エス‐アイ‐アールエヌエー【siRNA】
読み方:えすあいあーるえぬえー
干渉RNA (siRNA)
短い二重鎖RNAであるsiRNAが細胞に導入されると、狙った遺伝子のmRNAを効果的に壊すことができる。これは、特定の遺伝子の機能を調べるときに非常に役に立つだけでなく、この機能を病気の治療に利用できる可能性がある。
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siRNA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/18 08:00 UTC 版)
siRNA(small interfering RNA、低分子干渉RNA[1])とは21-23塩基対から成る低分子二本鎖RNAである。siRNAはRNA干渉(RNAi)と呼ばれる現象に関与しており、伝令RNA(mRNA)の破壊によって配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。この現象はウイルス感染などに対する生体防御機構の一環として進化してきたと考えられている。siRNAは線虫や植物における転写後の遺伝子サイレンシング機構(PTGS)として存在することが報告されていたが[2][3]、その後合成のsiRNAがヒトの細胞においてRNA干渉を引き起こすことが分かり[4]、siRNAを用いたRNA干渉は遺伝子をノックダウンする方法として生物学および医薬分野の基礎研究に応用されていると共に、臨床への応用も期待されている。
構造
siRNAは通常21塩基対の二本鎖RNAであるが、各RNA鎖の3'部分は2塩基分突出した構造をとる。siRNAはヘアピン状のRNAあるいは長鎖の二本鎖RNAからダイサーと呼ばれる酵素によって切り出されて産生されることが知られており、その結果としてそれぞれの鎖は5'末端にリン酸基と3'末端にヒドロキシル基を有した構造となっている。
siRNAによるRNA干渉
siRNAの細胞内移入による遺伝子発現抑制は非常に画期的な手法であるが、その効果は一過性に過ぎないという欠点があり、siRNA発現ベクター(例:プラスミド)の導入による安定発現細胞株を確立することによりこの効果を持続化させることができる。細胞内に存在する長鎖の二本鎖RNAまたは細胞外から導入されたものはダイサーによって切り出されて低分子(21-23塩基対)のsiRNAへと変換される。二本鎖だったsiRNAはヘリカーゼと呼ばれる酵素の働きを受けて1本鎖に解離し、標的mRNAに対するエンドヌクレアーゼ活性(スライサー活性)を示すアルゴノート(Argonaute)タンパク質等と複合体(RISC)を形成する。この複合体の中で、siRNAは標的mRNAへと導くガイド役として機能している。
出典
- ^ 『大辞泉』 小学館 2012年
- ^ Fire A, Xu S, Montgomery MK, Kostas SA, Driver SE and Mello CC.(1998)"Potent and specific genetic interference by double-stranded RNA in Caenorhabditis elegans."Nature. 391,806-11. PMID 9486653
- ^ Hamilton AJ and Baulcombe DC.(1999)"A species of small antisense RNA in posttranscriptional gene silencing in plants."Science. 286,950-2. PMID 10542148
- ^ Elbashir SM, Harborth J, Lendeckel W, Yalcin A, Weber K and Tuschl T.(2001)"Duplexes of 21-nucleotide RNAs mediate RNA interference in cultured mammalian cells."Nature. 411,494-8. PMID 11373684
参考文献
出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。 |
- 今堀和友、山川民夫 編集 『生化学辞典 第4版』東京化学同人 2007年 ISBN 978-4-8079-0670-3
- 野島博 著 『医薬 分子生物学』南江堂 2004年 ISBN 4-524-40204-7
関連項目
外部リンク
siRNA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 07:39 UTC 版)
siRNAはmiRNAと同じような方法で、dsRNAがDicerによって長さ21–23ヌクレオチドの小さな断片へと切断されることで形成され、機能する。siRNAはRISCを活性化し、RISCは相補的な標的mRNAを探してRNAを切断する。その結果、RNAiの過程によって特定の遺伝子がサイレンシングされる。siRNAは一般的にmRNA配列特異的であるのに対し、miRNAはmRNAの配列に対して完全に相補的ではないという点で、両者は異なる。miRNAは類似した配列を持つ複数の標的と相互作用し、翻訳を阻害することができる。一般的にRNAiはヒトなどの生体内の正常な過程に必要不可欠なものであり、がんを標的とした診断・治療ツールとしての研究が行われている。
※この「siRNA」の解説は、「Dicer」の解説の一部です。
「siRNA」を含む「Dicer」の記事については、「Dicer」の概要を参照ください。
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