MSX用のMSX-DOS
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/01/31 20:17 UTC 版)
「MSX-DOS」の記事における「MSX用のMSX-DOS」の解説
フロッピーディスクドライブやパーソナルコンピューター本体、アプリケーションソフトウェアに付属して配布された。使用には最低64KBのメインメモリがー必要。MSX-DOSだけが個別に販売されることはなかった。ただし、開発環境などが同梱された MSX-DOS Tools というパッケージはあった。 BIOSと拡張されたシステムコールは併せてBDOSと呼ばれ、ディスクドライブのインターフェースカートリッジのROMに内蔵されているものを呼び出して実行している。このためDISK-BASICからもBDOSの実行ができる。またDOSのままMSXのROM-BIOSやスロットの使用もできる。システムファイルはMSXDOS.SYS・COMMAND.COM・AUTOEXEC.BATであり、MS-DOSにあるCONFIG.SYSや、デバイスドライバーを記述するコマンドなどはない。MSXの特徴として、その柔軟かつ強力なBIOSシステムによって拡張機器にはBIOSが搭載されており、接続すると自動的にBIOSが組み込まれるため、デバイスドライバー等の組み込みは構造上必要なかった。現在までに存在したほぼ唯一の、本来の意味での真のプラグ&プレイを実現できていた環境と言われる所以である。 構造的な特徴としては、MSXの強力なBIOSシステムおよびそれらを共有するMSX-BASIC環境との間に、次のような親和性の高さがある。 コマンドプロンプトから互いの環境を行き来することが可能。 DOSとBASICの双方で単一のファイルフォーマット(FAT12ファイルシステム)を使用。これにより MS-DOS を使用したパソコンと、同じフロッピー・ディスクでデータをやり取りできる。ただし、MS-DOS で作成されたディスクのサブディレクトリーは認識できるが(DIR コマンド等で表示可能)、アクセスは不可能である。したがって MS-DOS とデータをやり取りする場合は、ルート・ディレクトリーにファイルを置く必要がある。 なお、MSX DISK-BASICでもファイルシステムにはFAT12を採用。 MSX-DOS上のアプリケーションからBIOSを、MSX-BASIC環境からMSX-DOSのBDOSを利用可能。 CP/M用のアセンブラー(M80)やコンパイラー等を用いてコーディングする際にもMSX用のBDOSやBIOSをシームレスに利用可能。 これにより、当時の8bitコンピューター用のDOS環境としては破格の機能と柔軟性を確保した上で、豊富なCP/Mのアプリケーションやデータおよび知見なども活かすことが可能だった。 ファイルの時刻の管理はパソコンの本体にカレンダー時計機能があればそれを利用し、なければ起動時に日付を入力するようになっている。 MSX-DOSは4台までのフロッピーディスクのほかハードディスクドライブなどにも対応。ただしファイルシステムがFAT12相当であるため、ドライブ1パーティションあたりの容量は最大32MBまでという限界がある。またドライブレターもワークエリアの容量の関係上、A:からH:までの最大8台分に限定され、MSX-DOSおよびMSX DISK-BASICで取り扱い可能なストレージの最大容量は32MB×8の256MBとなっている。なお、当時のPC/ATやPC-9801などの一般的なMS-DOS環境に対応したESDIやSASIのHDDの容量は20~80MB程度であり、発売当時としてはこれだけの容量を管理できれば十分と言えた。
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