Erdapfel
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/20 20:05 UTC 版)
「マルティン・ベハイム」の記事における「Erdapfel」の解説
1491年から1493年まで故郷ニュルンベルクに戻っていたとき、画家 Georg Albrecht Glockenthon と共同で地球儀を製作し、Erdapfel(文字通りの意味は「大地のリンゴ」)と名付けた。1475年にローマ教皇シクストゥス4世が思い描いた地球儀に沿ったものだが、子午線と赤道の線を書き加えるという改良がなされている。 つい最近まで Germanisches Nationalmuseum のアルブレヒト・デューラー(ニュルンベルクをドイツ・ルネッサンスの中心地にした立役者)のギャラリーと同じフロアに置かれていた。 アレクサンドリアのクラウディオス・プトレマイオスの影響が見られるが、その後の中世における発見の数々(例えば、マルコ・ポーロの旅行記の情報など)を随所に取り入れようとしている。初の地球儀として有名ではあるものの、当時の発見の数々と比較しても地理的に間違っているところが多い。西アフリカの海岸線も不正確だが、当時の技術力では正確な計算は困難だったと見られる。カーボベルデ諸島は数百マイル横にずれている。大西洋には伝説の島々が浮かんでいるが、これらは孤立した中世キリスト教世界にとって心理的に重要だった。日本は海岸から1500マイルの位置にあり、マルコ・ポーロの記述に合わせてある。そのため、カナリア諸島から帆走で到達できそうな位置になっている。聖ブレンダンの島も描かれているが、(展示されていたとき)この地球儀は西半球が覆われていて見えないようになっていた。全体的に16度ほどの誤差があるが、現代の地球儀では誤差は1度程度である。当時、まだ正確な時計(クロノメーター)がなかったため、特に経度の正確な測定が困難だった(天測航法)。最古の地球儀であるだけでなく、アメリカ大陸の発見直前に作られたという事実からも歴史的に貴重な地球儀になっている。現在この地球儀はウィーンで進行中の Behaim Digital Globe Project にて高解像度でデジタイズされており、非公開となっている。この地球儀はコロンブスの地球観とよく一致しており、彼がなぜ西に向かえばアジアに到達できると考えたかがよくわかる。コロンブスもべハイムもその情報源は同じだった。14世紀の美しい羅針儀海図ほど正確ではないが、科学史上非常に重要である。世界初の地球儀とされており、正しい角度で傾いて回転するようになっており、1492年時点の西洋の世界観を示す百科事典的な意味を持っている。 この地球儀はニュルンベルクの市役所にあったが、ベハイムの遺族がそれを廃棄の運命から救って保管した。
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