ハチ 特徴

ハチ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/28 13:44 UTC 版)

特徴

共通

  • これらの蜂はが2対4枚あり、どれも膜質である。後ろの翅は前の翅より小さい。
  • 大あごが発達している。ただしミツバチなどのハナバチ類は大あごが小さく、花のを吸うための器官が発達する。
  • 成長段階は幼虫成虫という完全変態を行う。
  • メスの成虫には産卵管が発達するが、産卵管を毒針に変化させた種類がよく知られている。

社会性を持つ蜂の特徴

ハチの一部と、アリは親が子の面倒を見るだけでなく、その子が大きくなっても共に生活し、大きな集団を形成するに至る。このような昆虫が社会性昆虫である。 女王蜂働き蜂など、それぞれの役割が決まっており、それにより一生の過ごし方が違う。

  • 蜂の社会はメスが中心で、働き蜂も全てメスである。オスは特定の時期に女王蜂と交尾する為にのみ生まれる。そのため、女王蜂は最初はメスを絶えず産み続け、一定数を過ぎるとオスを産み出す。
  • 基本、オスは働かないが、アシナガバチにおいて、オスが働く所を観察した記録がある。
  • 女王蜂の腹の中には精子を貯えておける特殊な袋があり、一度交尾すると長期間にわたり産卵し続けることが可能である。
  • ミツバチの場合、老化怪我などにより繁殖能力を失った女王蜂は、働き蜂によっての外に捨てられる。幼虫の時からを自ら獲得してきた女王蜂は外で生きていき、新しい集団を作る。女王蜂を失った巣では、すぐに新しい女王蜂がたてられる。

分類

ハチといえばスズメバチアシナガバチミツバチなどが有名で、「大きな巣を作って家族でくらす」「花にやってくる」「毒針で刺されるから危ない」などのイメージが定着している。しかしこれはハチ全体で見ると一部の種類に過ぎず、その生態や体つきは多様性に富んでいる。

世界最大のハチはウォレスズ・ジャイアント・ビーで翅を広げた幅は6センチメートルにもなる[1]

キバチ科
幼虫が木材を食べて育つ。メスの成虫は木材を開けて産卵するため、非常に硬い産卵管を発達させている。
ハバチ科、ヒラタハバチ科、コンボウハバチ科、ミツフシハバチ科
幼虫は植物のを食べて育つ。幼虫は小型のイモムシとよく似ているが、からだをS字型にくねらせるのが特徴。
花の上に乗るオオセイボウ
ヤドリキバチ科、ヤセバチ上科、ヒメバチ上科、コバチ上科、クロバチ上科、ツチバチ科、アリガタバチ科、セイボウ科
他の昆虫に卵を産みつけ、幼虫はその昆虫の組織を食べながら成長し、最後には殺してしまう捕食寄生蜂モンシロチョウの幼虫に寄生するアオムシサムライコマユバチや、長い産卵管を持つウマノオバチなど多くの種類がいて、寄生する宿主も多様。なかには他のハチの巣に寄生する種類もいる。
タマバチ科
植物の組織内に卵を産みつける。植物に見られる「虫こぶ」にはこのハチの仲間の幼虫によるものが多々ある。
ベッコウバチ科
翅が鼈甲色に透き通った種類が多い。クモを襲って毒針で麻酔し、地面に掘った巣穴に運び込んで産卵する狩りバチ狩人蜂とも言う。幼虫は麻酔で動けないクモを食べて成長する。タランチュラを狩る「タランチュラホーク」(オオベッコウバチ)という種類もいる。
肉団子を作るセグロアシナガバチ
スズメバチ科
単独生活の狩りバチであるドロバチ類と、女王蜂を中心とした家族生活をするスズメバチ類とアシナガバチ類が分類されている。他の昆虫を狩って幼虫の餌とする。スズメバチ類とアシナガバチ類は巣や自分の防衛のためには敵に容赦ない攻撃を加える性質や毒針を持つことなどが知られている。人間への被害(ハチ刺症)も頻繁である。
獲物を抱えたジガバチアナバチの一種)
アナバチ科
クモやシャクトリムシコオロギ類などを襲って毒針で麻酔し、巣に運び込んで産卵する狩りバチ。巣は地中に穴を掘る種類と泥などで作る種類とがいて、狩る昆虫も多様。セナガアナバチ科サトセナガアナバチエメラルドゴキブリバチなど)は完璧な巣を作らず、ゴキブリを狩って既存の物の隙間に運び込んで産卵する。
単独生活性のハナバチ(トモンハナバチの一種)
コハナバチ科、ハキリバチ科、ミツバチ科
いわゆるハナバチ類。花によくやってくるハチで、花粉や蜜を集めて巣に運び込み産卵するが、ミツバチ科は女王蜂を中心とした家族生活を行う。体にたくさんのが生えていて、顕花植物受粉に一役買っている。
ギングチバチ科
狩りバチの一群で、ハエ目やハナバチなどの昆虫を狩りの対象とする。2011年にインドネシアで発見されたメガララ・ガルーダなど。

アリとハチ

アリは、一般にはハチとは全く違うかのように扱われるが、分類学上は、アリはハチの中の1分類群である。アリは一般に翅がなく、多くのハチは翅を持つが、ハチの中でもアリガタバチアリバチなど成虫(特に雌)が翅を持たない種もあり、それらは外見上アリに類似する。また、アリの女王と雄アリは翅を持ち、結婚飛行を行う。このときの姿はまさにハチで、特に雄アリはハチに似ている。また、一般にはアリは針を持たないが、一部にはヒアリやハリアリ等、針を持ち、刺されると痛むものもある。アリは基本的には肉食で、狩りバチの系統から、地上生活へ進んだと考えられてきたが、最近の研究で、ミツバチと共通の祖先をもつ事が分かった。


  1. ^ ハチやゾウガメ、絶滅してなかった 100年ぶり発見も朝日新聞デジタル(2019年2月27日)2019年4月20日閲覧。
  2. ^ ハチ類の毒液中に含まれる主な成分国立感染症研究所 感染症情報センター


「ハチ」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ハチ」の関連用語

1
100% |||||

2
100% |||||

3
96% |||||

4
96% |||||

5
96% |||||


7
90% |||||

8
90% |||||

9
90% |||||

10
90% |||||

ハチのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ハチのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのハチ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS