5月のカーネーションカップと桜花賞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 22:54 UTC 版)
「タカイホーマ」の記事における「5月のカーネーションカップと桜花賞」の解説
予定通り、タカイホーマはクイーンカップのあと西下せず、関東に留まった。そして5月21日に中山競馬場のカーネーションカップ(芝1600メートル)に出走し、2着に4馬身差をつけて1分36秒5という好タイムで勝利した。 同日、阪神競馬場では4歳牝馬クラシック競走第一弾の桜花賞が行われた。前年から関西の4歳牝馬のトップと目されていた田之上勲厩舎のシンモエダケは、前哨戦の阪神4歳牝馬特別を制しており、3割近い支持を集めて1番人気になった。関東のトップ牝馬として早めに関西入りしていたトクザクラは2番人気となり、東西のトップ牝馬の直接対決として注目を集めた。関東からはほかにキョウエイグリーンも参加し、3番人気となっていた。 そのキョウエイグリーンがスタートと同時に飛び出し、猛烈なスピードで先頭を奪った。キョウエイグリーンによる2ハロン目のラップは10秒6、3ハロン目が11秒1、4ハロン目が11秒7と、相当なハイペースになった。一般に、桜花賞は前半がハイペースになる「桜花賞ペース」となることが多いとされているが、それでもたいていは4ハロン(800メートル)47秒を切るかどうかという水準である。しかしこの年のキョウエイグリーンのラップタイムは4ハロン46秒1で、「絶対に突っ走ってはいけない(志摩直人)」ほど速く、「壊滅への疾走(志摩直人)」というほどのペースになった。 その結果、先行しながら大外をまわってキョウエイグリーンを中途半端に追いかけた人気各馬は、後半の余力を失ってしまった。大変なハイペースだった前半4ハロンに比べて、後半4ハロンは51秒5と時間がかかった。報知新聞の後藤田正人記者は「あれほど前半と後半の時計の差がひどいレースはなかった」と評した。本来、シンモエダケとトクザクラは最後の直線での末脚を武器とするタイプだったのに、両馬とも直線に入った頃にはバテてしまっていた。トクザクラはなんとか4着に入ったが、シンモエダケは6着に終わった。 レースを制したのは、ずっとインコースを回って目立たない位置にいた、人気薄のアチーブスターである。アチーブスターは桜花賞出走時の通算戦績が15戦2勝、未勝利戦を勝ち上がるまでに8戦を要し、オープン戦の優勝歴もなく、前走の阪神4歳牝馬特別4着が最良という成績だった。アチーブスターは、本命馬シンモエダケを出走させた田之上勲調教師の所属馬だったのだが、田之上はシンモエダケが直線で伸びを欠く姿にショックを受けていて、勝った馬がなんであるかを知らず、その優勝馬が自分の管理馬であることにもしばらく気づかなかったという。 アチーブスターの勝因は「絶妙な位置と追い出しの勝利(志摩直人)」と、騎手の武邦彦による好騎乗によるものとする声が多くあげられた一方、人気の2頭のコンディションが悪かったという指摘も行われた。シンモエダケは大事をとって休ませすぎて体重が重すぎ、トクザクラはハードワークがたたって体重が落ちていたのだという。アチーブスターの勝利は「本当に漁夫の利(日本経済新聞・千草伊三郎)」「過去の桜花賞馬で勝率が1割台というのはおそらくない(報知新聞・後藤田正人)」と評価された。
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