4500形・4510形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/19 07:49 UTC 版)
「国鉄4500形蒸気機関車」の記事における「4500形・4510形」の解説
車軸配置0-4-4-0(B+B)の飽和式ボイラーを備えるマレー式タンク機関車で、運転室から煙室前端近くまで細長く伸びた側水槽が特徴的である。 その設計、特に4500形のそれは、王立バイエルン邦有鉄道BB II形を基本とし、狭軌のバックゲージに適合するようにボイラー火室部分を細長く設計変更して台枠幅を縮小、これに合わせて運転台などの各部設計を調整したものである。 4500形と4510形はマレー式のため4本の動軸は2軸ずつ前後に分割された各台枠で支持され、前部台枠はボイラーと一体の後部台枠との間に設けられたピボットを支点として揺動あるいは首振りする構造である。このため、動軸数4のD型機相当でありながら、B型機並の急曲線を通過可能である。 ボイラーで発生した蒸気は蒸気ドーム後部に置かれた加減弁を経由した後、一旦直に結合されている後部台枠の前端、ボイラー火室前に置かれた高圧(1次)シリンダーへ導かれ、ここで後部台枠に属する2動軸を駆動した後、その排気がフレキシブルパイプを介して前部台枠へ送られ、やはりその前端に置かれた低圧(2次)側シリンダーで前部の2動軸を駆動し、相対的な位置関係が円弧状にスライドするボイラー煙室との間を特別な継ぎ手を内蔵した排気管経由で煙突から排気を放出、それによって煙管および火室の通風を行う構造である。 なお、前部台枠の首振り時の復元力を与えるため、ボイラー煙室直下に復元ばねが置かれ、前部台枠とボイラーを結んでいる。 ボイラーは細く、第2缶胴上に蒸気ドームが設置され、そこから直下に置かれた高圧シリンダーへの蒸気管が伸びている。砂箱は第1缶胴上に円筒形のものが設置され、運転室前の火室上に大型の安全弁が設けられている。 運転室の前面には風除けに楕円形の窓が設けられているが、後部は開放的で、台形の比較的大きな炭庫が後部に張り出している。なお、4500形では水タンク・運転室・炭庫それぞれの幅がほぼ同一であるが、4510形では4500形以上に厳しい寒冷地で使用されることもあって運転室の側面開口部面積が縮小されており、水タンクと炭庫が運転室より張り出したデザインとなっている。 4510形は当初は煙突上端にキャップを付けた化粧煙突を装着していたが、後年、4500形に類似の簡素なテーパー付きパイプ煙突に変更されている。 また、4510形は、北海道で使用されたこともあって、竣工当初自動連結器を装備していたが、本州への転属にともなって、ねじ式連結器とバッファー(緩衝器)に交換され、真空ブレーキを付加されている。
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