Z's STAFF
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Z's STAFFは、1985年より発売されていたグラフィックソフト。1980年代後半から1990年代前半にかけての日本における標準的なグラフィックソフトの一つであり、JGと並ぶツァイトの主力商品であった。PC-98シリーズ向けの「KiD」シリーズの名称でよく知られる。 当初は、高機能なホビーパソコン向けの「Pro」版と、NEC PC-98シリーズ向けの「KiD」版が存在した。すなわち、富士通FM TOWNS向けの「Z's STAFF Pro TOWNS」、シャープX68000向けの「Z's STAFF Pro-68K」、NEC PC-8801VAシリーズ専用の「Z's STAFF Kid VA」、NEC PC-98向けの16色専用グラフィックソフト「Z'sSTAFF KiD98」が存在した。また、Sharp X1 turbo向けの「turbo Z's STAFF」と、Sharp X1 turboZ専用の「Z's STAFF-Z」も存在(数少ないX1 turboZ専用ソフトの一つ)。 X1版はシャープの名義で販売されたが、X68000版の「Z's STAFF Pro-68K」はツァイトの名義で販売された。「Pro」の名称は、当時シャープ純正のX68000用ソフトの名前の後ろに「PRO-68K」と付けていたことに倣ったものだが、当時はPhotoshopやPainterと言った有力な海外製グラフィックソフトもまだ存在しない時代と言うこともあって、「Z's STAFF Pro」は実際にゲーム業界やCGイラストなどのプロユースで標準的に使われており、例えばイラストレーターの中井覚は『メガドライブFAN』の表紙を「Z's STAFF Pro68K」で描いていた。 一方、PC-98版の「Z'sSTAFF KiD98」は、一般におけるPC-98のシェアなどからホビーユースでよく使われ、「KiD」シリーズとして独立。「KiD」シリーズは、「まるぱ」(1993年発売。Windows版は1994年より「デイジーアート」の名称で販売)や「エスキース」などとともに日本の1990年代前半のPC-98とMS-DOS(16色対応)における標準的なグラフィックソフトの一つとなった。1992年には競合ソフトとして「マルチペイント」(14,800円)が発売され、その安さと使いやすさからマルチペイント(およびそのフリー版の鮪ペイント)が1995年にWindows95が発売されるまでのPC-98とMS-DOS環境におけるデファクトスタンダードになるが、KiDシリーズはマルチペイントと相性が良く、Kidとマルチペイントを併用して絵を描くために、KiDシリーズのzim形式とマルチペイントのmag形式を相互に変換するソフトが有志によって製作されてNIFTY-Serveなどのパソコン通信上で配布された。後に発売されたWindows95版の「SUPER KiD95」ではmag形式に正式に対応した。 1994年には「KiD」シリーズの後継製品としてWindows3.1対応(256色対応)のグラフィックソフト「SuperKid」(定価34,000円、ただしWindows版発売記念としてキャンペーン価格15,000円)が発売された。しかしWindows95の発売後、同時に日本に入って来た外国製の競合グラフィックソフトがすぐにWindows95対応(フルカラー対応)版を発売する中、KiDシリーズは対応が遅れ、Windows95対応の「SUPER KiD 95」にデジカメ画像の読み込みソフトやイメージファイルコンバータなどを同梱した「SUPER KiDインターネットパック」(12,800円)が発売されたのは1996年11月となった。その間に資金繰りが悪化し、1997年7月には「SUPER KiD 95」とほとんど機能が変わらない「SUPER KiD FE」がフリーソフトとして公開されたが、同月にツァイトは倒産した。 倒産後、KiDシリーズの版権はアスキーサムシンググッドに引き継がれ、ファンファーレ社を開発元とするWindows95対応の後継製品「ウルトラキッド」がアスキーサムシンググッドから発売されたが、名前を引き継いだだけの別のソフトであり、「KiD」シリーズの形式の画像(zim形式)は読み込むことができなかった。この系統のソフトは「ウルトラキッド」から「ハイパーキッド」(2000年発売)と続くロングセラーとなり、その後、アスキーからソースネクストに版権が引き継がれ、2017年現在は「Paintgraphic」の名称で販売されている。
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