タカネスミレ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 16:39 UTC 版)
名前の由来
和名のタカネスミレは「高嶺菫」の意[3][4]で、高山に生えるスミレの意味[6]。
種小名(種形容語)crassa は、「厚い」「多肉質の」の意味[8]。
種の保全状況評価
準絶滅危惧(NT)(環境省レッドリスト)
Viola crassa(広義)(2020年、環境省)
ギャラリー
下位分類
基本亜種の subsp. crassa のほか、次の3亜種が認められる[3][4][5]。
エゾタカネスミレ
エゾタカネスミレ(蝦夷高嶺菫)Viola crassa Makino subsp. borealis Hid.Takah. (1974)[9] - 葉は濃緑色で光沢がなく、無毛。花期は6月下旬-7月。基本亜種にある花柱の毛がない。染色体数は2n=48。北海道の大雪山、夕張山地、日高山脈、羊蹄山に分布し、高山の礫地に生育する。タイプ標本の採集地は大雪山。夕張山地の蛇紋岩地には全体が小型で、葉の裏面や茎が紫色をおびるものがある[3][4][5]。亜種名 borealis は「北方の」「北方系の」の意味[10]。
クモマスミレ
クモマスミレ(雲間菫)Viola crassa Makino subsp. alpicola Hid.Takah. (1974)[11] - 葉は暗緑色でわずかに褐色をおび、光沢があり、無毛。花期は6月中旬-7月。花柱の上部はT字形になり、花柱の毛がない。花弁の裏面は紅紫色で、唇弁は他の花弁に比べて極端に長い。染色体数は2n=48。本州の中部地方の北アルプスおよび中央アルプスに分布し、高山の礫地に生育する。タイプ標本の採集地は立山[3][4][5]。亜種名 alpicola は「高山に住む」「草本帯の」の意味[8]。
クモマスミレ
燕岳 2015年6月下旬
ヤツガタケキスミレ
ヤツガタケキスミレ(八ヶ岳黄菫)Viola crassa Makino subsp. yatsugatakeana Hid.Takah. (1974)[12] - 葉に光沢がなく、葉の両面の葉脈上に微毛が生える。花期は6月下旬-7月中旬。花柱に毛がない。基本亜種と異なり、地下匐枝を出さない。本州中部地方の八ヶ岳の特産で、高山の礫地に生育する。類似種のキバナノコマノツメ Viola biflora に似るが、同種は葉が鮮緑色で湿った草地に生えるが、ヤツガタケキスミレは葉が鈍い緑色であることと草地ではなく礫地に生えることで異なる。タイプ標本の採集地は八ヶ岳[3][4][5]。
ヤツガタケキスミレ
八ヶ岳 2022年7月上旬
- ^ a b c タカネスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ T.Makino, Observations on the Flora of Japan., Viola biflora var. crassifolia, Botanical Magazine, Tokyo,『植物学雑誌』, Vol.16, No.184, pp.en139-140, (1902).
- ^ a b c d e f g h i j k l 『山溪ハンディ図鑑3 高山に咲く花(増補改訂新版)』pp.180-181
- ^ a b c d e f g h i j k 『スミレハンドブック』pp.23-25
- ^ a b c d e f g h i j 門田裕一 (2016)「スミレ科」『改訂新版 日本の野生植物 3』p.212
- ^ a b c d e 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.712
- ^ タカネスミレ(広義)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1489
- ^ エゾタカネスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』pp.1483,1485
- ^ クモマスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ ヤツガタケキスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
固有名詞の分類
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