Strain 121とは? わかりやすく解説

Geogemma barossii 121株

(Strain 121 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 02:29 UTC 版)

Geogemma barossii
分類
ドメ
イン
: 古細菌 Archaea
: クレン古細菌
Crenarchaeota
: クレン古細菌
Crenarchaeota
: テルモプロテウス綱
Thermoprotei
: デスルフロコックス目
Desulfurococcales
: ピュロディクティウム科
Pyrodictiaceae
: Geogemma
Geogemma
: G. barossii
G. barossii
学名
Geogemma barossii
Lovely et al. 2004

Geogemma barossii 121 (Strain 121)は、超好熱性還元古細菌で、2003年から2008年まで生物の生育温度の最高記録を保持していた古細菌(アーキア)である。滅菌方法として広く利用されるオートクレーブの一般的な利用温度である121°Cであっても増殖が可能な、超好熱菌の一種である[1]

概要

形態は多数の鞭毛を持つ1-2μmほどの球菌。細胞表層構造はS層で、一般的なクレン古細菌と同じである。2003年マサチューセッツ大学のDerek LovleyとKazem Kashefiらによって、ワシントン州ピュージェット湾の沖合い322km、水深2400mの海底にある熱水噴出孔より発見された。未記載であるが、16S rRNAとリバースジャイレースの配列は、いずれも極めて好熱性が強いPyrodictium occultum(96%一致)やPyrobaculum aerophilum(95.3%一致)に近縁性を示した。現在は暫定的にクレン古細菌門テルモプロテウス綱デスルフロコックス目ピュロディクティウム科“Geogemma”属に置かれ、“Geogemma barossii”と呼ばれている(Geo(ギリシャ語地球) + gemmma(ラテン語)、barossii(John A. Barossへの献名))。

増殖可能温度は85~121°C。至適生育温度は106°C(世代時間約1時間)。130°C2時間のオートクレーブにも耐える。この菌の発見までは近縁の古細菌 Pyrolobus fumarii の113°Cが生物の増殖温度の限界だと考えられていたが、通常のオートクレーブ条件(121°C20分[1])に耐え、増殖する生物が発見されたことは驚きをもって伝えられた。オートクレープ条件とは(殺菌ではなく)滅菌の方法であり、微生物の生存率が100万分の1以下の確率だと国際的に定義されている[1]。なお、この記録は正式に発表されたわけではなく再現性も取れていない、そもそも菌株が公開されていないことから、依然として P. fumarii の方が最高生育温度保持者として扱われることもあったが、発見者らが2008年に出した論文で115°Cで培養と書かれており、少なくとも P. fumarii を上回ってそうではある。この論文では至適生育温度は105°Cとなっていた。

なお、この菌が保持していた121℃の記録は、2008年に遠戚の古細菌Methanopyrus kandleri Strain 116が122°Cで増殖が可能と報告されたことにより更新された。Methanopyrus kandleriは、一般的な気圧(水深30メートル相当)であれば116°Cが限界なため、Strain 116の名称が用いられているが、気圧が増す深海では122°Cを記録している。日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)によって報告され、この記録は2014年現在でも破られていない[1]。しかしながら、将来的には125°Cから130°Cが上限とされるだろうと推定されている[2]

これらは地下生物圏の調査として重要であり、さらには地球以外の天体にも地球外生命体が生存しうるハビタブルゾーンの観点からも天文学的に注目されている。つまり太陽光のエネルギーが届かず、かつ高温の極限状態でも生存しうる生命体が地底に広がっていることから、地球外生命体を調査する上での前提条件を覆し、宇宙空間にハビタブルゾーンが広範に渡っている可能性が示唆されている[3]

出典

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d 長沼・井田 2014, pp. 24–25.
  2. ^ 長沼・井田 2014, p. 26.
  3. ^ 長沼・井田 2014, pp. 6–7, 17.

引用文献

関連文献


「Strain 121」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳

英語⇒日本語日本語⇒英語

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Strain 121」の関連用語

Strain 121のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Strain 121のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのGeogemma barossii 121株 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2026 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2026 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2026 GRAS Group, Inc.RSS