Walker Aモチーフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/30 05:03 UTC 版)
「Walkerモチーフ」の記事における「Walker Aモチーフ」の解説
Walker AモチーフはWalkerループ、Pループ、リン酸結合ループ(phosphate-binding loop)などいう名称でも知られ、リン酸の結合に関係するモチーフである。モチーフにはG-x(4)-GK-[TS]というパターンが存在する(G:グリシン、K:リジン、T:スレオニン、S:セリン、x:任意のアミノ酸)。ATPまたはGTPを利用するタンパク質の多くに存在し、ヌクレオチドのβ-リン酸が結合する。Walker Aモチーフ中のリジン残基は、主鎖のNH原子とともにヌクレオチドの結合に重要である。グリシンに富むループ構造であり、βストランドから続きαヘリックスへとつながる。通常こうした特徴は、4本のβストランドが両側から2本のヘリックスによって挟まれたα/βドメインの一部として存在している。ヌクレオチドのリン酸基には、マグネシウム、カルシウム、マンガン(II)イオンなどの2価カチオンも配位している。 保存されたリジン残基の他に、Pループのリン酸への結合に用いられる特徴はcompound LRLR nestである。xxGKの4残基から構成され、これらの主鎖の原子はNH基を内側に向けることでリン酸サイズの凹面を形成する。SGAGKT合成ヘキサペプチドは無機リン酸を強固に結合することが示されており、こうした短いペプチドはαヘリックスを形成しないことから、ヘリックスのN末端ではなくネストがリン酸結合のための主要な特徴であることが示唆される。 Walker AモチーフはATPやGTPを結合するタンパク質に存在することが最もよく知られているが、リン酸化された基質を結合するさまざまなタンパク質にも存在し、ATP合成酵素(α、βサブユニット)、ミオシン、トランスデューシン(英語版)、ヘリカーゼ、キナーゼ、AAAタンパク質(英語版)、Gタンパク質、RecA、プロテインチロシンホスファターゼ(英語版)、システインシンターゼなどのピリドキサールリン酸を利用する酵素などに存在する。 プロテインチロシンホスファターゼはリン酸化チロシン残基から無機リン酸の加水分解(チロシンキナーゼ(英語版)による反応の逆)を触媒する酵素であり、Pループ様構造へフォールディングするモチーフを持つが、保存されたリジン残基の代わりにアルギニンが存在している。このモチーフの保存配列はC-x(5)-R-[ST]である(C:システイン、R:アルギニン)。
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