分子構造と活性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/30 05:11 UTC 版)
SMC タンパク質は、1,000-1,500アミノ酸残基からなる。 常に2量体(原核生物ではホモ2量体、真核生物ではヘテロ2量体)を形成し、特徴的なV字型構造をつくる。個々のSMCサブユニットは、まず反平行のコイルドコイルによって折り畳まれ、長い棒状の形態をとる。この際、一方の末端には ATP 結合部位("ヘッド")が、もう一方の末端には"ヒンジ"が形成される。2つのSMCサブユニットはヒンジを介して結合し、V字型の巨大な2量体を構築する。反平行のコイルドコイルによって形成される腕部の長さは、~50 nmにも達する(これは2重鎖DNA~150 bpに相当する長さである)。同程度あるいはそれ以上の長さをもつ「平行」のコイルドコイルはミオシンやキネシン等のモータータンパク質によくみられるが、これだけ長い「反平行」のコイルドコイルをもつものはSMCタンパク質以外に知られていない。 SMC ヘッドドメインは、ABC輸送体や DNA修復タンパク質 Rad50 のATP結合部位と構造上の共通点を有する。このクラスの ATP 結合ドメイン(ATP結合カセット; ATP-binding cassette [ABC])では、Walker AモチーフとWalker Bモチーフに加えて、signatureモチーフ(別名C motif)と呼ばれる特有の配列が高度に保存されている。ATP結合と加水分解のサイクルは、2つのヘッドドメインの会合と解離のサイクルとカップルし、その結果としてV字型構造の開閉を制御する。こうした SMC 2量体の構造変換が制御サブユニット(kleisinサブユニットやHEATリピートサブユニット])およびDNAとのダイナミックな相互作用を制御すると考えられているが、その詳細はまだ明らかではない。
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