CMOSにおけるオープンドレイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/26 22:51 UTC 版)
「オープンコレクタ」の記事における「CMOSにおけるオープンドレイン」の解説
CMOSにおいては、TTL同様にプルアップして利用することを前提として、出力部分にNチャネルMOS-EFTのみを用いるNチャネルオープン・ドレインがほとんどである。しかし、CMOSはTTLと違ってスイッチング素子と正電圧と接地の配置が対称に近い構成を取るため、正電圧と接地を通常のオープンドレインとほぼ逆に配置することにより、プルダウンして利用する出力部分にPチャネルMOS-EFTのみを用いるPチャネルオープン・ドレインも構成できる。チャネルオープンドレインがTTLと同様にLの信号のみ電流が出力されるのに対し、Pチャネルオープンドレインでは"H"は電源の正電圧で"L"はハイインピーダンスとなる。また、NチャネルオープンドレインはワイヤードORがTTLと同じ負論理のORであるが、Pチャネルオープンドレインでは正論理のORになる。このほか、LEDを接続する場合の極性の向きと発光する条件も、信号の立ち上がりと立ち下がりの速度ならびにノイズ耐性の違いも互いに逆である。また、NチャネルオープンドレインではHレベルの電圧をプルアップ電圧次第で変更できるのに対して、Pチャネルオープンドレインではプルダウン電圧の変更によりLレベルの電圧を変更できる。しかしながら、電子と正孔の移動速度の違いゆえにPMOSがNMOSよりも動作が遅いこと、現在ではHレベル(Vdd)は異なってもLレベル(Vss)については接地の電位に統一する設計がほとんどであること、電圧レベルの変換をする際にPチェネルオープンドレインが最適となるような論理回路(例えばPMOSやECL)は現在ではスーパーコンピュータなどを含めてもほとんど出回っていないこともあり、標準ロジックにおけるラインアップがきわめて少ない。 CMOSから見ると、ごく初期のダイオードを用いたAND (OR) 回路 (DRTL) は、CMOS出力などをダイオードを用いてNチャネル(Pチェネル)オープンドレインの出力レベルに変換したあと、ワイアードAND (OR) を用いているように見える。 現在のLSIにおいて、オープンコレクタが必要になりそうなほど巨大なAND回路が必要な場合、疑似NMOSやHMOSによるNOR回路が主に用いられる。CMOSのNORではPMOSを直列接続する場所がボトルネックになるため、遅延が(入力数)×(EFTの動作遅延)になるのに対し、NMOSのNOR回路は入力数が少ない時の遅延が大きい一方、NチャネルMOS-FETがもっぱら並列接続されて直列のPチャネルFETは用いないため、配線の長さの増加した分だけが遅延に影響するので入力数の増加に伴う遅延の増加が穏やかなためである(PMOSによるNAND回路も同様)。
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