4つのロシアの歌
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「4つの歌 (ストラヴィンスキー)」の記事における「4つのロシアの歌」の解説
『4つのロシアの歌』(仏: Quatre chants russes) は、1918年から1919年10月にかけてモルジュで作曲されたピアノ伴奏によるロシア語歌曲集である。ロシア民話・民謡にもとづく最後の曲であり、ストラヴィンスキーが書いた最後のロシア語歌曲でもある(オペラ『マヴラ』のアリアを除く)。 自伝によれば、1919年にクロアチア人ソプラノ歌手マヤ・ストロッツィ=ペチッチ(クロアチア語版、ボリス・パパンドプロの母)からの依頼で作曲された。ただし、完成する前にストロッツィ=ペチッチはスイスを去ったため、この曲を歌うことはなかった。 曲の内容は雑多である。歌詞は第1曲がサハロフ(英語版)、第2・3曲がキレーエフスキー、最後の曲はロジェストヴェンスキーとウスペンスキーにもとづく。歌詞はラミュによってフランス語に翻訳された。 雄ガモ(輪舞曲) Селезень (Хороводная) / Canard (Ronde) かぞえ歌 Запевная / Chanson pour compter 皿占いの歌 Подблюдная / Le Moineau est assis... 神秘教団の歌 Сектантская / Chant dissident 第1曲は『子供のための3つのお話』第2曲と同様の鬼ごっこの歌で、子供たちが手をつないで輪をつくり、回りながら歌う。輪の中には雄ガモ役とアヒル役の子供がはいる。雄ガモはアヒルをつかまえようとし、アヒルは輪から出ようとする。 第2曲は日本の「どちらにしようかな・ずいずいずっころばし」と同様の、何かを選ぶ歌のひとつで、歌詞の意味はよくわからない。 第3曲は合唱曲『4つのロシア農民の歌』と同様に皿占いの歌を歌詞としている。リチャード・タラスキンによると、この歌は見知らぬ土地への長期の旅行を意味し、歌詞の「よその垣根に止まる雀」や「15ベルスタの長さに伸びる狼の尾」は遠い外国の地で過ごすストラヴィンスキーの暗喩になっているという。 第4曲はもっとも特徴のある曲で、他の3曲と異質なものになっている。ストラヴィンスキーは当初フルートとツィンバロムによる伴奏を考えていた。旋律もメリスマ的で、他の曲と異なる。歌詞は鞭身派(霊的キリスト教を参照)の儀式の歌で、雪の中に道を失い、父なる神のもとにたどりつくことができないが、神をたたえる。この曲についてもストラヴィンスキーが「訣別の辞を故郷ロシアにむけて捧げる声」という解釈がなされることがある。
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