KGB職員
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 08:30 UTC 版)
KGB職員の法律上の地位は、軍人である。軍人と同じ階級呼称を有するが、人事管理は完全に区別される。KGBの組織は、軍の長所・短所をそのまま受け継いでおり、方針を巡る内紛が起こっても命令一下で解決する一方、しばしば、アネクドートで嘲笑されるように、モスクワからの指令なしでは動けない硬直性を有している。 KGB職員は、一般大学出身者が多い。海外のKGB代表部の秘密工作将校には、大学卒業後に一般企業などに勤務した経験を有する者も少なくなかった。このことは、KGBが管掌する活動範囲がかなり広く、幅広い人材が必要とされたためと思われる。なお自ら志願したものは決して採用しなかったという。 国境警備隊については、将校は、一般の軍事組織と同様、高等国境指揮学校(士官学校)卒業生が占め、上級の教育はソ連軍の施設を利用した。下士官以下の国境警備隊員は、召集兵である。 軍部隊に配属される公安将校は、一般に該当軍部隊の将校の中から選抜されて、KGBの訓練を受けて任命される。このため、公安将校は、配属先の将校と同等の知識、経験を有している場合が多く、冷戦時代に書かれた小説のようなKGB将校とソ連軍将校(主にGRU)間の軋轢は少なかったという。 また、これも小説などでの描写とは異なり、KGB職員はその身分が明らかになっている場合でも、ソ連国民からマイナス感情を向けられることはあまりなかったといわれる。これは、実際にKGB職員に対して不適切な態度をとれば後で何が起こるか分からないという恐怖心もさることながら、KGBが国境警備や防諜といった国家の安全保障に直接かかわる分野を担当していることが国民にも知られており、むしろ頼もしく思われていたという理由もある。 KGB職員は、採用直後にKGB大学校で一年間以上にわたり秘密工作訓練と語学研修を受けてから、それぞれの部門に配属されていた。海外のKGB代表部には現地語の語学研修を終えた秘密工作将校が10年前後にわたり配置されるのが一般的であった。アメリカCIAの工作官も同じく秘密工作訓練と語学研修を受けるが、海外のCIA支局を2~3年で異動するのが一般的であることから、語学力や現地情勢の知識ではKGB将校の方が圧倒的に上回っていたとされる。KGBでは幹部職員といえども、専門家を育成しようとしていたことがうかがわれる。
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