては、東京駅の大屋根がある。

戦時設計の例 

大日本帝国

日本軍

陸海軍共にあらゆる装備品に致命的な品質低下が露呈し始めるのは概ね昭和19年末以降である。

1944年末以降に省力化が進んだ。特に海軍が製造したレシーバーすらも鋳鉄とする「(特)」型は粗悪品として悪名高い。
1944年末以降のものは安全装置や逆鈎の剛性不足で、安全装置を掛けていても引金を強く引くと暴発するものが存在する。
  • 国民簡易小銃
いわゆる火縄銃である。
海軍のアツタエンジン共にダイムラー・ベンツ DB 601ライセンス生産品であるが、使用資材からニッケルを削減した事により、部品破損が多発し稼働率の低下を招いた。
昭和18年制式の三式軍刀拵と同時期に製造された工業刀身は、日本刀の美観を一切廃した簡略化が行われている。そのため、今日の刀剣愛好家からは「昭和刀」と酷評される事も多い。一方で、見た目に反して実際は数々の戦訓を元に実戦に必要な強度の強化が施されている。
昭和18年制式のうち、昭和19年及び20年特例に準ずるもの。国民服を代用としたり、その素材もクワ(繊維)やサメ(皮革)、竹(ヘルメット)や紙(帽子)などの極度の簡略化が行われた。
昭和18年制式の第3種軍装は元々は海軍陸戦隊の陸戦服が発祥であるが、組織的な艦隊行動がほぼ行えなくなり陸上勤務が主体となった昭和19年末以降は将兵全てが常時着用する物ともされた。
軍事以外
硬貨自体が平時における軍需資源備蓄の効力を有する為、これを市井から回収する目的で中央銀行により発行される。大日本帝国では黄銅、アルミニウム、、陶器(未発行)の順に置換え発行が進められた。国によっては全てを紙幣に置き換える場合もある。
逓信省制式の3号電話機の中に筐体のみを木製としたものが存在した。
金属製の缶詰に対して、陶磁器の容器と蓋を組み合わせた過熱済み密封包装。使用時には蓋の中央部を突いて小穴を開け、密封を解く。缶詰同様使い捨てである。日用品の皿なども「軍用食器」として統一規格と流通が一元化された。弁当箱も陶磁器で製造された。
当時標準的なガスコンロは鋳物製であったが、これを陶製としたものが製作された。当該項を参照。[3]
国鉄鉄道省運輸通信省運輸省
木製電柱が中心の時代であったが、資材不足のため東海道本線の電化区間ですら電柱に防腐剤を塗る工程が省略された[4]
ともに青函連絡船

日本国外

ドイツ国

銃床(ストック)に用いる木材の節約の為、戦間期には世界で初めて集成材を用いたラミネートストックが実用化された。第二次世界大戦の最末期には単材が復活し、形状も小型化・単純化された。また開戦後に銃床に付属する部品が削り出しや鍛造からプレスに変更された。

アメリカ合衆国

リベレーターの名でも知られる。
1942年に様々な戦時省力化が図られた。

イギリス

ソビエト連邦

脚注


注釈

  1. ^ 戦時設計により工作水準が下がっているにも関わらず当時国内最高圧の16kgf/cm2の罐圧を採用していたこともあり、元からリスクが高かった。本形式だけでボイラ爆発事故を戦中・戦後で合計4件起こしたが、他形式では総数3件である。同時期製造の鮮鉄マテニ形は逆に既存形式より下げており(15kgf/cm2→14kgf/cm2)、「冗長化」の発想のほうが強い。
  2. ^ a b 但し主連棒ビグエンドの丸ブッシュや鋳鋼製台枠、炭水車のベッテンドルフ台車はアメリカ形では通常の仕様であり、この部分は戦時型故の特徴と言い切れない。

出典

  1. ^ 工業技術院標準部 1997、p. 226。
  2. ^ 国立国会図書館 2006
  3. ^ テレビ東京系列 開運!なんでも鑑定団 2017年8月1日放送
  4. ^ 「沼津-浜松 鉄道補強工事」『日本経済新聞』昭和25年7月5日3面


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