メタン メタンの概要

メタン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/04 00:20 UTC 版)

メタン
識別情報
CAS登録番号 74-82-8
PubChem 297
ChemSpider 291
J-GLOBAL ID 200907011491248663
特性
分子式 CH4
モル質量 16.042 g/mol
外観 常温で無色透明の気体
密度 0.717 kg/m3 気体
415 kg/m3 液体
融点

-182.5 °C, 91 K, -297 °F

沸点

-161.6 °C, 112 K, -259 °F

への溶解度 2.27mg/100 mL
log POW 1.09
構造
分子の形 正四面体
双極子モーメント 0 D
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −74.81 kJ mol−1[1]
標準燃焼熱 ΔcHo −890.36 kJ mol−1
標準モルエントロピー So 186.264 J mol−1K−1
標準定圧モル比熱, Cpo 35.309 J mol−1K−1
危険性
EU分類 F+
NFPA 704
4
1
0
Rフレーズ R12
Sフレーズ S(2) S9 S16 S33
引火点 −188 °C
発火点 537 °C
関連する物質
関連物質 メタノールクロロメタン蟻酸ホルムアルデヒドシラン
出典
国際化学物質安全性カード
NIST webbook
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

構造

メタンの分子は炭素が中心に位置する正四面体構造をしている。炭素‐水素間の全てがσ結合で結合しており、π結合が存在しないため、sp3混成軌道を取り、結合角は109゚である。

物性

メタンの常圧での融点は −183 ℃、沸点は −162 ℃であり、常温常圧では無色、無臭の気体として存在する。メタンは常圧での沸点が比較的低いうえに臨界温度も-82.4 ℃と低いため、20世紀中頃の技術ではメタンを液化したまま安定的に貯蔵・運搬することが難しかった。そのため、当時は産地から気体のままパイプラインで輸送できる場所で利用されることがせいぜいであった[2]。なお、常温常圧では空気に対するメタンの比重は0.555であり、アルカンの中で唯一、空気の平均密度よりも小さい。

メタンそのものにはヒトに対する毒性が無いものの、高純度のメタンを吸入すれば酸素欠乏症になり得るため注意が必要である[3]

製法

メタンは天然ガスから得られるほか、一酸化炭素と水素を反応させることで工業的に大量に生産されている(「C1化学」参照)。そのため、実験室においてもガスボンベで供給されることが普通であるが、実験室的な生成法もいくつか知られている。

  • 炭化アルミニウムに室温でを反応させて加水分解する。
なお、この反応は不純物のため強烈な臭いを伴う。

注釈

出典

  1. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
  2. ^ 中井 多喜雄 『知っているようで知らない燃料雑学ノート』(燃焼社 2018年5月25日発行 ISBN 978-4-88978-127-4)pp.67 - 70
  3. ^ 中井 多喜雄 『知っているようで知らない燃料雑学ノート』(燃焼社 2018年5月25日発行 ISBN 978-4-88978-127-4)p.67
  4. ^ 宇宙輸送はメタンエンジンにおまかせ! (PDF) IHI(2018年3月22日閲覧)
  5. ^ a b 早稲田周、岩野裕継「ガス炭素同位体組成による貯留層評価」『石油技術協会誌』Vol.72 (2007) No.6 P.585-593, doi:10.3720/japt.72.585
  6. ^ 亀井玄人「茂原ガス田の地下水に含まれるヨウ素の起源と挙動」『資源地質』Vol.51 (2001) No.2 P.145-151, doi:10.11456/shigenchishitsu1992.51.145
  7. ^ 北逸郎, 長谷川英尚, 神谷千紗子 ほか「CH4の炭素同位体比とN2/Ar比の分布に基づく天然ガスの生成プロセス」『石油技術協会誌』Vol.66(2001年)No.3 pp.292-302, doi:10.3720/japt.66.292
  8. ^ 新潟県上越市沖の海底にメタンハイドレートの気泡を発見 東京大学、海洋研究開発機構東京家政学院大学独立総合研究所産業技術総合研究所
  9. ^ 兼松株式会社 (2007年10月12日). “バイオガス供給事業の開始について”. 2009年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年11月23日閲覧。
  10. ^ 腸内微生物との共生関係の不思議
  11. ^ 柴田善朗; 木村謙仁「カーボンニュートラルメタンの将来ポテンシャル-PtG とCCU の活用:都市ガスの低炭素化に向けて-」『IEEJ』、日本エネルギー経済研究所、1-40頁、2018年https://eneken.ieej.or.jp/data/7769.pdf 
  12. ^ ガスのカーボンニュートラル化を実現する「メタネーション」技術”. 経済産業省資源エネルギー庁 (2021年11月26日). 2022年4月9日閲覧。
  13. ^ 新エネルギー・産業技術総合開発機構平成26年度~平成29年度成果報告書 水素利用等先導研究開発事業 エネルギーキャリアシステム調査・研究 高効率メタン化触媒を用いた水素・メタン変換』(レポート)2018年10月20日https://www.nedo.go.jp/library/seika/shosai_201810/20180000000754.html 
  14. ^ 温室効果ガスの種類 気象庁
  15. ^ 温室効果ガス排出量の算定方法について[リンク切れ]横浜市 メダンの地球温暖化係数は21
  16. ^ a b c d 「メタン削減 高い壁」毎日新聞』朝刊2021年12月29日くらしナビ面(同日閲覧)
  17. ^ COP27、米欧主導のメタン削減協定に150カ国超が調印」『Reuters』、2022年11月18日。2022年12月31日閲覧。
  18. ^ メタン削減 宇宙の「目」がサポート/人工衛星の監視技術 COP26でも紹介/排出源くっきり 国・企業に圧力朝日新聞』朝刊2021年11月16日(科学面)2022年1月5日閲覧
  19. ^ ロシアでメタン大量漏出 地下ガス管、米紙報道”. 産経新聞 (2021年10月20日). 2021年10月20日閲覧。
  20. ^ 弘前大学農学生命科学部畜産学研究室 (2003年9月2日). “羊などの家畜に「げっぷ税」NZ、温暖化対策研究費に”. 2009年11月23日閲覧。 asahi.com2003年9月2日より引用。
  21. ^ “地球温暖化:メタンガスと畜産”. 畜産動物のためのサイト:動物はあなたのごはんじゃない. (2005年11月13日). http://www.hopeforanimals.org/environment/213/ 2018年8月11日閲覧。 
  22. ^ 「農研機構 乳牛の第1胃から細菌発見 げっぷ由来のメタン削減へ 温暖化抑制、栄養浪費防ぐ/餌・サプリ開発に期待」『日本農業新聞』2021年12月8日9面
  23. ^ 農林水産省生産局畜産振興課畜産環境をめぐる情勢』(レポート)2021年3月https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kankyo/taisaku/pdf/210325kmegji.pdf 
  24. ^ 浅井真康『家畜排せつ物のメタン発酵によるバイオガスエネルギー利用』(レポート)農林水産省、2020年9月https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kankyo/taisaku/pdf/2020_sympo_asai.pdf 
  25. ^ 農林水産省バイオマスの利活用の推進』(レポート)2004年11月https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/bukai/24/pdf/h161117_24_01_siryo.pdf 
  26. ^ 農業技術事典 収量構成要素”. 農研機構. 2022年4月10日閲覧。
  27. ^ 農業環境技術研究所【地球温暖化対策】水田メタン発生抑制のための新たな水管理技術マニュアル』(レポート)2012年8月https://www.mlit.go.jp/.... 
  28. ^ 温暖化の科学 Q10 二酸化炭素以外の温室効果ガス削減の効果 - ココが知りたい地球温暖化”. 地球環境研究センター. 2018年8月11日閲覧。


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