B型肝炎ウイルス
【概要】 HBVの遺伝子はDNAである。肝細胞内で持続的に増殖するが、直接細胞を殺すことはない。このため健康なウイルス保有者(キャリア)がいる。肝炎の発生はリンパ球が感染細胞を攻撃して肝細胞を殺すためである。
【疫学】 HBVは広く世界に分布し、日本の感染者数は150万人と推定される。最近、HBVの遺伝子型分析ができるようになった。ヨーロッパは遺伝子型AとD、アジアではBとCが主である。日本の90%がCであるが、沖縄ではBが60%である。近年、首都圏で遺伝子型Aの急性肝炎が多い。主に性行為感染と考えられる。慢性化しやすいがインターフェロンの効果も高いと言われる。アジア型のBとCでは肝癌の発生が多いと言われる。
【感染経路】 キャリアの血中には1mLあたり50個~100億個の感染性ウイルスがいる。輸血は重要な経路であったが、スクリーニング検査の進歩で激減し、多くても年間30例以下の発生と推定される。次に母子感染が重要であるが、妊婦検査が普及し、抗体注射とワクチン併用で95%以上の防止効果を得ている。針刺し事故による感染も経験されるので、医療従事者は採用時にワクチンを接種し、抗体価の上昇を観察すべきである。最後に残るのは性行為感染であるが、ワクチン使用は自費となる。
【検査】 ウイルス表面蛋白をHBs抗原といい、これに対する中和抗体をHBs抗体という。HBs抗原陽性者はウイルスキャリアである。この他、コアに対する抗体HBc抗体などがある。HBV DNAの定量検査も進歩してきた。遺伝子型検査は保険適応外である。
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