戦国自衛隊 (映画) サウンドトラック

戦国自衛隊 (映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/28 15:34 UTC 版)

サウンドトラック

  • 戦国自衛隊 オリジナル・サウンドトラック(2023年7月5日/CINEMA-KAN/規格番号CINK-107)

CD2枚組。挿入歌やイメージソング、これまで失われたとされていた本編の音楽と、未使用音源などを収録している。

登場兵器

本作は上述の通り、撮影にあたり自衛隊の協力を得られなかったため、登場する自衛隊の装備は全て民間の所有品、もしくはレプリカである。千葉真一演じる伊庭三尉他の登場人物が着ている迷彩服陸上自衛隊のものではなく、アメリカ海兵隊の使用していた"リーフパターン"熱帯用戦闘服(ジャングルファティーグ)を用いている。同様に、他の隊員の着用しているOD色作業服アメリカ軍のもので、前合わせが自衛隊のジッパー式に対してボタン式となっている。銃器類も全てプロップガンであり、本作の他にも自衛隊の登場する映画で長らく用いられた。

逸話

出演者

千葉真一は自身の芸能生活60周年記念祝賀会でエンディングテーマ「ララバイ・オブ・ユー」を披露し[25]、晩年においてなおこの映画への思い入れを伺わせた。生涯の親友同士であった千葉と夏八木勲[注釈 7]、晩年の夏八木が闘病しながら役者として活動するさなかに、『戦国自衛隊3』をやろうと2人で怪気炎を上げていた[26]。夏木と死別した後も千葉は『戦国自衛隊』新版の構想を自身の死の直前まで語っていた[27]

速水亮中康次にしきのあきら高橋研清水昭博は、これをきっかけに一緒に食事をしたり、遊びに行く仲の親友となった[28]

兵器

61式戦車のレプリカは、本作の公開が終わると半村良へ進呈しようとしたが、断られた[22]。その後、日本国内で使用できる数少ない自走可能な装甲戦闘車両の劇用車として、その後いくつかの映像作品で用いられた。『ぼくらの七日間戦争』や『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』でも使用され、『さとうきび畑の唄』では米軍戦車として[29]、『99年の愛〜JAPANESE_AMERICANS〜』ではドイツ軍戦車として登場した[30][31][注釈 9]。2020年にはYouTuber水溜りボンドが自らのYouTubeチャンネルで配信した『本物の戦車でドライブスルー行ってみたwww』[32](2020年08月21日配信)という企画において使用しており、砲塔前面の防盾カバー等に経年の劣化が見られるものの、2020年現在でも自走や砲塔の回転が可能な状態を保っている模様である。

三菱シコルスキー S-62は本作の撮影を最後に退役し、岐阜県関市中日本航空専門学校の敷地内に展示され、映画出演の記念として千葉真一・真田広之薬師丸ひろ子の3人のサインが機体のどこかに書かれたという[33]

オマージュ

新田真剣佑は『ブレイブ -群青戦記-」の公開前イベントの挨拶で「『戦国自衛隊』という似ている映画がありますが、僕の世代は見たことがないような作品だと思います」と父・千葉真一が携わった本作を挙げ、タイムトラベルをモチーフとする両作を比較しながら、自身の主演映画をアピールしている[34]

影響

長谷川和彦が監督、三池崇史助監督で続編の企画が1980年代に存在したが、実現しなかった[35]

今井雅之は本作の大ファンで、続編となるシナリオを執筆し、2001年には同作のプロデューサーである角川春樹と映画化の話も進んだが、角川の問題で頓挫していた[36]


注釈

  1. ^ アクション監督を兼務。
  2. ^ 西日本空輸所属のヘリコプターパイロット。10,700時間以上の飛行経験を持ち、当時の日本では加納を含めて5人しかいなかった。その自由自在な操縦技術で城郭や馬にギリギリまで近づくなど、リアルさと迫力を反映させることとなり、千葉真一斎藤光正らスタッフ一同を感嘆させた[1][3]。加納は本作公開から約2年後の1981年8月11日、鹿児島県種子島沖の海上で墜落事故に遭い、搭乗していた同僚と共に亡くなった[4]
  3. ^ 当時のカメラは今と比べると、はるかに大きく重かった。
  4. ^ ロケーション撮影丸岡城で行われた。
  5. ^ サウンドトラックは、主題歌が7曲もある豪華なものとなった[5]
  6. ^ 戦国時代とはいえ、自衛隊員が無許可で離隊すること、民衆を襲う、隊員同士が戦闘する内容に否定的な自衛隊は、前年の角川映画『野性の証明』に防衛庁が協力しなかったのと同様に、本作への支援を一部に止めた。
  7. ^ a b 本作における夏八木勲は、芸名を夏木勲として出演している。
  8. ^ 配給収入は宣伝費を含めた製作費に近い金額となった[22]1980年度邦画配給収入第5位[23]
  9. ^ 作中では複数台が登場するが、これはCGによる合成処理である。

出典

  1. ^ a b c d e f g 「日本映画レトロスペクティブ 第3回 千葉真一」『日本映画専門チャンネル』 2011年11月3日23:00 - 、4日14:00 - 、23日14:00 - 、29日21:00 - 、30日14:00 - 、12月16日18:30 - 、30日14:00 -
  2. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924→2011』キネマ旬報社、2012年、390頁。ISBN 978-4-87376-755-0 
  3. ^ a b c d e f g h プロダクションノート、26 - 27頁。
  4. ^ 魔改造で戦車を自作!真田広之の危険すぎるスタント! 1979年『戦国自衛隊』は製作費11億超のお正月アクション大作!!”. BANGER!!! (2021年1月25日). 2022年11月30日閲覧。
  5. ^ a b c 『最後の角川春樹』、2021年11月発行、伊藤彰彦毎日新聞出版、P147
  6. ^ a b c 角川春樹 「製作意図」
  7. ^ a b c 「あとがき」
  8. ^ 「邦画新作情報」『キネマ旬報』1979年5月下旬号、キネマ旬報社、180頁。 
  9. ^ バラエティ』1979年12月号、角川書店、53頁。 
  10. ^ 高平哲郎JJサニーちば、真面目さと優しさに溢れ…」『ZAKZAK産経デジタル、2011年5月18日。2014年12月10日閲覧。オリジナルの2014年12月10日時点におけるアーカイブ。
  11. ^ a b 脇田巧彦「アクションに賭ける男・千葉真一」、21頁。
  12. ^ a b c 千葉真一『千葉真一 改め 和千永倫道』山と渓谷社、2008年、73 - 74頁。ISBN 4635340228 
  13. ^ 戦国自衛隊大全、110頁
  14. ^ 戦国自衛隊大全、113頁
  15. ^ 「原作『戦国自衛隊』について」戦国自衛隊大全、21頁
  16. ^ 戦国自衛隊大全、37頁
  17. ^ a b c d e f g h i j k 山崎伸子 (2022年11月1日). “43年目の『戦国自衛隊』撮影秘話!江藤潤が明かす、千葉真一や渡瀬恒彦との“合宿生活””. MOVIE WALKER PRESS. 映画ニュース・読みもの. ムビチケ. 2022年11月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月6日閲覧。
  18. ^ 戦国自衛隊大全、88頁、107頁
  19. ^ a b c 俳優・江藤潤が明かす「肉体鍛錬の裏話」”. 現代ビジネス. ほとばしる熱気と殺気…!俳優・夏八木勲の野性は、いかにして生まれたのか. 講談社. p. 4 (2022年11月22日). 2022年12月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月6日閲覧。
  20. ^ 戦国自衛隊 - ぴあ
  21. ^ a b c キネマ旬報』 2000年10月下旬号、角川春樹インタビュー
  22. ^ a b c d 「角川春樹氏特別インタビュー 「戦国」から「大和」へ!!」『ビッグマンスペシャル 戦国自衛隊パーフェクトBOOK』、世界文化社、2005年、12 - 15頁、ISBN 4-418-05120-1 
  23. ^ 1980年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
  24. ^ 戦国自衛隊大全、105頁
  25. ^ 千葉真一60周年祝賀会に俳優家族4人初勢ぞろい!」『iza』、2019年11月8日。2021年9月16日閲覧。
  26. ^ 夏八木勲「親友・千葉真一が明かした骨太“名脇役人生”」”. アサ芸プラス. 徳間書店 (2013年5月29日). 2021年9月16日閲覧。
  27. ^ 千葉真一さん死の直前まで温めていた本格時代劇復活と新「戦国自衛隊」構想」『日刊スポーツ』、2021年8月21日。2021年9月16日閲覧。
  28. ^ 速水亮 (2015年12月24日). “楽しかった想い出が甦る”. 速水亮アクターズ日記. その他舞台、演劇. Yahoo! JAPAN. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月21日閲覧。
  29. ^ 斎藤雅道 (2019年12月13日). “「角川61式戦車」どこへ? 宮沢りえ『ぼくらの七日間戦争』で搭乗 元『戦国自衛隊』2.「角川61式」2019年現在のありかは…?”. 乗りものニュース. https://trafficnews.jp/post/92071/2 
  30. ^ 『99年の愛~JAPANESE AMERICANS』今夜放送!”. ロケ応援団 フィルムコミッション富士blog (2011年12月26日). 2021年9月19日閲覧。
  31. ^ 「真実の〝二十六夜参り〟」”. 別冊戦争映画観戦記 (2011年1月24日). 2021年9月19日閲覧。
  32. ^ 水溜りボンド「本物の戦車でドライブスルー行ってみたwww」 - YouTube ※2021年9月19日閲覧
  33. ^ 佐伯邦昭 (2002年9月23日). “2002年の状況”. ヒコーキ雲. 中日本航空専門学校の展示機その他. インターネット航空雑誌ヒコーキ雲. 2016年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月21日閲覧。
  34. ^ 新田真剣佑、主演作のヒット祈願で大吉引き当てる「最高」”. 映画.com. 映画ニュース. エイガ・ドット・コム (2021年2月11日). 2021年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月21日閲覧。
  35. ^ 轟夕起夫「日本一多作な男が日本一寡作な男の半生に迫る! 長谷川和彦vs三池崇史」『轟夕起夫の映画あばれ火祭り』河出書房新社、2002年、237頁。ISBN 4-309-26533-2 
  36. ^ スクープ! 今井雅之さん、幻の「戦国自衛隊」遺していた 20年前に続編の脚本執筆 (1/2ページ)」『ZAKZAK』産経デジタル、2015年7月16日、1面。2015年7月18日閲覧。オリジナルの2015年7月18日時点におけるアーカイブ。





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「戦国自衛隊 (映画)」の関連用語

戦国自衛隊 (映画)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



戦国自衛隊 (映画)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの戦国自衛隊 (映画) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS