ディラック方程式とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 人文 > 関数 > 方程式 > ディラック方程式の意味・解説 

ディラック方程式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/28 23:31 UTC 版)

場の量子論
(ファインマン・ダイアグラム)
歴史

ディラック方程式(ディラックほうていしき、: Dirac equation)は、フェルミ粒子を記述するディラック場が従う基礎方程式である。ポール・ディラックにより相対論的量子力学として導入され、場の量子論に受け継がれている。

歴史

非相対論的なシュレーディンガー方程式を、相対論へ対応するための拡張として、最初クライン-ゴルドン方程式が考案された。これは負のエネルギー解と負の確率密度の問題が生じた(この問題は、その後の場の量子論においては回避される)。また、クライン-ゴルドン方程式にはスピンが出てこない問題もあった(これはクライン-ゴルドン方程式に従うスカラー場がスピンを持たない粒子を記述する為である)。

ポール・ディラック1928年ディラック方程式を基礎方程式とする(特殊)相対論的量子力学を見出した。ディラック方程式からは負の確率密度は生じず、スピンの概念が自然に現れる。

しかしディラック方程式からは、自然界には存在しないような負のエネルギーの状態が現れるという問題があった。オスカル・クラインは、ある種の強いポテンシャルのもとで正エネルギーの電子が負エネルギー状態へ遷移しうることを示して、理論から負エネルギー状態を完全に排除することが困難であることを指摘した。

1930年にディラックは「真空とは、負エネルギーの電子が完全に満たされた状態である」とするディラックの海の概念(空孔理論hole theory)を考案した。ディラックの海では負エネルギーの電子が取り除かれた「空孔」が生じることがあるが、ディラックは当初この空孔による粒子を陽子であると考えた。後に空孔は陽電子であることが指摘された(ヘルマン・ワイルロバート・オッペンハイマーによる)。ディラックの海の空孔は正のエネルギーを持ち、反粒子に対応する。光による電子と陽電子の生成は、真空中の負エネルギー電子が光を吸収して正エネルギー状態へ遷移し、あとに空孔を残す現象として説明される。1932年デヴィッド・アンダーソンによる陽電子の発見により、ディラックの海は現実の現象を説明する優れた理論とされた。

その後、リチャード・P・ファインマン等により拡張、解釈の見直しが図られた(相対論的な場の量子論)。その結果、ディラックの海を考えなくとも、電子と陽電子を対称に扱うことができるようになった。

ディラック方程式

ディラック方程式は カテゴリ


ディラック方程式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 02:17 UTC 版)

ウントリセプチウム」の記事における「ディラック方程式」の解説

相対性理論のディラック方程式では、原子基底状態にあるときのエネルギー E は m:電子の静止質量、c:光速、Z:陽子数、α:微細構造定数 のとき、次式で表されるE = m c 2 1 − Z 2 α 2 ≈ m c 2 1 − ( Z 137.036 ) 2 {\displaystyle E=mc^{2}{\sqrt {1-Z^{2}\alpha ^{2}}}\approx mc^{2}{\sqrt {1-\left({Z \over 137.036}\right)^{2}}}} 陽子138上で平方根の中がマイナスとなり、エネルギー虚数になってしまう(負のエネルギー存在しうる波動関数パラドックス)。

※この「ディラック方程式」の解説は、「ウントリセプチウム」の解説の一部です。
「ディラック方程式」を含む「ウントリセプチウム」の記事については、「ウントリセプチウム」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ディラック方程式」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



ディラック方程式と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ディラック方程式」の関連用語

ディラック方程式のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ディラック方程式のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのディラック方程式 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのウントリセプチウム (改訂履歴)、相対論的量子力学 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS