Opteronの躍進・凋落
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 21:38 UTC 版)
「Opteron」の記事における「Opteronの躍進・凋落」の解説
Opteronではサン・マイクロシステムズ、ヒューレット・パッカード、IBM、デルというアメリカの4大サーバメーカの採用を勝ち取った。特に過去のいきさつからインテル製CPUのみを採用し続け、インテルの水平分業モデルの優等生と言われたデルの方向転換は、大きなインパクトを与えた。 これは、インテルが過去の資産を全て無に帰してVLIW命令セットを基本とする別のアーキテクチャ (IA-64) を備える、x86に比べて高コストな64ビットCPUを普及させようとしたのに対し、AMDは十分に安価でこなれているx86プロセッサの処理能力を高める、というシナリオを望んでいた業界のニーズに的確に反応し、x86アーキテクチャを素直に64ビット拡張して、従来の16/32ビットアプリケーションもそのまま動作するAMD64のアーキテクチャを投入することにより、市場のニーズに合致した製品を出荷、これが4大メーカーの強い支持を受けるに至ったものである。また、Microsoft WindowsがAMD64対応を発表したことで将来性も安定したものとなり、普及に弾みが付いた。これによりIntelは、今までの互換プロセッサを作られる立場から、AMD64互換のCPUを作る立場となり、アーキテクチャの主導権をAMDが奪取したことは大きなインパクトを業界に与えた。 サーバ市場への参入は以前からのAMDの悲願であったが、Opteronの登場により大々的かつ広範囲の参入が可能となり、利益率の高いエンタープライズ市場でハイパフォーマンスCPUを高額で売ることによって収益を確保し、ボリュームゾーンであるコンシューマ市場での価格競争力を維持するという、Intelが採っているのと同様の収益構造を構築することが可能となった。 スーパーコンピュータ分野でも躍進を遂げ、2003年11月のTOP500においてOpteronを採用したロスアラモスのLightningシステムが5位と10位以内に初めてランキングされ、2005年11月には55システムで採用されIBMのPowerプロセッサに続き3番手のプロセッサとなった。その後も採用数は増加し2006年11月に113システムで採用されPowerプロセッサを上回りインテルに次ぐポジションを獲得した。2006年11月の22.6%をピークにシェアを減らしながらも2013年11月までランキングでは10%以上のシェアを維持していたが、2014年6月に9%、11月には5%まで下落し、その後も減少し続けスーパーコンピュータ分野における存在感を失った。
※この「Opteronの躍進・凋落」の解説は、「Opteron」の解説の一部です。
「Opteronの躍進・凋落」を含む「Opteron」の記事については、「Opteron」の概要を参照ください。
- Opteronの躍進・凋落のページへのリンク