VISTAによる科学研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 09:20 UTC 版)
「VISTA望遠鏡」の記事における「VISTAによる科学研究」の解説
(1) VISTAから最初に公開された画像の一つ。「炎星雲」と呼ばれるNGC 2024と隣の馬頭星雲を写したもの。 (2) VISTAはオリオン大星雲の若い星々が行う高速の特異な活動を明らかにした。 (3) ボック・グロビュールを有する干潟星雲。VISTAはこのような塵の多い星形成サイトの観測に向いている。 (4) VISTAによって観測されたろ座銀河団。 VISTAは大型で視野も広いため、弱い光源を検出すると同時に、広い天域をすばやく観測することができる。一枚のVISTA画像は広さにして満月の約10倍の天域を占める。大きな成果を収めた2MASSのような既存の赤外掃天観測より40倍優れた感度で南天全域の天体を検出してカタログ化することも可能である。観測力の向上は肉眼からガリレオの初代望遠鏡への変化に匹敵するもので、多数の新しい天体が発見されて南天の希少なエキゾチック天体のカタログが格段に充実すると期待されている。 VISTAの観測は天文学の多くの分野に寄与すると見られる。銀河系内の観測では、新しい褐色矮星が数多く発見され、ダークマターの正体に関する学説が検証可能になると期待されている。時間を変えて一つの天域を撮影し続けることで銀河系の中の変光星を大量に発見・観測しようというサーベイがある。天文学者はVISTAのデータを通じて銀河系の構造をはるかに詳細にマッピングできるようになる。銀河系の近くに位置するマゼラン雲とその周辺を観測するサーベイもある。VISTAデータを用いて観測可能な宇宙全体の約5%に及ぶ3Dマップを作成する計画もある。またVISTAは遠方のクエーサーを発見したり銀河や銀河団の進化を研究するための強力なツールとなる。非常に遠方の銀河団を検出することでダークエネルギーの性質を調べるのにも役立つ。VVVサーベイでは赤外観測を通じて星団やケフェイド変光星までの距離が精度よく測定され、宇宙の距離はしごの増強につながった。
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