ATRAC Advanced Lossless
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「ATRAC」の記事における「ATRAC Advanced Lossless」の解説
ATRAC Advanced Lossless(アトラック アドバンスト ロスレス)は2005年9月のA&Vフェスタ2005で発表された、ATRACで唯一の可逆圧縮技術・規格。AALと略されることが多い(この記事内でも以下AALとして表記する)。 ATRAC3もしくはATRAC3plusにより非可逆圧縮したデータ、およびそれと原音との差分を記録した誤差成分データを併せ持つことで無損失での記録を行う。携帯音楽プレーヤーにはAALデータ全体の転送のほか、ATRAC3/ATRAC3plus部分だけを取り出すことで小さなサイズのデータとしての高速転送もできる。一般的なロスレス圧縮では可逆圧縮データを小さなサイズのデータとして転送しようとする場合、再圧縮してから転送する為に転送に時間がかかるほか、可逆圧縮データとは別に非可逆圧縮データを保存する為に転送元機器のデバイス容量がより多く消費されるが、AALでは非可逆圧縮データをファイル内に内包しているので、転送時間やデバイスの消費容量が削減されるという利点がある。 AALの圧縮率は30~80%とされている。一般に可逆圧縮技術は原音の内容に圧縮率が大きく左右されるが、AALはそれに加えて非可逆圧縮データの形式や品質も圧縮率に影響する。 AALは、2005年11月1日に公開されたSonicStage Ver.3.3で初サポートされた。SonicStageでは、ベースとなる非可逆圧縮部分の形式・品質をATRAC3plus(352kbps 256kbps、128kbps、64kbps)、ATRAC3(132kbps)から選択できる。AALデータ全体の転送にはAALに完全対応した機器が必要だが、ATRAC3/ATRAC3plus部分のみの転送は従来機器・AALに対応した機器何れに対しても行える。 ウォークマンAシリーズ(A800シリーズ以降)やSシリーズ(NW-S700F/600シリーズ以降)・X1000シリーズにてAALの再生に対応している。一方ウォークマンの海外モデルのほとんどやPSP・PS3ではロスレス部分の再生に対応していない。 発表された2005年当時、ソニーではAALを利用した音楽配信サービスについても構想していたようであるが、ATRAC形式の音楽配信サービス終了により事実上霧散解消状態となっている。またサンプリング周波数等がCDと同じ規格に固定されており、CDを超える音質での配信・録音の保存などが不可能なため、ソニーグループでもFLAC等ハイレゾフォーマットに対応した可逆圧縮規格にシフトしている。
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