フランス語 音声

フランス語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/12 02:16 UTC 版)

音声

子音

両唇 唇歯 歯音 歯茎 後部歯茎 硬口蓋 両唇硬口蓋 軟口蓋 両唇軟口蓋 口蓋垂
閉鎖音 p b t d k g
鼻音 m n ɲ
摩擦音 f v s z ʃ ʒ ʁ
接近音 j ɥ w
側面接近音 l

記号が二つ並んでいるものは、右が有声音、左が無声音

母音

前舌 中舌 後舌
i y u
半狭 e ø o
中央 ə
半広 ɛ œ ɔ
a ɑ

記号が二つ並んでいるものは、右が円唇、左が非円唇

鼻母音

  • /ɛ̃/: in, im, ain, aim, ein, eim - 「エ」の鼻母音だが、実際は「アン」に近い。
  • /œ̃/(パリなどでは /ɛ̃/ に合流): un, um
  • /ɑ̃/(やや円唇): an, am, en, em - 暗い「ア」の鼻母音で、「オン」に近い。
  • /ɔ̃/ または /õ/: on, om

鼻母音四つを含んだ句の例として « un bon vin blanc » /œ̃ bɔ̃ vɛ̃ blɑ̃/(おいしい白ワイン)が有名である。

半母音

綴りと発音

フランス語において基本的にc, r, f, lを除く語尾の子音(一部例外あり)と母音のeは発音されない。フランス語の表記は初学者には複雑に感じられるが、規則性は比較的高い。英語や日本語のローマ字表記とはかなり異なるため、フランス語を知らなければ正しく読むことはできないが、規則を覚えれば容易に発音できる。たとえば eau は常に /o/ と発音する。しかし monsieurムッシュ)は /mɔ̃.sjœʁ/ ではなく /mə.sjø/ であり、femme女性)は /fem/ ではなく /fam/ であるなど、イタリア語スペイン語などほかのロマンス諸語に比べると例外が多い。faitplusなど文脈によって発音が変わる単語もある。 また、in, im, yn, ym, ain, aim, ein, eim がすべて /ɛ̃/ になるなど、しばしば異なる綴りが同じ発音を示すため、同音異字語が多い。たとえば vinワイン)と vingt20)はともに /vɛ̃/ であり、また形容詞 bleu、男性形単数) とその変化形の bleus(男性形複数)、bleue(女性形単数)、bleues(女性形複数)はすべて /blø/ である。このため、発音を聞いて書き分けるのは比較的難しい[7]。ネイティブでさえも正しく書けない人がいるほどで、フランスでは問題視されている。そういった難しさもあり、日本で行われている実用フランス語技能検定試験(DAPF)の準2級以降の級では書き取り試験が行われ、CDで流れる文章を、文脈をしっかりと把握した上で、動詞の活用はもとより性と数の一致に気をつけながら、正しく書く能力が試される。書き取り試験ではあるが文法知識も試され、実際のところこの書き取り問題で点を落とす受験者が非常に多いことから、いかにフランス語を正しく書くのが難しいかがうかがえる。

アルファベ

アルファベットのことを、フランス語ではアルファベ(alphabet)と言う。

各字母の名称

A, a a /a/ B, b/be/
C, c/se/ D, d/de/
E, e e /ə/ F, f effe /ɛf/エフ
G, g/ʒe/ジェ H, h ache /aʃ/アシュ
I, i i /i/ J, j ji /ʒi/
K, k ka /ka/ L, l elle /ɛl/エル
M, m emme /ɛm/エム N, n enne /ɛn/エヌ
O, o o /o/ P, p/pe/
Q, q cu /ky/キュ R, r erre /ɛʁ/エール
S, s esse /ɛs/エス T, t/te/
U, u u /y/ V, v/ve/ヴェ
W, w double vé /dublə ve/¹(ドゥブルヴェ X, x ikse /iks/イクス
Y, y i grec /i ɡʁɛk/²(イグレク Z, z zède /zɛd/ゼッド
  1. 二つのVの意。
  2. ギリシャのIの意。ウプシロンを参照。

綴り字記号

セディーユ、トレマ、アクサンテギュ、および e につくアクサングラーヴとアクサンシルコンフレクスは発音を変える記号である。一方、e 以外の母音につくアクサングラーヴとアクサンシルコンフレクスは発音を変化させない。

※アクサンのつくところを強く読むわけではない。

合字

Œ, œ は o と e の合字である。この組み合わせが単母音で発音される語では、o と e は必ずこのようにつなげて書く。通常は œu で /œ/ を表す。

  • sœur /sœʁ/
  • œnologie /enɔlɔʒi/ - ギリシア語起源の語では、οι から転写された œ が /e/ と発音される。

Æ, æ は a と e の合字であり、少数のラテン語からの借用語で使う。

  • cæcum /sekɔm/

句読点

フランス語では引用符英語では「" "」)として「« »」(ギユメ guillemets)を用いる。フランス語の句読点の内、コンマ(, )、ピリオド(.)、括弧 ([])以外の疑問符(?)、感嘆符(!)、コロン(: )、セミコロン(; )の前にはスペースを入れ、引用符の後と前にもやはりスペースを入れる。

数体系

20進法と10進法の組み合わせである[8]。かなり複雑だが、これはフランスでの例であり、ベルギーやスイスでは70をseptante、90をnonante、さらにスイスでは80をhuitanteで表し、比較的10進法に近い。

  • 1: un (une)
  • 2: deux
  • 3: trois
  • 4: quatre
  • 5: cinq
  • 6: six
  • 7: sept
  • 8: huit
  • 9: neuf
  • 10: dix
  • 20: vingt
  • 30: trente
  • 40: quarante
  • 50: cinquante
  • 60: soixante
  • 70 (60+10): soixante-dix
  • 80 (4*20): quatre-vingts
  • 90 (4*20+10): quatre-vingt-dix
  • 100: cent
  • 200: deux cents
  • 1000: mille

注釈

  1. ^ フランスの地理学者オネジム・ルクリュ英語版が、著書 France, Algérie et colonies (1880) において使用したことに始まる。[6]
  2. ^ なお、似て異なる概念として「フランコフィル(francophile」が存在する。

出典

  1. ^ フランス語使用者減少で最大50万人の雇用にリスク、リポート分析で
  2. ^ a b 文部科学省 基礎データ
  3. ^ Académie française” (フランス語). 2007年9月28日閲覧。
  4. ^ 「改訂版 世界の民族地図」P387 高崎通浩著 1997年12月20日初版第1刷発行
  5. ^ 筑波大学外国語センター
  6. ^ 西山教行フランコフォニーの成立と展望」『フランス語教育』特別号、2003年、22ページ。
  7. ^ Ziegler, Johannes C.; Jacobs, Arthur M.; Stone, Gregory O. (1996), “Statistical analysis of the bidirectional inconsistency of spelling and sound in French”, Behavior Research Methods, Instruments, & Computers 28: 504-515, http://www.up.univ-mrs.fr/Local/lpc/dir/ziegler/article/1996.BRMIC.ziegler.pdf 
  8. ^ フランス語の数体系
  9. ^ 「フランス語学概論」p44 髭郁彦・川島浩一郎・渡邊淳也著 駿河台出版社 2010年4月1日初版発行
  10. ^ 「フランス語学概論」p45 髭郁彦・川島浩一郎・渡邊淳也著 駿河台出版社 2010年4月1日初版発行
  11. ^ 「フランス語学概論」p53 髭郁彦・川島浩一郎・渡邊淳也著 駿河台出版社 2010年4月1日初版発行
  12. ^ 「フランス語学概論」p33 髭郁彦・川島浩一郎・渡邊淳也著 駿河台出版社 2010年4月1日初版発行
  13. ^ 「図説スイスの歴史」p86 踊共二 河出書房新社 2011年8月30日初版発行
  14. ^ a b 森田安一『物語 スイスの歴史』中公新書 p198 2000年7月25日発行
  15. ^ 「図説スイスの歴史」p111 踊共二 河出書房新社 2011年8月30日初版発行
  16. ^ ルワンダ基礎データ”. 外務省 (令和元年5月31日). 2019年8月4日閲覧。
  17. ^ 『アフリカを知る事典』、平凡社、ISBN 4-582-12623-5 1989年2月6日 初版第1刷 p.411
  18. ^ 「フランス語学概論」p41 髭郁彦・川島浩一郎・渡邊淳也著 駿河台出版社 2010年4月1日初版発行
  19. ^ 「フランス語学概論」p38 髭郁彦・川島浩一郎・渡邊淳也著 駿河台出版社 2010年4月1日初版発行
  20. ^ 「フランス語学概論」p37 髭郁彦・川島浩一郎・渡邊淳也著 駿河台出版社 2010年4月1日初版発行






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